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【試乗】プジョー208は高いクオリティとダイナミックなハンドリングが持ち味の新感覚コンパクトカー

掲載 更新 18
【試乗】プジョー208は高いクオリティとダイナミックなハンドリングが持ち味の新感覚コンパクトカー

208は、プジョーブランドのエントリーモデルと思われがちだが、今回デビューした新型は、デザイン、走り、装備、そしてADAS(先進安全運転支援機能)などBセグメントのあらゆる基準や常識を破った意欲作となっている。(Motor Magazine 2020年9月号より)

従来モデルから大胆な変身を遂げスタイリング
とにかく従来型とはなにからなにまで別物。受け継いだのはモデル名だけではないかと思えるほど、プジョーの新型208は大胆に生まれ変わった。

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そもそも外観からして従来型の面影は片鱗さえ残っていない。タマゴを連想させる柔らかな球面で構成された先代から、新型は直線が強調されたデザインに改められ、しゃっきりと背筋が伸びたプロポーションを得た。

ボディサイズは直接のライバルであるフォルクスワーゲン ポロやルノー ルーテシアとほぼ同じ。寸法関連で3台が異なっているのはトランクルームの容量くらいだ。ちなみに最大は351Lのポロで最小は265Lの208。とはいえ、荷室容量だけでクルマを選ぶ人は少ないだろう。

実車を目の前にすると、新型208は実際の寸法以上に大きく見える。それは水平と垂直のシンプルな面構成がクルマの存在感を強調する効果を生み出しているから。また、このセグメントにしては比較的長めのボンネットもボディを大きく見せる一因になっていると思う。

それにもまして印象的なのが、各パネルの仕上げが緻密になってボディ全体からクオリティ感が匂い立っている点。比較的シンプルな造形ながら要所要所にキャッチーなデザインアクセントを盛り込むことで、ユニークな個性を生み出していることにも注目したい。

また、全体的な印象が女性的だった従来型からたくましく男性的なイメージを前面に打ち出している点も、新型の特徴といえる。

なめらかな乗り心地と高い剛性感に圧倒された
変わったのは、外観だけではない。208にはCMPと呼ばれる新開発プラットフォームが用いられている。グループPSAとしてはDS3クロスバックでひと足先に世に出たが、プジョーブランドでは208が初お目見え。その特徴はエンジン車だけでなくBEVにも使える多用途性、旧プラットフォームに比べて30kgも軽い軽量設計、駆動系やサスペンションのフリクション低減などにある。

1.2L直列3気筒ターボエンジンは旧型からのキャリーオーバーと言えなくもないが、新たにガソリン パーティキュレートフィルターが装着されてユーロ6d対応となった。そのせいかどうか、旧型に比べて最高出力は10ps下がったが、ギアボックスは6速ATから8速ATに進化し、結果としてJC08 モードは7%ほど新型が上回っている。

新型208のもうひとつの特徴は、前述のとおり同じボディでBEV仕様が用意される点にある。e−208と呼ばれるBEV版は100kwのモーターと50kWhのバッテリーを搭載。WLTPで最大340kmの航続距離を備える。価格はガソリン版のざっと130万円高。日本でもすでに発表されているので、ほどなく実車が上陸するだろう。

試乗したのは3グレードあるうちの真ん中に位置するアリュール。このほかにエントリーモデルのスタイルとスポーティなルックスのGT Lineが用意されるが、装備品を除けば足まわりやエンジンなどはアリュールとGT Lineで共通だという。

それでは、そろそろ208アリュールに試乗してみよう。走り始めた瞬間、滑らかな乗り心地と巌のごときボディ剛性感に圧倒された。そして思った。「これが本当にBセグメントか?」と・・・。しなやかな足まわりと、これを揺るぎない大地のようにしっかりと支える強固なシャシのおかげで、ボディは驚くほどフラットな姿勢を保って乗員に深い安心感を味わわせてくれる。この落ち着きあるマナーは極上のCセグメント、あるいはプレミアムブランドのDセグメントに匹敵するレベル。静粛性も申し分ない。そんな208の上質な快適性に、私はまず刮目させられた。

3気筒エンジンのまとめ方がうまいことにも驚いた。市街地をおとなしく走っている範囲でいえば、3気筒らしいゴロゴロとした振動や独特のエンジン音はほとんど認められない。これには、エンジンが低回転域からたっぷりとしたトルクを生み出すため、さほどアクセルペダルを深く踏み込まずに済むことも関係している。DS3クロスバックに積まれる130ps仕様に比べればトップエンドの伸びやかさに欠けるが、高回転を多用しないドライバーであればこれで十分だろう。

3D表示されるメーターは未来的なデザインである
208でデビューした3D i-コクピットの仕上がりにも圧倒された。プジョーのi-コクピットといえば、私を含め、小径ステアリングホイールの上からメーターパネルをのぞき込むそのレイアウトに違和感を持つドライバーが少なくなかったはず。けれども、208のインテリアはデザイン、クオリティともに秀逸で、見ているだけで心が浮き立ってくる。

私は、ドライバーが長時間を過ごすコクピットこそ良質で飽きのこないデザインにすべきとかねてより信じていたが、このクラスでは、ドイツ車は質感が高くてもデザインが退屈な場合が多く、フランス車はデザインが斬新でもクオリティ感でがっかりすることが少なくなかった。

しかし、新型208の3D i-コクピットはグラフィックの凝り方が素晴らしいだけでなく、ダッシュボード周辺のデザイン性と質感にも目を見張らされた。いままでこのクラスになかったレベルの仕上がりといえる。とりわけ、新たに採用されたメーターパネルの3D表示が魅力的。数字やアイコンを手前側と奥側の2層に映し出して立体感を生むのだが、淡いブルーを主体としたグラフィックがほんのりと浮かび上がる様はまさに未来的。奇をてらったデザインではないので、長く使っても飽きないだろう。

個人的に違和感を拭いきれなかった小径ステアリングホイールについても、今回自分なりのブレイクスルーを見つけることができたので紹介したい。そのポイントは、まずステアリングホイールの上端ではなく回転軸を基準にしてチルト機構を調整する、そしてできれば9時15分ではなく、そこより少し高めの10時10分あたりを握る、の2点。こうすれば、おそらくメーターパネルの下端までしっかり視認できるうえ、自然な態勢でステアリングホイールを握れる。しかも、いったんこれに慣れると腕の動きが小さくて済む小径ステアリングホイールのメリットが明確に感じられて、ドライビングが一層楽しくなるはずだ。

あらゆる要素を高い次元でバランスさせた
やがて208はまるで私の身体の一部のように馴染んでいったが、高速道路を走り、ワインディングロードを攻めるうちに、小さいながらも弱点が見えてきた。たとえば市街地でまったく不満を覚えなかったエンジンは、アクセルペダルをおおむね半分以上まで踏み込むと3気筒のビート感が直接感じられるようになる。もっとも、安っぽいノイズではないので失望はしないが、4気筒に比べれば滑らかさに欠けるのはやむを得ないところだ。

それとともに気になったのが、エンジンの停止や再始動時に感じられる振動である。それが認められるのはあくまでも一瞬で、最初はあまり気にならなかったが、まるでエンジンマウントがへたっているかのようなバイブレーションを繰り返し体験するといささか辟易としてくる。3気筒の振動を吸収するために、エンジンマウントを柔らかくしなければいけない事情があったのかもしれないが、改善を望みたい点である。

滑らかな乗り心地と強固なボディ剛性にしても、素早い周期で足まわりが上下する路面では振動の吸収が間に合わなくなり、やや直接的なショックを伝えることがある。そんなときにはボディにも微振動が残るようだ。この辺の足まわりのチューニングはプジョーが昔からもっとも得意とするところだったので、ほどなくうまくまとめてくれると信じたい。

あれこれ注文もつけたが、新型208は個性の面でも実力の面でもBセグメント市場に旋風を巻き起こすのは間違いないと思う。たとえばハンドリング、たとえば動力性能といった面でライバルが208に優っている部分はあるかもしれない。けれども静粛性や快適性、シャシの総合性能、デザインとクオリティ感、さらには価格などを、ここまで高い次元でバランスさせたBセグメントモデルは他にない。この市場で長年成功を収めてきた老舗ブランドも、ウカウカとはしていられないはずだ。(文:大谷達也)

■プジョー208 アリュール 主要諸元
●全長×全幅×全高=4095×1745×1445mm
●ホイールベース=2540mm
●車両重量=1160g
●エンジン= 直3DOHCツインターボ
●総排気量=11994cc
●最高出力=100ps/5500rpm
●最大トルク=205Nm/1750rpm
●駆動方式=FF
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=259万9000円

[ アルバム : プジョー208 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

18件
  • 超モンスター級の排気量だな。
  • ディーゼル出さないのかな?
    プジョーといえば、ダンパーとディーゼルが強み(セールスポイント)だとメーカーが公言してるくらいだから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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