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今や希少! 意外な高性能エンジンを搭載した80~90’Sクルマ5選

かつて意外な高性能エンジンを搭載し、話題になったクルマを小川フミオがセレクトした。当時の印象とともに振り返る!

クルマを買うとき、まず考えることのひとつが、搭載するエンジンではないか?ガソリンにするかディーゼルにするか……それから気筒数とか気筒配列だって、おおいに気になる。

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作り手だって、こだわりはエンジンだ。BEV(バッテリー駆動のEV)前夜なんて言われている昨今にあっても、メルセデス・ベンツやBMWなどは、新しいエンジン開発に余念がない。そのエンジンがまたすばらしいフィールで……。

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ドイツのメーカーでは伝統的に”エンジン屋”が技術部門のヒエラルキーにおけるトップにくると言われている。だからだろうか。また、先日、ボルボ「XC60 B5」という新しいパワープラント(加速用の電気モーターをエンジンに取り付けてある)を載せたモデルに乗ったら、これまたパンチのある加速が楽しめるモデルで、印象ぶかかった。

SF映画の傑作にアンドリュー・ニコル監督作品の『ガタカ』(1997年)がある。未来の話であるものの、登場するクルマは、シトロエン「DS」、ローバー「P6」、スチュードベイカー「アバンティ」と、デザインの傑作揃い。

監督は、過去のモデルを選んだ理由について「未来でも審美的な価値観は、いまと変わらないと思って」と、語っていた。おもしろいのは、登場したこれらすべての旧車が、電気自動車という設定だったのだ。

主人公を演じるイーサン・ホークは、本来4.7リッターV型8気筒エンジンを搭載するアバンティに乗っているが、車庫に入るとソケットを差し込む。まさに”現実的な”未来感覚である。

でもこのあいだ、久しぶりにこの映画のDVDを観ていて、エンジン独特のトルク感やバイブレーションや排気音がないとつまらなさそう、と、思ったものだ。

上記のとおり、エンジンにまつわる一連の体験があったので、ここでは“エンジン愛”を全開にして、エンジンにとりわけ魅力のあった5台を選んでみよう。

1.メルセデス・ベンツ「500E」(1991年)

nullnullメルセデス・ベンツのライバルは、ずっとBMWだった。いまではあまりに多品種展開になったため、ターゲットを絞りきれなくなったかもしれない。しかし、1990年には少なくとも、BMW「M5」のマーケットが欲しくて、メルセデス・ベンツは「500E」を開発した。

「500SL」用の4973ccV型8気筒ガソリン・エンジンを搭載したモデルである。ベースになったミディアムクラス(W124)は、そもそもV型エンジン搭載はまったく考えずに設計されていたため、このモデルのための改造は多岐にわたった。

ここまでやらなくても、という意見もあるけれど、やりすぎ感こそ、市場が求めているのだと、BMWとメルセデス・ベンツのマーケティング担当者は気づいたのだろう。M5(3535cc直列6気筒ガソリン・エンジン搭載)の上を行こうというのが500Eだった。

nullnullベースになったミディアムクラスのセダンは、みごとな乗り味と操縦性をもったモデルだった。しなやかに動くサスペンションはロードホールディング性にすぐれると同時に、コーナリング時のボディの動きとコントロール性はばつぐん。いまも高い人気を有するのがよくわかる。

それに対し500Eは、岩を削りだして作ったとでもいうか、とにかく、いろいろな意味で”かたまり感”があった。ダッシュ力にすぐれているいっぽうで、サスペンションのストローク量は抑制されていた。

SLのパーツを流用したというフロント・サスペンションは、コーナリング時にボディロールをしっかり抑えていた。225/55R16サイズのタイヤを収めるため、ホイールハウスまわりのフェンダーは拡大していて、すごみを効かせている。外観からの印象は、運転しても裏切られない。ようするに、スポーツカーのような考えで作られたセダンだったのだ。

Mercedes-Benz 500 E LimitedMercedes-Benz 500 E Limitedメルセデス・ベンツは、3.0リッター直列6気筒用のエンジンベイに6.3リッターV型8気筒ガソリン・エンジンを押し込んだ「300SEL6.3」(1968年)や、そのエンジン排気量を6.9リッターに拡大した「450SEL6.9」(1975年)などで話題を呼んできた。BMWが12気筒を予定していると聞いて、その後を追うかたちで12気筒を開発し、「600SEL」(1990年)に搭載した。

500Eの特徴としてもうひとつ。生産にポルシェが関与していた点だ。ポルシェのツッフェンハウゼン工場で組み立てたボディは、いちどメルセデス・ベンツの工場に戻され、防錆処理と塗装が施される。そしてまたポルシェに戻され最終組立てがおこなわれたという。

Mercedes-Benz 500 E LimitedMercedes-Benz 500 E Limitedいろいろな意味で興味ぶかいモデルである。ただし「けっしてよく売れたクルマではない」と、当時の日本市場の状況を知悉している販売関係者はいま証言してくれる。

「バブルがはじけたこともあり、販売するのに苦労しました。とりわけ1993年モデルは売れ残って大幅に値引きをして販売しました。日本人が嫌う”ブレーキ鳴き”も現場泣かせ。状況は好転せず、1995年のファイナル(生産終了)限定車の日本への正規導入は見送り。並行輸入しか入らなかったんですよ」

そんな500Eも、いまの中古車市場では1000万円以上で取り引きされているからおもしろい。

2.フォルクスワーゲン「ゴルフVR6」(1991年)

フォルクスワーゲンが(まだ)エンジン開発に熱心だった時代の産物。「VR6」はコンパクトなサイズに収めたところに特徴を持つ。日本にもゴルフやパサートに搭載されて導入された。

通常パワーを求めてエンジンを吸気と排気のバルブを別べつに駆動しようとすると、カムシャフトは2本必要になる。排気量を増やしてドライバビリティを上げるためV型にするとカムシャフトの本数は倍。V型なのにカムシャフトは直列とおなじで、というのがVR6の考えかただ。

ふつうV型だと60度から180度までメーカーによってさまざま。いずれにしてもV型というだけあって、右のバンクと左のバンクは離れている。直列とおなじくひとつのエンジンブロックを使いながら、15度(のちに11.5度)の”仮想バンク角”を設けたのがVR6エンジンの特徴だ。

近年までフォルクスワーゲン・グループに君臨していた技術畑出身の故ドクター・フェルディナント・ピエヒのアイディアだったという。アウディ「クワトロ」を開発したのもこのひと。その前はポルシェにいて、レーシングチームを常勝に導く功績も残している。

Passat Variant VR6 (1992)Vento VR6 (1992)1990年代はフォルクスワーゲンが高級化路線を走ったときで、仮想的はメルセデス・ベンツだった。当初は”ほんとうの”V型エンジンの計画もあったという。しかし、コストやクルマに搭載したときのセッティングなど、V型エンジンとともに、山のように出てくる問題を忌避したいのが、ドクター・ピエヒ以外の重役の思惑だったようだ。

そこでドクター・ピエヒは、重役たちを集めると、缶入り飲料を箱に並べて左右からぎゅっと押してみせた。箱はシリンダーブロック、たがい違いに箱のなかに収まった缶はシリンダー。こんなV型エンジンを作ればいいのだ、と、はっぱをかけたとか。

排気量は2.8リッターから3.6リッターまでで、メリットは大きめの排気量によるトルク増。米国向け車両で幅広く展開され、フォルクスワーゲン「トゥアレグ」やポルシェ「カイエン」にまで搭載されていた。

Der VR6-Motor machte aus dem Corrado den bis dahin leistungsstärksten Volkswagen“ゴルフをハイパワー化したい”“ゴルフに大きなエンジンを積みたい”という願望はフォルクスワーゲンの技術者がつねに持っていたようだ。GTIのエンジンの16バルブ化(1985年)にはじまり、スーパーチャージャー装着の「GTI G60」(1989年)などがVR6以前には出た。

そのあと、VR6が主要モデルに採用されるようになった。「パサート」や「コラード」に続き、1992年、第3世代のゴルフに搭載され「ゴルフVR6」名で発表された。

2002年には、3.2リッターに排気量を拡大。第4世代ゴルフに、「ゴルフR32」として設定された。ちなみに、VR6の考え方をもとに、W12やW18まで登場した。

すごいなぁと思うのは、ゴルフVR6の場合、エンジンがどれだけ大きくなろうと、ハンドリングに影響があまり出ていなかった点だ。もちろん、小さいエンジンのほうが、コーナリングは気持いいけれども、VR6エンジンのゴルフは、それでも比較的よく走った。

ちょっとなぁと思ったのは、このエンジン特有のトルクバンドの狭さ。下の回転域ではややトルク感が足りず、上までまわして走る必要があった。まぁ、よくまわる気持のいいエンジンだったので、それはそれでよかったけれど。

フォルクスワーゲンが小さな排気量に、ターボチャージャーとスーパーチャージャーで過給する「TSI」コンセプトを導入し、環境への配慮を前面に打ち出した2000年代には、少なくとも日本市場からはVR6モデルは消えていった。

たしかにTSIは低回転域から力があって使いやすいし、燃費にもすぐれる。VR6が消えたのはある種の自然淘汰だったのかもしれない。

3.ランチア「テーマ 8.32」(1986年)

フィアットグループには”フェラーリ”という切り札がある。最近でいうと、少し前までマセラティ「クワトロポルテGTS」に、フェラーリが開発し生産したエンジンが搭載されていた。よくまわってパワフルな、いいエンジンでした。もちろん音も。

歴史をすこしさかのぼると、1986年発表のランチア・テーマ8.32がある。イタリアでは公用車として使われていた全長4.6m程度の四角いセダンのテーマに、フェラーリ「308クワトロバルボレ」用の3.0リッターV型8気筒32バルブのガソリン・エンジンを搭載したモデルだ。

すごいところの第1点は、フェラーリのスポーツカーのエンジンを搭載した前輪駆動車だったところ。たんに積んだのでなく、クランク角をフェラーリの180度から90度にわざわざ変更し、バルブ系を少し小さくし、点火の順序まで変えているという手の入りようだ。

企画の背景にいたのは、おそらく、1980年から1988年にかけてフィアットの社長としてグループの舵取りをしていた故ビットリオ・ギデッラだ。

「ウノ」や「ティーポ」といったフィアット車、「デルタ」や「テーマ」といったランチア車をヒットさせ、フィアットの業績をぐぐっと押し上げたことで知られる。ランチアのラリーチームもこのひとのヘッドハント能力のおかげで常勝軍団となった。

「テーマにフェラーリのエンジン載せてみよう、というのは軽いノリだったのでは。すこしはドイツ車への対抗意識があったかもしれませんが」。GQ  JAPANに南仏から寄稿している松本葉さんの言葉も紹介しておこう。

ものすごく速いクルマで、とりわけ高速では弾丸のように疾走した。張りのあるシートにからだをあずけ、つやつやと輝くような革巻きステアリングホイールを片手に、ストロークは少し長めのギアを操作して走ると天国にいくような気分がしたものだ。

アクセルペダルへのエンジンの反応はすばらしく、どこまでもまわった。これこそ、私たちが憧れてきたイタリアのスポーツカーそのものだと思ったものだ。こんなクルマを作ったメーカーの企画力も最高だと感じられた。

コーナリングもクルマじたいはなんとかこなしてくれるが、曲率がタイトになってくると、アンダーステアの傾向が強くて、運転しているほうの忍耐力が試される。

アクセルペダルを踏む足の力にあわせて、エンジンが前方と後方に動くのがわかった。フェラーリはスポーツカーだからバイブレーションがつきものだと、誰もが納得するけれど、上質さも大事なセダンであるテーマでは、エンジンのバイブレーションを吸収するため、ボディとの接合部のマウントをソフトにする必要があったのだ。

すごいところの第2点は、ぜんぜん目立たないところだ。1980年代のイタリアでは企業人誘拐などがあり、富裕層は、これみよがしのクルマに乗るのを避ける傾向にあった。

テーマ8.32はよくみると、専用のグリルに専用のプラック、さらにボディサイドのコーチラインと195/60R14という専用サイズのタイヤ、そして電動のリアウィング、それにポルトロナフラウのレザーを使ったぜいたくな内装など、特別だった。でも、知らないひとには、まったく目立たない。そんな控えめなスタイルも、テーマ8.32の持ち味だった。

4.トヨタ「クラウン4000ロイヤルサルーンG」(1989年)

エンジンはクルマの心臓であり、ある意味、クルマそのもの。シンボルといってもいい。どんなエンジンを搭載しているかで、メーカーの思惑が見えるのだ。

トヨタが、米国においてレクサス「LS400」を発表したのが、1989年1月。そのとき公開されたビデオのなかで、低騒音で低振動のエンジンが大きなセリングポイントとなっていた。

シャンぺン用のクープグラスをエンジンの上に積み上げて、始動してもグラスが倒れず液体もたいして揺れない……という映像はおもしろかった。実車で体験すると本当に静かなエンジンだった。

この4.0リッターV型8気筒ガソリン・エンジンが、1989年8月にマイナーチェンジを受けた8代目トヨタ・クラウンに搭載された。LS400が「セルシオ」の名で日本市場に導入されるのが10月なので、当時は「やっぱりトヨタに(大切なの)はクラウンかぁ」と、思ったものだ。

このエンジンは、実際に静かで、低振動。低回転域からトルクがたっぷり出て、あつかいやすい。ふだんは粛々と走り、いざとなったら高速を駆ける、なんていうクラウンの使いかたによく合っていた。

思い返すと、このときからクラウンは、独自の世界観を構築していた。“質感の高い”と表現したくなる、突き上げが少なく、そしてバイブレーションをあまり感じさせない乗り心地、静かな室内などである。それが今でもブレていない。

モデルチェンジしたらいきなり欧州調のスタイリングになったり、妙にスポーティなキャラクターになったり……という変貌とも無縁。1991年の9代目まで米国車のようにペリメータフレームを採用して、乗り心地のよさを追求していたのも、じつはクラウンの魅力だった。

5.三菱「ミラージュ6」(1992年)

いわゆる“バブルの時代”に、日本の自動車メーカーはあらゆる試みをした。エンジンの多気筒化や大排気量化が多かったが、おもしろいのは、三菱自動車によるV型6気筒エンジンの多様化だ。

1992年に登場した4代目「ミラージュ」に搭載されたV型6気筒DOHCエンジン「6A10」型には驚かされた。「世界最小のV6」がウリだった。

見るべきは、6Aエンジンの展開だ。ミラージュ用の1597ccをはじめ、「ギャラン」シリーズと5代目ミラージュ用の1829cc、7代目ギャラン・シリーズやディアマンテなどに搭載された1998ccといったぐあいだ。

1998ccの「6A12」型はSOHCと、「FTO」(1994年)などに採用されたよりパワフルなDOHC版とがある。くわえて、「ギャランVR-4」(1992年)にはターボ版も用意された。

さらに、2498ccの「6A13」型のSOHCがステーションワゴンの「レグナム」(1996年)などに、同じブロックにDOHCヘッドを載せターボチャージャーを備えたもっともパワフルな仕様がギャランVR-4(1996年)などに載せられたのだ。

たいしたV6祭りである。2.0リッター以上のバージョンは、たしかにパワフルだった。ギャランVR-4などはフルタイム4WDとの組み合わせで、ハイウェイからワインディングロードまで、どこでも速かった。サスペンションとステアリングの設定のせいで重厚な印象もあった。

ミラージュ用の1.6リッターは、たしかにおもしろい試みだった。価格が重要な要素となるこのクラスにおいて、部品点数が多くてコストが上昇する多気筒エンジンなんて、大胆な冒険である。

走らせると、予想どおりというか、低回転域のトルクがやや細くて、ますます開発のねらいが不明瞭、と、思わされた。比較的小さなエンジンでは気筒あたりの排気量がある程度大きいほうが爆発力だって大きいし、トルクも厚く扱いやすいものだ。

しゅんしゅんと1.6リッターユニットをまわして走っていると、かつて1958年にフォーミュラマシンの排気量が1.5リッターと決まったとき、各チームが「あまりにも非力だ」と、声をあげた事実に思い至ったりした。

小排気量の多気筒エンジンなんて、”作品”としてはたいへんおもしろい。が、やっぱり”排気量にまさるものなし”が、自動車づくりの鉄則であるとわかった。あと、4代目ミラージュのぼやっとしたスタイリング・イメージと、精緻なV6はうまく合致しなかったなぁ。それも思い出した。

文・小川フミオ

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