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雨の間隙をぬった終盤の一撃でトヨタ小林可夢偉が最速。コースアウトも相次ぐ/WEC富士FP3

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雨の間隙をぬった終盤の一撃でトヨタ小林可夢偉が最速。コースアウトも相次ぐ/WEC富士FP3

 富士スピードウェイでのWEC世界耐久選手権第6戦『6 HOURS OF FUJI 2023』が走行2日目を迎え、現地9日午前10時20分から1時間のFP3が実施された。前日に続いてふたたびの雨が舞う中で、終盤のクリアラップ1発を決めたTOYOTA GAZOO Racingの7号車、トヨタGR010ハイブリッドの小林可夢偉がトップタイムを記録している。

 前日午後のFP2こそドライ路面での走行が実現した日本ラウンドだが、台風一過の静岡県は前日夜半から再び降雨に見舞われ、午前10時のサーキットサファリ開始時点で、路面は半乾きのダンプ状態となった。

【タイム結果】2023年WEC第6戦富士 FP3

 世界選手権でも恒例となったファン大興奮の12分間は、バスの車列背後をセーフティカーが守りつつ悪条件のなか無事に終了。そのまま10時20分からの本格セッション開始以降も気温23.8℃、路面温度28.1℃、そして湿度は実に91%というコンディションでの走行となった。

 各陣営とも午後の予選に向け最後の確認枠ということもあり、サファリ中からまだまだ水煙の上がるホームストレートを駆け抜け精力的にラップを重ねていく。序盤の15分ほどは各車ともウエットタイヤでの走行が続いたが、ハイパーカーは上位勢から徐々にミシュランのミディアムコンパウンドへとスイッチ。

 ここでいち早く1分35秒台に入って最速としていた38号車ポルシェ963(ハーツ・チーム・JOTA)のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、スリック換装とともにウィル・スティーブンスにシートを譲る。

 ここからはラップごとに秒単位でタイムが改善し、TOYOTA GAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッドをドライブするブレンドン・ハートレーが1分31秒台へ。そこへ2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)のアレックス・リン、AFコルセの50号車フェラーリ499P、アントニオ・フォコも続いていく。

 キャデラックのリンは直後に1分30秒915とさらにタイムを詰め首位に浮上し、刻々と路面状況が変化するなか、ハイパーカークラス唯一の自然吸気モデルで果敢なドライビングを見せる。

 一方、この時点で5番手につけていた51号車フェラーリ499Pのアントニオ・ジョビナッツィは、ダンロップコーナーのブレーキングゾーンで前を行く38号車に急接近。あわや追突の場面をアウト側に逃れる一幕も。

 この時点でその38号車ポルシェをドライブしていたイーフェイ・イェは、11時を回ったところで1分30秒791を記録しタイムボード最上段へ。レコードライン上はほぼドライに転じたことから、チームはより良い条件で予選シミュレーションを敢行したいと判断したか。その直後に再度、ダ・コスタへとステアリングを引き継ぐ。

 すると後半セクターを中心にまたも霧雨が舞い始めるなか、38号車は1分30秒676までタイムアップ。しかし、そのJOTAを上回ったのは7号車トヨタGR010ハイブリッドの小林可夢偉だった。可夢偉は1分30秒068までタイムを削ってくる。

 残り時間が少なくなるなか、各車とも予選に向けアタックの感触を掴みたいところだったが、コース上の雨量は増すばかりで満足なラップはできず。11時20分のチェッカーで7号車が今週末初めてとなるセッショントップタイムを記録し、2番手には終盤に8号車とのサイド・バイ・サイドでトラックポジション紛争を演じながら、ギリギリのタイミングでタイムを更新したロイック・デュバルの94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)が飛び込むことに。

 さらに3番手は38号車ポルシェと、各コンペティターがトップ3を分け合う展開となり、雨にも阻まれたことで予選に向けた本当の相対戦力差は未知のベールに包まれたまま……となった。

 なお、雨の強まったセッション終盤には、LMGTEクラスの車両を中心に、コースオフも相次いだ。


 同じく1時間を通じて目まぐるしく首位が入れ替わったLMP2クラスは、終盤に36号車アルピーヌ・エルフ・チームを逆転したオリバー・ジャービスの23号車オレカ07・ギブソン(ユナイテッド・オートスポーツ)が1分34秒258のトップタイムを記録。僚友の22号車(フレデリック・ルビン/フィリップ・ハンソン/フェリペ・アルバカーキ)も1分34秒608で3番手に入った。

 LMGTEアマクラスでは、開始20分でLMP2クラスの34号車(インターユーロポル・コンペティション)とターン1で交錯し、車体にダメージも負っていたAFコルセの54号車フェラーリ488 GTEエボが、ダビデ・リゴンの怒りのドライブで最速を奪取。

 その背後2番手には、11時を前に藤井誠暢のドライブで一時首位にも立った777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)が続き、デンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSR-19が並ぶトップ3に。

 サファリの走行を担当したスコット・ハファカーからクルマを引き継ぎ、前日に続きセッション開始の担当を任された宮田莉朋の57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)は、その宮田のベストタイムでクラス5番手。同じくセッション開始から小泉洋史が乗り込んだAFコルセの21号車は、クラス11番手でセッションを終えている。

 引き続き不安定な天候の続くWEC第6戦富士の予選はこの後14時40分から実施の予定。ドライでの走行が期待されるなか、LMGTEアマから各クラス15分間の勝負で決勝グリッドが争われる。




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