オークション界では911を中心に今後もブームメントを作りそうな気配
2023年8月17日~19日、RMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてポルシェ「911ターボ3.6」が出品された。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。
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パワーステアリングとABSが標準装備された964型
すでに60年近くにわたって、世界のスポーツカー・エンスージアストを楽しませてくれている伝統の作品と言えば、それはポルシェの911シリーズを除いてほかにはない。もちろんこの60年間の間、ポルシェは911シリーズの進化に常に熱い情熱を注ぎ、大別してもそれはファーストモデルの901型から、930型、964型、993型、996型、997型、991型、そして992型へと発展を繰り返してきた。この中で大きな転機となったのは、やはり1993年に誕生した993型で、それまで継承されてきた水平対向6気筒エンジンは、ここまでが空冷式として設計されている。
その事実を考えると、あるいはポルシェ911の歴史にヒストリックのラインを引くとするのならば、993型と996型の間にそれは存在してよいとするのも、ひとつの考えであるのかもしれない。後継車の996型が登場したのは1997年。それはつい最近のことのようにも思えるが、実は今から26年も前の話であることを考えれば、ほかのメーカーの扱いを見るまでもなく、この年代のモデルはすでに完全なクラッシックに定義される。今回紹介する964型の911はデビューが1989年だから、近年クラッシックとしての価値が大きく高まっているのも自然な成り行きだ。
先代のカレラ3.2と比較して、85%ものパーツが新しく設計し直されたとされる964型の911。そのラインナップの中心にあったのは、自然吸気の3.6L水平対向6気筒自然吸気エンジンだった。オールアルミニウム製のブロックに、7つのメインベアリング、ツインスパークイグニッション、ドライサンプの潤滑方式。シャシーもその設計は大幅に変更されコイルスプリングとショックアブソーバーが採用された。パワーステアリングとABSが標準装備されたのも、この964型の大きな話題だった。
わずか1年のみの生産だった
一方のターボモデルについては、ポルシェはもちろん最新のM64型ユニットをターボ仕様とする計画を持ち合わせていたが、そのプランは若干遅れ、当初は930型911ターボのM30型3.3Lターボエンジンをさらにチューニングして市場へと投入された。
実際に今回RMサザビーズのモントレー・オークションに出品された3.6Lのターボエンジンは、3.6LのM64型エンジンをベースに360psの最高出力を発揮させたM64/50型エンジンを搭載したもので、燃料供給は機械式燃料噴射のボッシュ製KEジェトロニックによって行われている。レッドに塗装されたブレーキキャリパーやスピードライン製の3ピース18インチ径ホイール、20mmローダウンされた車高やRSと同タイプのリアセンターバンパーなどが新たに装着されたのも特徴だ。
964 3.6ターボは1993年2月に発表され、1993年と1994年のモデルイヤーにのみ販売された。そのため生産台数は非常に少なく、ワールドワイドでも生産台数は1500台に満たなかったとされる。出品車はその中でもライトグレーとブラックレザーのインテリアに、ミッドナイトブルーメタリックという珍しいエクステリアカラーで仕上げられた一台。走行距離はわずかに2万5600kmと、1993年9月にドイツのカスタマーに納車されたことが信じられないほどに小さなマイレージを刻むのみだ。
プロダクションの資料によれば、この964 3.6ターボには容量が92Lのガソリンタンク、電動スライディングサンルーフ、高級なレザーシート、オーディオシステムなどのオプションのほかに、ポルシェのオーナーブック、救急箱、ロードトライアングル、レジストレーション・ドキュメントなどが付属している。
RMサザビーズの予想落札価格は、その希少性やコンディションを高く評価した50万~60万ドル(邦貨換算約7250万円~8700万円)と提示されていたが、落札価格はちょうどその中間付近の55万5000ドル(邦貨換算約8050万円)で落ち着いた。
クラシックとなっても、一切その価値を失わないポルシェ911。特に2010年代を迎えると、投機の対象として964型911には熱い視線が集中し、取引価格も異様な高騰を見せるようになった。ポルシェというブランドはこれからも911を中心に、クラシックの世界において、大きなムーブメントを作っていきそうな気配である。
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みんなのコメント
欲しかったが「いつかな」と思ってるうちに一生手に入らんところに行ってしまわれたw
たまに空冷をSAで拝ませてもらって目の保養してます
やっぱ憧れるわなあ