■まるで小型ラリーカーみたいに機敏!? 新型「トライトン」に驚く!
三菱自動車工業(以下、三菱)は2023年7月、世界約150か国で販売されるピックアップトラック「トライトン」をフルモデルチェンジしました。2024年初頭には日本にも導入される予定です。
デザインからラダーフレーム、シャシー、ディーゼルエンジンまで全てを一新した三菱の世界戦略モデルに、早くも試乗する機会を得ました。
【画像】「えっ…!」大柄トラック「激走」!? これが「トライトン」の走りです! 画像で見る(50枚以上)
北海道は帯広近郊にある三菱のテストコースに隣接されている「アドベンチャーランド」、イメージとしては狭くて曲がりくねった林道の周回路で、「ダカールラリー」の優勝経験者である増岡 浩さんが新型トライトンのデモ走行をするという。
当初はその走りを外から見るのだと思っていたら、同乗走行とのこと。まだ試作車のため、まぁまぁくらいの速度で走るのかな、と思っていた。
するとどうよ! スタートするやガッツリ全開です。
しかも全長5360mmで車重2140kgもあるピックアップトラックの速度レンジじゃありません。
筆者(国沢光宏)だって、自らWRC(世界ラリー選手権)に出場したこともあり、特に悪路のラリーが「大好物」な実戦経験者なので、狭い林道を全開で走ることについての「免疫」は持っているはずだ。
多少のことじゃ驚かないつもりだったが、ひとつ目のコーナーから「こら凄い!」状態に。
具体的に書くと、最初のコーナーは左の90度。道幅1.5車線。いわゆる対向車が来たらスレ違えない狭い道です。
そこにブレーキで前輪に荷重を乗せ、フェイントでテール流しながら横向いて飛び込んで行く。
当然ながら左前輪はコースのイン側ギリギリ。右後輪はアウト側の壁を擦っていると思う。
右側の荷台なんか、コース外の枝を叩いている。いやはやホントかね。
全長4m+αかつ1トン少々のコンパクトなラリーカーなら、こんな鋭い走りも十分理解出来る。自分でもラリーではそのくらいの運転をしますから。
でも5m+αという全長のうえ、2トンを超える大柄なピックアップトラックでこんな機敏な走りが出来るとは、その時まで想像だにしていなかった。
さすがにABSと横滑り防止装置はヒューズを抜いてカットしているようだが、試乗車のタイヤは標準装着の銘柄で、サスペンションもノーマルだというからさらに驚く。
加えて驚いたのは、新型トライトンがパワフルなことだ。
2.4リッター直列4気筒の新世代ディーゼルターボエンジンは最高出力204馬力、最大トルク470Nmというスペックを持つのだけれど、低い回転域から太いトルクを出しているため、必要にして十分なパワーを出す。
ABSを切っただけのノーマル車でこんなに走れるとは、コレっぽっちも想像していなかった。
もちろん増岡さんのテクニックがあるからこそなのは言うまでもない。
■実際に試乗してみたら「納得」の仕上がり!
そんな新型トライトンへ実際に試乗することができた。
私たちメディア向けに用意されていたコースは、増岡さんが全開走行した周回路でなく、デコボコや車体を傾かせるキャンバー、モーグル路、そして普通なら絶対に試せないような急勾配となっているジャリ道の登坂&降坂路などの悪路コースだった。
コースは、新型トライトンを買ったお客さんでも出くわさないような悪条件を、連続してコースにしたようなイメージで、同乗していると「ゆっくり走るジェットコースター」のようだ。
まずハンドルを握ってみて「なるほど!」となった。
ラダーフレーム構造のクルマに乗っている人なら誰でも解るけれど、通常ならハンドルとタイヤの間に5つくらいゴムを介したようなステアリングフィールを持つ。明らかに乗用車と違う運転感覚だ。
なのに新型トライトンは、ハンドルの遊びを感じることなくシャープ。だからこそ、ラリー車のような走りが出来るのだと思う。
エンジンだってトルクフルだ。
ちなみにジェットコースターのようなコースは、悪条件の区間だけユックリ走ることで、新型トライトンなら簡単にクリアできてしまう。
増岡さんがあれだけガンガンに走って大丈夫であれば、多少の入力なんか全く問題無いと思う。
三菱のクルマに乗って心底驚いたのは、2007年発売の「ランサーエボリューションX(テン)」(ランエボX)以来だから、16年振りということになります。
逆に考えると、16年の間、私のようなクルマ好きを満足させてこなかったワケです。
やはり魅力的な新型車こそメーカーの活力となります。
ここにきて元気を取り戻し始めた三菱が、こうしたニューモデルで新車攻勢を掛けてくるのだから楽しみだ。
好調な売れ行きを見せている「デリカミニ」に続くのが、今回試乗した東南アジアで人気のトライトンということになる。
新型トライトンはトヨタ「ハイラックス」のライバルという立ち位置にあり、日本で販売されるモデルもハイラックスと同様にリアにもドアを持つダブルキャブ仕様だ。
前述の通り、ボディサイズは全長5360mm×全幅1930mm×全高1810mmと、近所のコンビニや買い物の足として使うには大きいものの、休日の遊びの相棒なら問題無し。
一方で、リアシートは乗用車と全く変わらないクオリティを持つので、ファミリカーとしても十分に使える。
加えてディーゼルだから燃費良いうえ、レギュラーガソリンより20円以上安い軽油で走るのも嬉しい。
何より筆者は、増岡さんの走りにヤラれてしまい、もう置く場所がないほどクルマを持っているのだけれど、どれかと入れ替えようかと真剣に考え始めてしまっているほどだ。
今後世界的にBEV(電気自動車)などの電動化が進んでいるなかで、愛車として最後に選ぶ純エンジン車は、トライトンのように燃費が良くドッシリしたクルマが良いのかもしれない。
もしBEVで同じようなスペックを持たせようとしたら、もっと重くて、しかも相当高額になりそうだ。
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みんなのコメント
日産やホンダ、そして三菱も頑張ってくれ!
輩メーカーになったトヨタのハイラックスだのもうけっこうです。