もくじ
ー ベースはメルセデス・ベンツ220
ー ユニークな人生を歩んだ1台
ー 要レストア、だがポテンシャルあり
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ベースはメルセデス・ベンツ220
パッと見て、この個体は錆だらけで窓も全部抜けたボロボロのクラシックカーに見えるだろう。レストアしようと試みたが、結局忘れてしまったまま時間が経ち、雨ざらしになったというところだろうか。
だがよく見て欲しい。ボンネットにはメルセデス・ベンツのエンブレムがあるが、そのボディの形状は20世紀半ばのランチアらしい姿を現している。
この不思議な個体は確かにメルセデス・ベンツなのだ。だが、そのボディワークは世界にひとつしかないワンオフのカスタム。この特別な1台はなんと、パリで来週開かれるオークションに登場する。
シャシーはメルセデス・ベンツが1950年代前半に製造した高級ツアラーのメルセデス・ベンツ200 (W187)である。220は戦後にメルセデスが製造した6気筒エンジンモデルのひとつだ。
約1万8500台の220がセダンやクーペ、カブリオレなどの形で製造されたが、シャシーナンバー187011 02323/52のこの1台だけがランチア風なスタイリングにされてしまった。
1952年にセダンとして製造されたこの個体は、ベルギーのアントウェルペン州メヘレンにある輸入業者が仕入れ、その後ベルギーとオランダを行き来する人生を送ってきたとみられる。どんな人生だったのだろうか?
ユニークな人生を歩んだ1台
どのような過去を歩んできたかは多くが不明だが、とある事故がきっかけで今のスタイルにカスタムされたと予想される。
そして施されたボディワークも非常に特殊で、そのロングノーズと平らなフロント、曲線を描くウインドウ、短いリアなどはランチア・アウレリアB20を彷彿とさせるスタイリングだ。
アウレリアB20はカロッツェリア・ギアのフェリーチェ・マリオ・ボアーノがスタイリングを手がけた2ドアクーペ。2ℓV型6気筒エンジンを搭載し、1951年に販売された。
一方でこのメルセデスの方も非常にそのスタイリングを上手に再現しているが、一体誰が手がけたのだろうか? 今回のオークションを担当するボナムスはふたつの仮説を提唱する。
ひとつはこの個体が事故に巻き込まれた後、ドイツにある特殊なボディワークなどを手がけるテクニカルカレッジ、MHKが担当したという説だ。
もうひとつはベルギーにあるコーチビルダーが手がけたという説だが、これらの真偽を裏付ける証拠はない。
いずれにせよ、このボディワークの出来は素晴らしい。アウレリアB20が持つ麗しいデザインを素晴らしく再現できており、220のシャシーにもぴったりと合わせられている。
要レストア、だがポテンシャルあり
いつ頃このボディワークが製作されたかは不明だが、1968年のオランダの登録書類はこの車体を2ドアクーペと説明しており、1973年に書かれた手紙も特殊なボディワークについての記載がされている。
1970年代に撮影された写真では綺麗な状態のボディーと錆ひとつないイエローの塗装がかつての輝かしい時代を象徴している。
現在の状態は決して良いものとは言えない。窓ガラスやトランスミッションなどの主要な部品が取り外されているが、エンジンは搭載されているままである。ボナムスは取り外されているパーツなどは依然として前のオーナーが保管しているとみている。なので新しくオーナーになる人物は整備と部品探しの両方ができなければならない。
気の遠くなる作業が待ち受けているかもしれないが、このユニークな1台は多くの可能性を秘めているのは確かだ。特に程度が良い通常のメルセデス・ベンツ220が10万ポンド(1420万円)で取引されているという点を考慮すると、かなりお得と考えられるだろう。
レストア計画に自信があり、興味を持った方は2月7日にパリにて開かれるボナムスのオークションへ向かうことをオススメする。良いニュースは、このメルセデスは最低落札価格が設定されていない。予想価格も1万3000ポンド(185万円)と非常に低く設定されている。
だが気をつけて欲しい。このメルセデスのレストアには多額の費用と時間がかかるということを忘れないように。
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