もくじ
どんなクルマ?
ー 会場設定にフォードの本気を垣間見る
ー F-150から世界に広がったハイパワーピックアップ人気
ー ヘビーデューティな装備
ー 多数の専用装備 2.0ℓディーゼルに10速AT
どんな感じ?
ー パドルシフトの使い方 エンジンは1種類
ー 洗練された仕上がり
ー 素晴らしいオフロード性能
「買い」か?
ー 欠点はあるが、魅力的
スペック
ー フォード・レンジャー・ラプターのスペック
どんなクルマ?
会場設定にフォードの本気を垣間見る
パフォーマンス・ピックアップトラックなどというものが存在しうるのか。オーストラリアの奥地で新型フォード・レンジャー・ラプターに試乗して確かめることにしよう。
地理的に見ればオーストラリアの中央ではないのだろうが、そう言って差し支えないだろう。何せ、文明というものが全く感じられない土地だ。今回の試乗は、ダーウィンから260kmほど南に行ったノーザン・テリトリーという場所で行った。ウルル、つまりエアーズロックはさらに南に1000kmほど行くと現れる。
このメディア試乗会のために、フォードは3900平方kmにもわたる個人所有の牧場を貸し切った。牧場のための学校を持つくらい広大な土地で、3万頭もの牛を駆り集めるのにはヘリコプターを使っている。フォードは明らかに、レンジャー・ラプターの性能が本物であることを証明しようとしており、試乗会を開くことのできるもっとも過酷な土地に、ジャーナリストを集めたのだった。
米国では10年ほど前からパフォーマンス・ピックアップなる代物が流行っており、デザート・レーサーにインスパイアされたF-150などがこれにあたる。1990年代後半には、スーパーチャージャーを搭載し、空力性能を重視したF-150 ライトニングが登場し、人気を博した。このことからフォードは、十分なオフロード性能を持ったハイパワー・ピックアップをラインナップしていった。
F-150から世界に広がったハイパワーピックアップ人気
方法論はシンプルだ。ピックアップトラックにヘビーデューティなショックアブソーバーや、より幅広のオールテレインタイヤを装着し、強化したエンジンを搭載する。カスタマーたちはすぐに、足回りを固めることで舗装路での乗り心地も向上することを知ったのだった。
そして、ラプターのとった戦略は世界中に広まった。レンジャーもまたその1台で、もうすぐ英国でも登場する。ちなみに、レンジャーはF-150の兄弟車でF-150よりも小型のモデルで、ライバルとしては、トヨタ・ハイラックスやフォルクスワーゲン・アマロックが挙げられる。
レンジャー・ラプターの構成要素は見慣れたものだ。新しい大胆なグリルに、オフロードでのクリアランス確保のために押し込まれた前後のバンパー。150mm拡大された前後のフェンダーやマグネシウムのサイドステップ、レースに由来するフォックスのショックアブソーバーにグッドリッチK02タイヤなど、おそらくビジネス的にベストな選択だ。
フォードはショックアブソーバーはマニュファクチャ・スタンダードとしてテストを受けており、通常使用では16万kmは問題なく使用できるという。ただし、プロモーションビデオのような運転をするのならそれより早く交換しなくてはならないだろうが。
ヘビーデューティな装備
ラプターは低速/高速から選ぶことのできるヘビーデューティな四輪駆動システムが採用され、舗装路では二輪駆動となる。対照的に、フォルクスワーゲン・アマロックやメルセデス・ベンツXクラスのツインターボV6ディーゼルは四輪駆動のみだが、舗装路でも大きな破綻はない。
レンジャー・ラプターはただ単に車高を挙げただけのピックアップではなく、専用シャシーを採用している。エベレストというSUV向けの四輪駆動プラットフォームをストレッチして使用しており、リアはリーフスプリングでなくコイルサスペンションが用いられている。若者が似たようなコピーを作りだすのはほとんど不可能と言っていいだろう。
インテリアの装備も格上げされ、スウェード・レザーのスポーツシートにはラプターのロゴが散りばめられている。レザーのがっちりしたステアリングホイールにはマグネシウム製のパドルシフトがついている。ダッシュボードのステッチはブルーで、その他にもスカーフプレートなど専用装備が盛りだくさんだ。
多数の専用装備 2.0ℓディーゼルに10速AT
1、2世代目のF-150ラプターはそれぞれV8とV6ターボのガソリンエンジンを搭載したアメリカらしいクルマだったが、レンジャー・ラプターには2.0ℓツインターボの4気筒ディーゼルエンジンが搭載され、これは213ps、51.0kg-mまで強化されている。ちなみに通常のレンジャーは200ps、48.0kg-mの3.2ℓ4気筒ディーゼルを搭載している。
トランスミッションは10速ATが組み合わされ(マニュアルは用意されない)、どうやってエンジンのパワーを引き出すかを考える必要はない。厄介なのはレンジャー・ラプターが2404kgもあり(通常のレンジャーよりも150-200kgほど重い)、パフォーマンスが鈍っていることだ。
0-100km/h加速は10.5秒で、通常のレンジャー3.2オートマティックよりも0.5秒速いだけで、アマロックTDV6よりは2.5秒以上遅い。実用では十分だが、パフォーマンス的に言えば10.5秒は遅すぎる。
どんな感じ?
パドルシフトの使い方 エンジンは1種類
レンジャー・ラプターは交通の流れに乗るには十分快適だが、オーストラリアのカスタマーからすればパフォーマンスパッケージとして物足りないかもしれない。
もしかすると、欧州のカスタマーの方が採点基準は甘いのかもしれない。というのも、欧州人はハイパワーで排気量の少ないエンジンに慣れているし、大排気量に対する税金も高いからだ。オーストラリアでは、ダウンサイジングしても減税はなく、払う燃料税が少なくて済むくらいのものだ。
しかしフォードは、エンジンが2.0ℓであることに注目しているようでは、真にレンジャー・ラプターを理解しているとは言えないという。フォード側から試乗中に、アクセルを踏みつけなくとも、パドルシフトをタップしてギアを下げるだけで欲しいパワーを得ることができると教わった。郊外の長いストレートで追い越しをするときでも、アクセルを踏みつけて空気を汚す必要はないのだ。
フォードがいうには、レンジャー・ラプターに関しては他に選択肢がないのだという。米国以外のミッドレンジ・ピックアップ市場ではディーゼルエンジンがほとんどだからだ。
洗練された仕上がり
だからこのエンジンのパワーアップバージョン(エンジニアリングコストが高いのだろう)や他のパワフルなエンジン(まず存在しない)、未発表の米国仕様に投入されるであろうターボ付きのガソリンエンジン(社内筋からの情報で、北米以外では同じくエンジニアリングコストが高すぎるという)は期待しないで欲しいと言っていた。
2500kgの牽引能力、758kgの積載荷重では不十分に感じる人もいるかもしれない。同セグメントではそれぞれ3500kg、1000kgが標準だからだ。しかし、それほどの牽引も積載も行わない欧州のカスタマーにとって、問題となることはほとんどないだろう。
もしも駐車スペースが狭かったりロールーフ用でなければ、レンジャー・ラプターは癒しのクルマとなるだろう。
タイヤやエンジンは高速道路でも静かで、アクセルを踏み込んだ時だけシンセサイザーの人工的なエンジン音がキャビンに入ってくる。このような装備はあまり好きではないのだが、これはうまくできている方だ。
素晴らしいオフロード性能
レース育ちのフォックス製ショックはよくしつけられており、オンオフのパフォーマンスのバランスに優れている。コーナー出口でフロントからリアにわずかな荷重移動を感じる程度で、前後のディスクブレーキを急制動させてもノーズダイブは最小限だ(このクラスのピックアップのほとんどが、依然としてリアにドラムブレーキを採用している)。どのような道でも足回りは確かで、平穏だ。
ラプターのリアは、リーフスプリングバージョンのレンジャーほど道路のくぼみや継ぎ目を超えるわけではない。オフロードタイヤはサイドウォールが高く、トレッドが深いにもかかわらず、舗装路でのステアリングは驚くほど正確だ。フォードが生産バージョンでこれだけ洗練されたセッティングを完成させたことは、間違いなくエンジニアリングの勝利で、特筆すべきことだ。
ラフロードでのハンドリングは、ピックアップというよりもむしろラリーカーに近い仕上がりで、レンジャー・ラプターの良さはオフロードでも輝く。波打った道や障害物を乗り越える際も、あまり苦労はない。これはアプローチアングル(32.5度)やデパーチャーアングル(24度)、ランプブレークオーバーアングル(24度)のおかげだろう。これらはハードコアなオフローダーにとっては重要な数値なのだ。
仮設のオフロードトラックでは、3年間以上もラプターの開発に関わった、フォードのエンジニアリング・テストドライバーによるデモンストレーション走行も行われた。四輪すべてを地面につけて、次々とコースを駆け抜けていくラプターの姿が印象的だった。
「買い」か?
欠点はあるが、魅力的
その巨体と12.9mという回転半径から、ラプターが誰にでも進められるクルマでないのは明らかだ。
しかし、デザートレーサーのようなスタイリング、そしてディーゼルエンジンの経済性を求めるカスタマーにとっては魅力的な存在だろう。
残念ながらラプターのポテンシャルをフルに引き出せるオーナーは一握りだろうが、フェラーリをサーキットに持ち込むオーナーだってごく少数だ。何も気にすることはない。
フォード・レンジャー・ラプターのスペック
■価格 –
■全長×全幅×全高 5398×2180×1873mm
■最高速度 171km/h
■0-100km/h加速 10.5秒
■燃費 14.4km/ℓ
■CO2排出量 212g/km
■乾燥重量 2404kg
■パワートレイン 直列4気筒2000ccツインターボ
■使用燃料 ディーゼル
■最高出力 213ps/3500rpm
■最大トルク 51.0kg-m/1750-2000rpm
■ギアボックス 10速オートマティック
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