現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 34万9800円の違い──新型ホンダ・フリード・エアーEX試乗記

ここから本文です

34万9800円の違い──新型ホンダ・フリード・エアーEX試乗記

掲載 19
34万9800円の違い──新型ホンダ・フリード・エアーEX試乗記

フルモデルチェンジしたホンダの新型「フリード」に、今尾直樹が公道で乗った! 次はガソリンモデルをリポートする。

なにをフリードに求めるのか?

ちょっといいものを買った感がある──新型ホンダ・フリード e_HEVクロスター試乗記

横浜で開かれたホンダ新型フリードの公道試乗会でテストした2台のうちの1台、エアーEXの1.5リッター・ガソリン3列6人乗り、4WDの印象をここでは述べる。

新型フリードの受注状況における標準タイプのエアーとクロスオーバー・タイプのクロスターの比率は、ホンダ広報によると、7:3でエアーが売れているという。それも、エアーの上級仕様のエアーEXが7割弱という高い人気だそうだ。ハイブリッド(e:HEV)とガス(ガソリン仕様)の比率は85:15で、ハイブリッドが圧倒的大多数を占める。ハイブリッドはガスより機構が複雑で高価なリチウム・イオン電池を使っている分、価格も35万円ほど高いというのに……。

新型車の発売初期は高いグレードから売れるというけれど、新型フリードでもおなじ現象が見てとれる。

このクラスで唯一のキャプテンシートの人気も高く、73%がキャプテンシートの6人乗りだという。ベンチシートの7人乗りはたったの9%、クロスターにのみ設定されている2列5人乗りは18%と意外に多い。

試乗車は冒頭記したように、人気のエアーEXの、しかし、ハイブリッドではない、ガソリンで、しかも4WDという少数派だ。FF(前輪駆動)と4WDの受注比率は……すいません。聞いていないけれど、雪国向けの、いわゆる生活4駆ゆえ、台数自体はそう多くないはずである。さりとて生活4駆だからこそ、なくてはならないものだ。

ホンダは新型フリードでも、電気モーターで後輪を駆動する電動4WDではなく、プロペラシャフトで後輪を駆動する機械式を採用する。そのほうが雪に強いからだ。「リアルタイム4WD」と、呼ぶ、ホンダの方式は、アクセルをオンにするとプロペラシャフトに設けられたクラッチが油圧ピストンで押しつけられてつながり、後輪に駆動力を伝える。システム自体は先代とおなじながら、制御が改良されて、後輪へのトルク配分は10%増になっている。

ただし、今回の試乗ではドライ路面ということもあって、特に4WDであるという実感は得られなかった。というのが正直なところである。逆に申し上げれば、4WDだけど、FFとおなじようにドライブできる。高速安定性は高い……ような気もしたけれど、「e:HEVクロスター」のFFだって同様に高かった。

一般に4WDのほうがFFより乗り心地がいいと感じるのは、リヤが若干重くなるからだ。新型フリードの場合、FFのリヤサスペンションは車軸式、いわゆるトーションビームであるのに対して、4WDのリヤはド・ディオン・アクスルを採用している。ド・ディオンはデフをボディ側に固定しているのでバネ下が軽くなり、乗り心地がよくなるとされる。

ということだけれど、筆者の見立てでは、この日に試乗したe:HEVクロスターのFFと較べて、エアーEXのガスの4WDは大きくは違わない。心持ち軽快感がある、とは思う。だけど、エンジン車ゆえ、ハイブリッドのe:HEVより微妙に振動と騒音がある。エンジンがつねにまわっているから当然だ。使い勝手を考慮して、アイドリング・ストップが省略されていることもある。そのエンジンの微妙な振動と騒音が、乗り心地に微妙な影響を与えているような気がする。

これ、先にe:HEVに乗っていて、それと比べちゃうからそう感じるわけで、ガスが先だったら、気にならないかもしれない。それほどe:HEVクロスターの静粛性は高く、乗り心地に雑味がない。それに較べると、ガスはつねに、“もわ~っ”と、している。ま、それがエンジン車というものだ。

フリードのエンジニアによると、サスペンションの設定には4種類ある。e:HEVのFFと4WD、ガス(ホンダではガソリン車をこう呼ぶ)、FFと4WDである。これらはスプリングとダンパーのセッティングがそれぞれ異なる。ただし、FFと4WDの違いよりもe:HEVとガスの違いのほうが大きいという。それは車重が違うからだ。

たとえばフリード・エアーのFF同士で比べてみると、e:HEVの車重は1460kg、ガスは1370kgと、90kg違う。エアーEX同士だと、1480kgと1380kgで、その差は100kgに広がる。エアーEXのFFと4WDだと、1480kgと1560kg。あ。意外と違う。それでも、その差は80kgで、e:HEVとガスの違いのほうが大きい。

ガスは軽い車重に合わせて、より軽快に感じるようなセッティングにしている。ということだけれど、試乗車は4WDだったため、ガスでも車重は1470kgある。e:HEVのクロスターのFFと10kgしか違わない。そんなこんなで、乗り心地面に大きなは感じられなかったのではあるまいか。

もっともこれは、ガスの4WDの乗り心地がイマイチだったということではなくて、e:HEVクロスターFFの乗り心地が望外によかったのである。

ガスの最大の魅力は、燃費は別にして、e:HEVとおなじ能力を持っていることだ。それなのに、価格はe:HEVよりおよそ35万円、正確には34万9800円お求めやすい。試乗車の車両価格は292万8200円で、300万円を切っている。これがe:HEVになると、327万8000円に跳ね上がる。

要はなにをフリードに求めるのか? で、ある。このカテゴリーで唯一のキャプテンシートと、後席専用エアコン。より広くなった荷室要領に、より軽い力で跳ね上げ収納ができるようになった3列目のシート。これらはガスでも手に入る。もちろん、e:HEVにはe:HEVの魅力がある。それについては別に書いた。

だけど、筆者だったら、ま、ガソリンのほうが、馴染みがあるということもあり、ガソリンでいいか、と、思う。がまんするわけではない。これでいいや、と、思うのである。それでもって、e:HEVを選ばなかった34万9800円分、パーっといっちゃうのも、いいと思うなぁ。

文・今尾直樹 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
WRCラリージャパンで発生した“一般車両コース侵入事件”、FIAは「非常に深刻な問題」として調査へ。来季大会にも暗雲
motorsport.com 日本版
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
サンパウロGP3位の勢いそのままに……ガスリーがラスベガス予選3番手「最後のアタックはアドレナリンが溢れたよ!」
motorsport.com 日本版
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
くるまのニュース
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
motorsport.com 日本版
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
レスポンス
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

19件
  • ******
    前置きが長くて読み疲れる
    「もわ〜としている」のところで読むのをやめた
    素人か…
  • セイジ
    「e-hevを選ばなかった34万9800円分、パーっといっちゃうのも、いいと思うなぁ。」 これって車の評価の記事?

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.8343.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0389.9万円

中古車を検索
フリードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.8343.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0389.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村