日産自動車は2023年8月8日、プレミアムスポーツセダンの13代目スカイライン(V37)にNISMOモデルの「スカイラインNISMO」をラインアップし、1000台限定で本年9月上旬に発売すると発表。合わせて、初代“スカG”ことS54A-1型スカイラインGTの誕生60周年を記念した特別仕様車の「スカイラインNISMOリミテッド」を設定し、100台限定で2024年夏に発売するとアナウンスした。
車両価格は以下の通り。
「重ねた時。走り抜いたその道。GT-Rの集大成」を謳う日産GT-Rの2024年モデルが発表
スカイラインNISMO:788万400円
スカイラインNISMO RECAROシート+カーボン製フィニッシャー装着車:847万円
スカイラインNISMOリミテッド:947万9800円
今回の特別仕様車は、1964年3月に発表、5月に発売されたS5型系2代目スカイラインのGTモデル、S54A-1型スカイラインGTより受け継ぐグランドツーリングカーとしての資質に、NISMOならではのレーシングテクノロジーを活かした空力とシャシー技術を融合させ、より速く、気持ちよく、安心して走れる究極のGTカーを目指して開発したことが特徴である。
まずパワーユニットは、既存のスカイライン400R用のVR30DDTT型2997cc・V型6気筒DOHC直噴ツインターボエンジンをベースに、GT500レース用エンジンに携わった開発者が、同じ開発設備を使って専用チューニングを実施。最高出力はベースユニットの405ps(298kW)/6400rpmから420ps(309kW)/6400rpmへと向上し、また最大トルクも同48.4kg・m(475Nm)/1600~5200rpmから56.1kg・m(550Nm)/2800~4400rpmへとアップさせ、より力強く伸びのある加速を実現する。また、ドライバーが日常のドライブでも“速さ・愉しさ”を体感できるよう“気持ち良い加速”を追求。開発ドライバーによる徹底的な走り込みにより感性面での加速フィールの磨き上げを行い、例えば高速登坂路における追い越し加速では、圧倒的なエンジンのトルクによって通常ではシフトダウンしたくなる状況でも5速ホールドのままアクセルを踏み込むだけでリニアかつ力強い加速力を発揮し、安心感の高い余裕のある追い越しを可能とした。
パワーユニットの出力アップに対応して、エンジンやトランスミッション、ステアリング、サスペンションなどを統括制御するドライブモードセレクターにも専用チューニングを施す。STANDARDモードとSPORTモードには、増大したエンジントルクを活かした加速の伸びと余裕を得られる専用の特性を採用。加えてSPORTモードおよび SPORT+モードにはNISMO専用シフトスケジュールを導入し、エンジンの回転を高回転域に維持することで、スポーツ走行時におけるさらなるレスポンスの良い走りを実現した。
足回りのチューンアップも図り、駆動輪となるリアタイヤにはサイズをベース車の245/40RF19から265/35R19へと20mmワイド化した専用開発のDUNLOP SP SPORT MAXX GT 600を採用(フロントは245/40R19サイズ)。フロントとリアタイヤで異なる扁平率とし、合わせて前後のバランスを取るためにトレッドパターンもフロントとリアそれぞれ専用のパターンとする。さらに、開発ドライバーの限界評価によりコンパウンドと内部構造をチューニングすることで、剛性としなやかさを両立。一部素材の最適化によって軽量化も果たした。一方でホイールには、フロント9J×19/リア9.5J×19のNISMO専用エンケイ製19インチアルミホイールを採用。構造については、スポーク面を最初に冷却、凝固させ、金属組織を微細化して強度を高める、エンケイ独自の「タービル鋳造システム」を採用し、またリム部は芯金に加圧しながらリムを延ばす、エンケイ独自の「MAT工法」により、金属組織内にメタルフロー(鍛流線)を作り出して、鍛造並の強度を達成する。リムを薄く強くするとともに、軽量化も成し遂げた。さらに、鋳造ならではの造形自由度も生かした美しいデザインを創出。そして、ホイールサイズをフロント+12.5mm、リア+25.5mmにワイド化することで、ホイールへの横力に対してより踏ん張りが効く剛性を確保している。
タイヤのワイド化に即して、サスペンションにも専用セッティングを施す。具体的には、NISMO専用リアスタビライザーを組み込み、合わせてバネ定数を44%アップ。フロントサスペンションスプリングのバネ定数も4%アップする。これによりワインディング走行時のロールを抑えて安定感を向上するとともに、起伏のある路面でのピッチングを抑制し、タイヤのパフォーマンスを最大限に発揮することを可能とした。
制動機構の性能アップもトピックだ。4輪対向ピストンブレーキに耐フェード性が高いLow Steelブレーキパッドを採用。既存のスカイライン400Rに対して温度比較で約1.5倍の耐フェード性を確保する。また、タイヤ、サスペンション、ブレーキの性能向上に対応して、VDC/ABS/TCSにもNISMO専用チューニングを実施。VDCは限界走行時の制御量を最適化し、車両性能をスポイルしない制御を実現。また、ABSはタイヤおよびブレーキパッドの変更に合わせて制御を見直し、100→0km/h減速時の制動距離はスカイライン400Rに対して約4m短縮する。さらに、TCSはエンジンのトルクアップに合わせて作動時間を変更し、より早いトルク復帰を成し遂げた。
ボディの改良にも抜かりはない。前後ウィンドシールドガラスの接着剤にはGT-R NISMOにも取り入れている高剛性接着剤を採用し、車両重量を増やすことなく車体剛性を向上。また、NISMO専用フロントおよびリアバンパーやサイドシルプロテクターを装備するとともに、フロント/リアバンパー下部形状、サイドシル形状、リアスポイラー形状を最適化して、空気抵抗を低減しながらダウンフォースを大幅に引き上げる。合わせて、エンジンの高性能化に即して冷却性能も高め、フロントバンパー開口部内にエアダクトを追加して熱交換器の中央に気流が当たるよう調整。ダクト下面に開口部を設けて気流を下方に流すことでバンパー内の圧力を制御し、スポーツ走行でも安心して走り続けられる冷却性を確保した。
エクステリアデザインに関しては、前後のバンパーとサイドシルカバーをスカイラインNISMO専用パーツとして開発し、同時に細く鮮やかなレッドアクセント、NISMO専用前後LEDフォグランプ、NISMOエンブレムなど新世代NISMOロードカー共通の要素を纏うことで、ひと目でNISMOとわかるスタイリングを創出する。中でもフロントバンパーロアグリルとフォグランプを取り囲む造形や、ボディサイドのリアホイール中心を前後に貫くサーフィンラインをオマージュした造形により、往年のスカイラインを彷彿とさせる伝統と力強さを表現。また、フロントフェンダー後部には栄光の“赤バッジ”をイメージした専用GTエンブレムを装着した。ボディサイズは既存のスカイライン400R比で25mm長く、それ以外は同寸の全長4835×全幅1820×全高1440mm/ホイールベース2850mmに設定。ボディカラーは専用色のNISMOステルスグレーのほか、カーマインレッド(CM)、ブリリアントホワイトパール(3P)、ダークメタルグレー(M)、メテオフレークブラックパール(P)という計5色をラインアップしている。
インテリアについては、走りを愉しむために研ぎ澄まされたデザインと機能を存分に取り入れたことが訴求点だ。カラーリングはブラック基調で統一したうえで、コクピット周りにレッドセンターマーク付のNISMO専用本革巻ステアリングや、280km/hスケールのスピードメーターおよびNISMOロゴを配したレッドリングタコメーターで構成する専用ファインビジョンメーターを装備。1000台の限定台数を示す専用シリアルナンバープレートも配備する。一方でシートには、ダイヤキルティングとレッドステッチを配した本革スポーツシート(前席ヒーター付)を装着。オプションとして、NISMO専用チューニングRECARO製スポーツシート(前席)+専用リア固定式シート&カーボン製フィニッシャーを用意した。このスポーツシートは、黒を基調に赤をセンター配置したコーディネーションに、スウェード調表皮の貼り分け位置にこだわり急旋回時でもシート中心部に体圧が残る高いホールド性を実現。加えて、着座時の体圧の分散を最適化する座面構造の採用により、グランドツーリングに求められる快適性も確保している。
特別仕様車のスカイラインNISMOリミテッドの内容に話を移そう。最大のトピックは横浜工場の匠ラインにて特別な資格を持つ匠が1つひとつ手組みで作り上げる高精度なVR30DDTTエンジンの採用で、製造ラインのブースで部品ごとの温度ばらつきを均一化した後にバルブクリアランス公差を通常の±40μmから±20μmまで高精度化して性能ばらつきを極限まで低減。その証として、NISMOリミテッド専用 匠ネーム&シリアルナンバーラベルをエンジンルーム内に装着する。組み合わせる7M-ATx(マニュアルモード付フルレンジ電子制御7速AT)も、ユーザーに届いたその日から変速タイミングが最適状態となるように作り出された特別走行パターンを栃木工場で実施。トランスミッション個体に対する変速学習を促進完了させた上で出荷することで、変速精度をいっそう向上させた。
外装については、1964年のスカイラインGTのレース仕様をオマージュした専用フードデカールや、“GT LIMITED”専用エンブレム(リア)を配備。足もとにはレース車を想起させるデザインに、日産初採用となる艶消しガンメタリック塗装を施したエンケイ製19インチアルミホイールを組み込む。ボディカラーはNISMOステルスグレー、ブリリアントホワイトパール(3P)、ダークメタルグレー(M)の3色を設定した。一方でインテリアに関しては、前述のNISMO専用チューニングRECARO製スポーツシート(前席)+専用リア固定式シート&カーボン製フィニッシャーを標準で採用したほか、100台限定を刻印した専用シリアルナンバープレートを装着している。
なお、スカイラインNISMOリミテッドはオンライン応募による抽選販売を予定。限定台数の100台を超える応募があった場合は抽選の上、当選者を決定するという。
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みんなのコメント
Zの抽選に外れた人たちは苦々しく思って他社に流れるだろう。
ホンダ、F1やってます。
トヨタ、ル・マンとWRCやってるよ。
日産、えっとフォーミュラEやってるよ?誰も注目してないけど。