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【何でもできるオフローダー】トヨタ・ランドクルーザーの70年 歴代モデルをイッキ見

掲載 更新 13
【何でもできるオフローダー】トヨタ・ランドクルーザーの70年 歴代モデルをイッキ見

陸上の巡洋艦、ランドクルーザー

text:Ronan Glon(ローナン・グロン)

【画像】走れない場所はない【ランドローバーとライバルをじっくり比較】 全143枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ビバリーヒルズからブルキナファソまで、トヨタのランドクルーザーはあらゆる光景を見てきた。

ランドクルーザーは、ジープCJなどのオフロードカーと同様に軍用車をルーツとしているが、何世代にもわたって世界中の農家や探検家、そしてファンに愛されてきた。しかし、CJの精神が受け継がれているラングラーとは異なり、ランドクルーザーはどこへでも行ける「高級車」へと変貌を遂げた。その始まりはこうだ。

ランドクルーザーの前(1950年代)

トヨタがオフローダーの分野で第一歩を踏み出したのは、1950年代初頭に警察予備隊(現在の自衛隊)向けにBJというジープのような試作車を開発したときだった。

1951年に最初の試作車を製作し、政府関係者がオンロード、オフロードで試乗したが、最終的には三菱が選ばれた。トヨタはプロジェクトを変更し、農家やオフロードを走る人など、頑丈な4×4を必要とする人を対象とした民間用モデルを作ることにした。このモデルは約300台が生産された。

20系(1955年)

1954年にランドクルーザーを発表したトヨタは、翌年に初の大規模なモデルチェンジを行った。「20系」と呼ばれ、軍用車のイメージを払拭したデザインと、トヨタの「F型」直6エンジンを搭載した4WDにリニューアルされた。

ショート・ホイールベース、ロング・ホイールベース、ソフトトップ、ハードトップ、バンなど、さまざまな仕様が用意されていた。1959年には、海外からの要望に応えて、4ドアのエステートタイプもラインナップに加わった。

ランドクルーザーの米国デビュー(1958年)

ランドクルーザーは米国が大きな市場になると考えられていたが、トヨタが米国に販売部門を設立したのは1958年だった。この年、米国で販売された4WD車はFJ25のみで、現在ユタ州の博物館に展示されている(写真)。また、トヨペット・クラウンを287台販売している。

40系(1960年)

1960年、20系を全面的に進化させた40系が登場。歴代ランドクルーザーの中でも最も有名なモデルとなった。FJ40とも呼ばれるこのモデルは、米国の20系のオーナーから寄せられた意見をもとに開発されたという。サスペンションを柔らかくして快適性を向上させたり、フリーウェイでの走行に適したものにしたり、インテリアをもう少し乗用車らしくしたりした。

また、今回も非常に多くの仕様が用意されており、個人ユーザーの間では、サファリマシンから回収トラックまで、さまざまな用途に使われていた。その後、トヨタは40系の改良を重ね、1984年に国内生産を終了した。

ブラジルでは「バンデランテ(Bandeirante)」と呼ばれ、メルセデス・ベンツのエンジンが搭載されることもあったが、2001年までFJ40は生き続けた。

50型(1967年)

ランドクルーザーは1967年に発売された50型から、より乗用車らしくなった。ドライブトレインのほとんどを40系と共有しながらも、ジープ・ワゴニアなど、急成長していたSUVセグメントのライバルに対抗するため、ルーフを固定した4ドアのみのモデルとして登場した。

オフロード性能は失われておらず、平日は街中を運転し、週末には冒険に出かけるための、頑丈で広いファミリーカーを求めるユーザーを主な対象として開発された。

50型はワゴニアと同様に、当時米国の道路を闊歩していた巨大なステーションワゴンの代替品として販売された。SUVブームのきっかけとなったモデルの1つであり、ローバーがオンロード志向のレンジローバー(1970年に登場)を開発するきっかけとなったオフロード車でもある。

60系(1980年)

トヨタは、40系が競合するセグメントではアップデートが少なかったため、基本的なデザインを変えずに何年も人気を保ち続けることができた。しかし、1970年代後半のSUVは、1960年代とはまったく違うものになっており、市場の主流は急速に変化していた。

1980年に発売された60系ランドクルーザーは、このような流れの中で誕生し、その後の後継モデルの方向性を決定づける重要な役割を果たした。50型よりもはるかに快適で、エアコンやフロント・シートヒーターなどの装備も充実しており、一部の市場では後に6気筒ターボディーゼルを搭載した。

70系(1984年)

1984年に登場した40系の後継モデルは70系と呼ばれ、60系のスタイリングを参考にしながらエクステリアデザインを一新した。快適性よりもオフロード性能を重視するユーザーのために、40系よりもはるかにベーシックなデザインとなった。40系の長寿記録を破るとは誰も思っていなかっただろうが、驚くことに70系は2021年も生産され続けている。

ハンターが使う2ドアのオフロード車から、消防車、兵員輸送車、キャンピングカーまで、37年間で何十種類ものバリエーションが作られてきた。中には鉱山で働いていたものもある。

80系(1990年)

1990年に発売された80系は、ランドクルーザーが初めてラグジュアリー・セグメントに進出したモデルと言われている。60系よりも大型化し、空力特性を向上させたデザイン、上質な素材を使用したキャビン、そして多くのモデルでフルタイム4WDシステムを採用した。

国連などの大手バイヤー向けにベーシックなモデルも用意されていたが、80年代に製造されたほとんどのモデルがハイオプションであった。

初代プラド(1990年)

フルサイズのランドクルーザーと70系の間にできた隙間を埋めるように、トヨタは1990年に初代プラドを発売した。

一部の市場ではランドクルーザーIIと呼ばれていたこのモデルは、70系の関連モデルではあるが、オールテレイン性能とオンロードでの快適性のバランスを取ることを目的とした、軽量なモデルであった。

レクサスLX 450(1996年)

ランドクルーザーの取引価格が高騰し、より高級なランドクルーザーを求める声が高まったため、トヨタ自動車のレクサス部門は1996年に米国市場で80系ベースのLX 450を発売したのである。

この2つのオフロードカーを見分けるには、熟練した目が必要だった。レクサスは、LXにブランド専用のエンブレムを付け、本革を使った高級感のある内装を施し、専用のボディカラーを用意しただけだった。今にして思えば、初代LXは後付けで作られたものだったが、その成功が次の世代への道を開いたのである。

2代目プラド(1996年)

1996年に発売された2代目プラドは、トヨタが世界中の部品をかき集めて開発したモデル。70系とフルサイズのランドクルーザーの中間に位置するプラドは、米国で販売されているピックアップトラックのタコマや世界的に販売されている4ランナーと多くのパーツを共有していた。

米国では販売されておらず、ランドクルーザーでは大きすぎる欧州や日本が主な市場だった。

100系(1998年)

1998年、トヨタはランドクルーザーをさらに進化させた100系を発売した。ボディ・オン・フレーム構造のまま、シリーズ初のV8エンジンを搭載し(6気筒もあり)、ステアリングシステムを改良して運転のしやすさを向上させたのだ。

また、フロントに独立懸架式サスペンションを採用したほか、油圧式の車高調整システム「アクティブ・ハイト・コントロール(AHC)」を設定するなど、オンとオフの快適性を高めた。

105系(1998年)

100系には誰もが満足していたわけではなく、「ランドクルーザーは進化しすぎた」という意見もあった。そんな声に耳を傾けたトヨタは、1998年、機能を削ぎ落としたヘビーデューティー・バージョン「105系」を発表した。

開発は比較的シンプルで、80系のフレームに100系のボディを載せて「これでよし」としたものだった。そのため、105はパートタイム4WDシステムとソリッドアクスルを採用した。ほとんどの105は国連などに販売されたが、オーストラリアでも人気があった。

レクサスLX 470(1998年)

レクサスLX 450がクルマのご都合主義的な産物であったのに対し、LX 470は最初から計画されていた。2灯から4灯に変更したフロントエンドや小型グリル、ウッドとレザーが敷き詰められたキャビン、そして標準装備とオプションのリストを大幅に増やしたことで、ランドクルーザーとは一線を画していた。ランドクルーザーと同様、4.7L V8エンジンを搭載した。

3代目プラド(2002年)

3代目ランドクルーザー・プラドは、2002年にフランス・ニース近郊にあるデザインスタジオでスタイルを一新して発売された。2ドアと4ドアの2タイプを用意し、欧州と日本を主なターゲットとしていたが、レクサスブランドのGX 470も登場した。GX 470は、フルサイズのLXとクロスオーバーのRXの間にうまく配置された。

200系(2007年)

200系は、従来のランドクルーザーが持っていたオフロード性能を維持しながら、さらなる技術や豪華装備を搭載することを目指して開発された。

2007年に発売された200系には、ダウンヒル・アシスト・コントロール、マルチ・テレイン・セレクト、サスペンションのストロークを損なうことなくボディロールを低減するトヨタのキネティック・ダイナミック・サスペンション・システム(KDSS)など、数多くのハイテク装備が搭載されている。

レクサスLX 570(2007年)

レクサスは、2007年のニューヨーク・モーターショーで200系ベースの新型SUVを発表した。このモデルには、V8を5.7Lに大型化したことを示すLX 570という名称が与えられた。ランドクルーザーのプロポーションを踏襲しながらも、レクサスブランドならではのシャープなエクステリアデザインを採用した。

FJクルーザー(2007年)

ランドクルーザーを高級戦車にしたことで、トヨタにはジープ・ラングラーに代わるものがなくなってしまった。しかし、2007年に発売されたレトロなスタイルのFJクルーザーで、このセグメントに予想外の復帰を果たした。

FJ40の丸型ヘッドライトなどを参考にしているが、車体はランドクルーザーではなく、4ランナーやその派生モデルに近い。ラングラーと比較すると、ルーフが固定されており、3本ワイパーやリアハーフドアなどの奇抜さが目立った。トヨタは2014年に米国のラインナップからFJを外し、2018年には日本でも販売を終了。モデルチェンジはしていない。

4代目プラド(2009年)

トヨタの4代目プラドは、フルサイズのランドクルーザーからの流れを汲むアップデートを受けた。オフロードでの障害物回避をサポートするカメラなどのハイテク装備を充実させ、最上級グレードでは高級セダン並みの快適性を実現した。なお、レクサスはプラドにGX 460の名を冠している。

300系(2021年)

ランドクルーザーにとっては、10年以上ぶりの大規模なモデルチェンジとなる。軽量化されたプラットフォームを採用し、先代のV8からV6ツインターボに変更することで、業界に押し寄せるダウンサイジングの波に対応している。また、トランスミッションには10速ATを採用し、燃費の向上を図っている。

ただし、300系は欧州では販売されず、米国でも販売される可能性は低い。主にオーストラリアや中東向けに開発されたモデルだ。レクサスバージョンはまだ発表されていない。ランドクルーザーの名は語り継がれているが、来るべき電動化の世界にどう対応していくのか、その答えが注目される。

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みんなのコメント

13件
  • 【何でもできるオフローダー】
    ↑何でもはできない。絶対不可能。”なんでも”は言い過ぎ。

    言わんとする雰囲気は分からなくもないが、公にするには実に幼稚なキャッチだ。
  • なんでランクルの記事のタイトルってこんな子供じみた言葉ばっかりなんだろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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