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よりBMWらしくなった新型3シリーズがDセグを席巻する?──本格スポーツセダンへの回帰

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よりBMWらしくなった新型3シリーズがDセグを席巻する?──本格スポーツセダンへの回帰

世界の高級車市場を牽引しているのは、間違いなくドイツのプレミアム御三家、アウディ、BMW、メルセデス・ベンツだ。自社ブランド製品のみならず、主立った超高級ブランドは、伊フェラーリ&マセラティと英ジャガー&レンジローバー、米キャデラック&リンカーンを除き、そのすべてが御三家が率いるグループの傘下もしくは影響下にあると言っていい。

面白いのは本丸ブランドのアウディ、BMW、メルセデス・ベンツが、80年代以降、ほとんど同じようなモデルラインナップで“抗争”を繰り広げてきたこと。否、抗争なんていうと真っ向勝負の潔さを思ってしまうけれど、実際には微妙に発表する時期やモデルのキャラをずらしながら互いを尊重し共存してきた、と言った方がいいかもしれない。ドイツの国益を第一に考え、3グループ共に繁栄するべく、まるで裏で示し合わせていたかのように……。

スポーティセダンのディーゼルはコレで決まりだ!──BMW新型3シリーズをポルトガルで試す<320d編>

たとえば、これら3ブランドが主力とするDセグメントのサルーン&ワゴン=アウディA4、BMW3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラス、を振り返ってみれば、ライバル同士凌ぎを削ってきたかのように見せかけて、実は案外みんなでホクホク成功してきたことが見えてきたりもする。

もちろん、それはうがった見方でしかなく、互いに人気の強敵ゆえ戦略的にそうせざるをえなかったというあたりが真相なのかも知れない。けれども、デビューのタイミングや仕様や機能の横並び感、はたまたキャラクターの補完具合まで考えると、やっぱり“国を挙げて”の戦略のようにもみえてくる。

このところのDセグメントは世界的なラグジュアリーカーのメインストリームに則って、スポーティさをアピールする場合が多かった。A4やCクラスがまるでBMWばりに機敏なハンドルさばきを実現したものだった。背景にはニンブル好きなアメリカ市場を意識した、ということもあった。その間、当のBMW3シリーズといえば、ひと頃の硬派ぶりは影を潜めたかのようにみえていた。

ところが最近になってCクラスにははっきりとマイルド路線への揺り戻しがみえはじめた。もちろん、スポーティなグレードは残っているし、ラインナップ内でメリハリをつけたとも言えるわけだけれども、全体的に泰然とした乗り心地重視が見え始めていたのもまた事実だ。

そんななか、BMW3シリーズが新型へフルモデルチェンジした。2016年に現行型アウディA4が本格導入され、2018年にメルセデスのCクラスがビッグマイナーチェンジ、そしていよいよ2019年春以降には新型BMW3シリーズがやってくるというわけで、気になるのはその開発コンセプト、すなわちクルマのキャラクターだった。

ドイツのライバルたちがコンフォート路線を歩むなか、イタリアやイギリスの老舗がリリースした“Dセグ新興勢力”も今や無視できない存在に。たとえばアルファロメオ ジュリア、たとえばジャガー XEシリーズ。この2台はともにFRでスポーツサルーンをストレートに標榜している。BMWも黙ってはいられないはずだった。

はたして、新型3シリーズはどの路線に向かったのか? ポルトガルはアルガルヴェ地方で開催された国際試乗会に参加したので、そのファーストインプレッションをお届けしよう。

新型のボディサイズ、というかプロポーションに、BMWの意思は既に現れていた。ホイールベース(前後車軸距離)をより長く、トレッド(左右車輪距離)をより幅広く、そして全高はほぼ現状維持。相対的にはいっそうワイド&ローのセダンフォルムを実現したことになる。意味するところはズバリ、スポーツセダンへの本格回帰だ。開発陣もこう言って憚らなかった。

試乗車は車高が10mm下がった“Mスポーツ”グレードの330iだ。ガソリンの2リッターターボで、190kW&400Nmという仕様。これでまずはアルガルヴェの郊外を思う存分走り回ってみた。

けっこうハードな乗り心地だった。何世代か前の3シリーズを思い出した。もっとも、これはかなりスポーティなグレードの19インチタイヤ(ミシュランパイロットスポーツ4S)を履いていたこととMスポーツアシだったからだろう。それよりもスポーツセダンらしいと思ったのは、ハンドル操作で前輪を好きな場所にもっていけるという感覚がFRのサルーンとしてはずば抜けて高いからだった。どんな速度域でも、前輪を自在にコントロールできているという自信が湧いてくるとでも言おうか。その精緻な動きに感嘆した。

そのうえ、荒れた路面をものともせず、フラットなライドフィールを維持してくれる。多少大きめの凸凹でも音を上げない。新しい仕組みのダンパーが見事に吸収し、しかもフラットな姿勢へと戻す力も素晴らしい。ここ最近ではまず間違いなく最高のアシをもつスポーツセダンである。

ちなみに、2019年3月に世界一斉で予定されているデリバリー(日本での正式発表は1月末の予定)に際しては、日本へは330iMスポーツのほかに、同じ2リッター直4ターボながらパワースペックの低いエンジンを積む320i(Mスポーツとノーマルグレード)の上陸が予定されている。その後、年央にはディーゼルエンジン仕様とプラグインハイブリッド仕様、さらに秋以降にはハイパワー仕様のMパフォーマンス(Mモデルではないが)やツーリングボディが追加される。

2019年のDセグメントは、3シリーズ一色の年になりそうだ。

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