1年前に佐藤久実氏にフライングスパーで北海道を中心にロングドライブしてもらった。今回もスタートは北海道だが、佐藤氏には青森から合流してもらい、青森県を中心に自然や文化財などをめぐりながら東北を巡る旅を堪能した。(Motor Magazine2023年11月号より)
全長5.3mでもAWSで取り回しやすさを保証
朝の9時前に青森空港に降り立つ。ステンドグラスにねぶたやこけしなど青森の伝統的文化のイラストが描かれていたり、レイで斬新だ。眠い目をこすりながら空港を出ると、出迎えてくれたのはまさに、<目の覚めるような>真紅の「ベントレーフライングスパースピード」。瞬時に目が覚めた。編集者とカメラマンが北海道から自走してきて合流、今回の東北地方のグランドツーリングの起点となる。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
さっそく運転席に収まるとシフトセレクターをDレンジに入れ、アクセルペダルを踏み込む。と、何の抵抗もなく、スーッと水すましのように走り出す。もう、この瞬間から、やっぱりベントレーだとその世界観へ引き込まれる。
6L W12ツインターボエンジンは467kW(635ps)/900Nm。わずか3.8秒で100km/hに達する俊足で、最高速は333km/h。街中ではほんの数cmアクセルペダルを踏み、せいぜいパフォーマンスの数十%を使うに過ぎないが、発進の印象からもわかるように、あり余るパワーやトルクを過剰にアピールしてこない。どんなスピード域でもドライバーの意図通りに加速してくれる。
まず向かったのは、弘前市内の「白鳥ふれあい広場」。遠くに岩木山を仰ぐ。平川のすぐそばまで降りることができ、白鳥が来るシーズンには目の前で見ることができるそうだ。ここでは白鳥ではなくフライングスパー スピードを観察した。
このモデルの特徴は、ダークティントグリルが採用されていること。そして、ヘッドランプとテールランプのベゼルにもダークティントが施され、ダイヤモンドカットのようなヘッドライトがより一層存在感を際立たせている。
また、足元には「スピード」専用デザインのブラックのインチホイールを装着し、スポーティなキャラクターを表現している。
一方、インテリアも、カーボンファイバーやダイナミカというレースカーにインスパイアされたマテリアルを採用し、ベントレーの伝統的なクラフトマンシップと融合している。
慣れてしまえば、巨体もそれほど気にならず
さて、公園を後にし、弘前レンガ美術館周辺を走行したが、幹線道路から一本裏通りに入ると、迷路のような狭路がある。何しろこのクルマ、全長5325mm、ホイールベース3195mmとかなりの巨体だからただでさえ道路が狭く感じる。
おまけに総額3800万円超えだから気を使う。でも、その緊張感とは裏腹に思いのほか小回りが効く。AWS(全輪操舵)のおかげだ。違和感もなく、慣れるとボディサイズがほぼ気にならなくなるほどだから、この効果は絶大。
次に訪れたのは、「弘前市りんご公園」。周辺のカーブミラーはリンゴが型取られていてカワイイ。公園内の樹々にはツリーの飾りのようにびっしりとリンゴの実がついているが、こちらも旬は冬。でも、リンゴ狩りができるとあったので、この時期に獲れる早生種もあるようだ。ランチにはまだ早いので、アップルパイをいただき、奥入瀬渓流へ。
途中、黒石市でランチにご当地グルメの「黒石つゆやきそば」を食べた。モチモチした食感の太麺「太平麺」をウスターソースで炒めたやきそばにつゆがかかっていて、揚げ玉とネギのトッピング。濃い味ながら美味しかった。
ハイパワーは美味。だけどのんびり走るのもまた幸せ
午前中は、幹線道路をメインとした一般道を走ったが、久しぶりの<正統派セダン>がとても新鮮。ハイパワーは大好物だが、パフォーマンスをひけらかさないどころか、このようなシチュエーションでは、まったくスピードを出そうという気にならない。ゆとりあるトルクを感じながら、のんびり走ることを許容してくれた。
奥入瀬渓流沿いの道路は狭く、場所によってはかなり荒れている。だが、もちろん、滑空する白鳥の如く、サスペンションは路面を追従しつつもボディはフラットを保つ。ハンドルを介して、ちゃんと路面状況は伝わるが、ステアリングコラムを伝っての振動など皆無だし、お尻に伝わる入力も至って優しい。
足元はピレリP ZEROを履く。ご存じのとおり、スポーツタイヤであり、コンフォートタイヤではないのにこの乗り心地は素晴らしい。
渓流を過ぎ十和田湖に向かうとワインディングロードになった。街中で小回りが効く印象だったAWSが<よく曲がる>印象となり、グッドハンドリングを楽しめる。
このクルマのエキゾーストシステムにはアダプティブバルブコントロールが採用されていて、SPORTモードでアクセルペダルを踏み込むと野獣の咆哮へと変化する。せっかくなので試してみた。
確かにアクセルペダルを<踏み込む>と咆哮を奏でるが、かなり意図的かつ刹那的なアクセル操作の結果だ。だって、60km/hでも1600rpmほどで走れるから、回転数は上がらず咆哮も聞こえない・・・。
もちろん、アクセルレスポンスやクルマの動きはSPORTモードらしいセッティングを楽しめるが、サウンドを楽しみたいのなら、むしろ高速道路での加速の方がわかりやすいかもしれない。
アクティブAWD がトルクを最適に配分
ところで、青森空港を降りた時には外気温が36度あり、東北の地でも暑さは変わらない印象だったが、奥入瀬に向かうとどんどん気温が下がっていった。そして、渓流を過ぎ、十和田湖畔を走っていると突然の雨。日差しは強いままなのに・・・。かなり大きな雨粒が地面から跳ね返っていたが、こんな状況でも心配ない。
デフォルトではほぼFRだが、路面状況に応じてAWDが最適なトルク配分となり、最大のグリップが保たれるからだ。そして気温は26度まで下がったが、湿度は高いからそれほど快適ではなかった。
もう<残暑>の時期なのに、一向に涼しくなる気配がない。むしろ東北の方が暑いって、どういうこと?なんて思いながら、この後、高速道路で盛岡まで移動して、約300kmのドライブは終了した。
翌日は、盛岡市内にある岩手銀行赤レンガ館~茣蓙九(ござく)あたりをドライブ。赤レンガ館は公開施設や多目的ホールとして現在は営業し、他にも昔ながらの個人商店が立ち並び風情ある一角となっている。そして、15分ほど走れば岩山展望台に着く。ちょっとしたワインディングロードもあり、展望台からは盛岡市内を一望できる。盛岡駅前に戻り、盛岡冷麺のランチ。これが超絶品!!
口福を噛み締めながら、一路東京へ。約600kmのロングドライブだが、まったく苦にならない。ACCとレーンアシストがあれば快適安心。そして飽きると自分で運転したり。一般道を含め、ドライブモードも色々試してみたが、結局、「BENTLEY」が一番賢い選択に思えた。
快適といえば、シートマッサージ。部位やモードまで選べる。シートが合わないクルマだと、サービスエリアでクルマから降りた際、しばらく腰が伸びないが、このクルマは休憩のたび、颯爽とクルマから降りられた。
途中、普段なかなか経験できないリアシートにも座ってみた。スペース広々、ヘッドレストはふかふか、シートリクライニングやブラインドもありと、どうぞおくつろぎください、と言わんばかり。極楽。そして思った。ACCはドライバーにとっても楽だが、同乗者にとっても、乱暴な運転されるより遥かに快適な装備であると。
こうして、地元の美味しいものをいただき、自然豊かな景色を堪能し、充実したコト体験ができた。疲れ知らずで楽しめるのも、ベントレーならではであった。(文:佐藤久実/写真:村西一海)
ベントレー フライングスパー スピード主要諸元
●全長×全幅×全高:5325×1990×1490mm
●ホイールベース:3195mm
●車両重量:2437kg
●エンジン:W12DOHCツインターボ
●総排気量:5950cc
●最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
●最大トルク:900Nm/1350-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム油・90L
●WLTPモード燃費:6.6km/L
●タイヤサイズ:前275/35R22、後315/30R22
●車両価格(税込):3286万8000円
[ アルバム : ベントレー フライングスパースピード&東北グランドツーリング はオリジナルサイトでご覧ください ]
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