この記事をまとめると
■2023年9月13日から24日の会期で「デトロイトショー」が開催されていた
「IAAモビリティ2023」に大量出展した中国メーカーも日本には興味なし! 「ジャパンモビリティショー」の出展内容は果たしてどうなる?
■世界三大オートショーでもあったが最近はアメリカのメーカーの出展率が高い
■会場ではBEVではなくV8エンジンなどのICEの人気が高かった
いままでほど盛り上がっていないデトロイトショー
2023年9月13日から24日の会期で、アメリカ・ミシガン州・デトロイト市中心部にある「ハンティントン・プレイス(旧コボセンター)」において、「North American International Auto Show 2023(北米国際オートショー2023/通称:デトロイトショー)」が開催された。
かつてはドイツ・フランクフルトショー(IAAの旧開催地)、東京モーターショー、そしてデトロイトショーが“世界三大オートショー”といわれたが、フランクフルトショーは2021年から開催地をミュンヘンに代え、東京モーターショーは今年開催から「ジャパンモビリティショー」と改名するなど、ショーの権威はおろか地盤沈下状況に歯止めがきかない状況が続いている。
デトロイトショーも、コロナ禍以降初の開催となった昨年から、出展メーカーはほぼアメリカンブランドのみとなり、あとは昨年に続きトヨタがブースを構え、ほかに今年の様子をみるとホンダやVW(フォルクスワーゲン)、韓国の起亜自動車がおそらくメーカーとして出展しているのではないかとされている(テスラは会場内試乗コーナーのみ参加?)。
さらに、地元ディーラー出展としてレクサス、メルセデスベンツ、BMW、ボルボ、アウディ、ランボルギーニ、ロールスロイスなどの車両を展示することで、国際ショーとしての体裁を保っており、かつての勢いはなく、ローカルショー色の強いものとなってしまっている。
それでも、地元では数少ない“ビッグイベント”なので、地元ローカルニュースでは開催直前には毎日トップで取り上げていたのだが、今年はショー開催のタイミングでUAW(全米自動車労組)のストライキ突入が間近に迫っており、オートショーは少々扱いが小さくなっていた。
アメリカではまだまだ内燃機関のほうが人気な様子
それもそのはず、かつての勢いはないとはいえ、自動車の街とも言えるデトロイトとその周辺にある、アメリカンブランドの生産工場でストライキに入れば、地元経済は大打撃を受けることになる。ストライキに入った場合の地元経済の損失ははかり知れないので、地元メディアはオートショーどころではなくなるのは理解できる。
ただ、UAWサイドの賃上げ要求は「40%アップ」という破格のものとなっており、仮に要求が通った場合は、アメリカンブランド車の価格アップは避けられないということで、ストライキになかどうかに関係なく厳しい現実が待っているとの声も聞かれた。
2日目の14日は業界招待日となっており、この日ばかりは大手を振って会場内にあるライバル車を思い切り計測するなどチェックできる日であり、そして15日午前0時がストライキ突入へのデッドラインであった。午後11時は各テレビ局でニュースが放映されるのだが、すでに突入確実としたかのように、カウントダウンを行うテレビ局もあった。そして15日午前0時、交渉は決裂しGM、フォード、ステランティスの各工場1カ所ずつがストライキに突入した。
話を再びオートショーに戻すと、アメリカでもBEV(バッテリー電気自動車)の普及促進が行われているものの、主戦場はカリフォルニア州となっており、ほかの州でカリフォルニアばりにBEVが走りまわっていることはなく、もちろんデトロイトのあるミシガン州でも状況は同じである。会場には各アメリカンブランドブースではBEVが展示されているものの、来場者の興味は大排気量V8エンジンを中心としたICE(内燃機関)車となっていた。
アメリカンブランドが今回のショー発表に用意した新型車もメインはICE車となっており、ある意味アメリカンブランドの“覚悟”というか、アメリカの消費者も含めた“本音”というものをショー会場で強く感じることができた。
UAWは賃上げのほか、車両電動化による人員削減への危惧も示しており、主催者なのか出展者なのかは別として、そのようなUAWの動きに忖度した動きがあったのかもしれないとも考えた。
ただし、会場の多くのスペースを割いて設けられた、複数ブランドのBEV試乗コーナーは盛況であり、好き嫌いや買う買わないは別として、デトロイト市及び周辺の消費者も、BEVへの興味が高いことも感じとることができた。
今回のショーをひと言で表現するならば、BEV試乗コーナーがあったりもしたが結果的にその背景は別としても、「ICE車バンザイ!」ということになるだろう。
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みんなのコメント
ただこれまでターボ化とハイブリッド化を推し進めてきたフォードは、F150の主流がV6ツインターボになり、ハイブリッドV6ターボも10%強でV8は縮小し続けているし、ステランティスもV8 HEMIから直6ツインターボへの置き換えを進めている。一気に直4ターボまで落とそうとしたGMはこれに失敗しているけれど。
BEVピックアップはどちらかというと広告塔で実際の影響は少ないけれど、より堅実な燃費改善は進んでいる。
悩むような距離の移動はアメリカならいくらでも。
そういうときはまだまだ内燃機関に分がある。