現在に続くランボ大躍進の立役者「ガヤルド」
1998年にアウディ傘下へと収まったランボルギーニ。そこからの驚異的な業績のV字回復は誰もが知るところだが、その原動力となったのは俗にスモール・ランボと呼ばれる、V型10気筒エンジンを搭載し2003年に誕生した「ガヤルド」の存在にほかならない。ランボルギーニはかつて、1970年代から1980年代にかけて、V型8気筒エンジンをリアミッドに搭載する「ウラッコ」、「シルエット」、「ジャルパ」というモデルを生産していた経緯があるが、それらは残念ながら大きな成功を生み出すことはできなかった。
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だが直接のライバルともいえるフェラーリの例を見れば明らかなように、12気筒モデルよりコンパクトなスーパースポーツには確かな市場が存在することは、アウディ、そしてランボルギーニ自身も周知の事実だった。かくして後に「ガヤルド」とネーミングされることになる開発プロジェクト「L140」は、アウディの主導で進められていくことになったのだ。
ガヤルドの最終進化版「LP570-4スクアドラ・コルセ」
ガヤルドはランボルギーニの読みどおりに、市場で非常に高い評価を得ることになる。そのシャープで前衛的なスタイルは、ランボルギーニのチェントロ・スティーレ(デザイン・センター)から生み出されたもので、一方基本構造体となるアルミニウム製のスペースフレームや、90度のバンク角を持つ(実際には18度のクランクピン・オフセットが設定されている)5LのV型10気筒自然吸気エンジンの開発にはアウディが深く関与していた。ファーストモデルの最高出力はジャスト500ps。ここをスタートに、ガヤルドは2013年までさらなる進化を続けていくのだ。
そのライフタイムの中では、2008年に大幅なマイナーチェンジが実施され、V型10気筒エンジンには直噴システムが採用されるとともに排気量を5.2Lに拡大。最高出力はスタンダードなモデルでも560psとなった。エクステリアでもさらなる空力、冷却性能を高めるためにフロントのエアインテークやウイングの形状を一新。Y字型のデイタイムランニングライトやテールランプを採用したのも、この後期型での大きな特徴となる。
ガヤルドは最終生産年の2013年までに約1万4000台強が生産され、当時それは史上最も成功したランボルギーニと称えられた。ランボルギーニは、前期型のガヤルドがそうであったように、この後期型でもスパイダーを始めさまざまなバリエーションを追加していくが、2013年に最終進化型として登場したのが、今回RMサザビーズのモナコ・オークションに出品された「LP570-4スクアドラ・コルセ」である。日本での新車時車両価格(消費税込)は3165万6450円であった。
レース部門直系の技術が注がれたガヤルド
スクアドラ・コルセとは、ランボルギーニのカスタマー・レース部門の名称。フェラーリでいえばコルサ・クリエンティに相当する社内組織である。現在ではGT3を頂点とするレースカーの製作やサポート、さらにはワンオフモデルの製作など、その活動は幅広い。
LP570-4スクアドラ・コルセの第一の特徴は、さらに洗練されたエアロダイナミクスにある。改良されたフロントスポイラーや大型のリヤウイングはその象徴的な存在で、特に後者はスタンダードなウイングの3倍ものダウンフォースを生み出すという。
エンジンカバーはクイックリリースが可能で、それを取り外せば、570ps仕様のV型10気筒エンジンが現れる。組み合わされるトランスミッションは6速のeギア、駆動方式は車名にも示されているとおりフルタイムの4WDとなる。
2014年にランボルギーニ・デュッセルドルフにデリバリーされた出品車は、最初の4年間で約5300kmを走行。その後新たなオーナーに渡るが、2015年(3411km)、2016年(4774km)、2018年(5220km)、2019年(5510km)、そして2021年(5710km)時の各々のサービス記録が残されており、現在のオドメーターには5935kmが示されている。
RMサザビーズは、このガヤルドLP570-4に、20万~22万5000ユーロ(邦貨換算約2700万円~3080万円)の予想落札価格を提示したが、残念ながら落札には至らなかった。ガヤルドの後継車であるウラカンのマイナーチェンジも近づく中、オークション参加者のガヤルドに対する購入意欲も控えめだったということなのだろうか。
ともかく、いまプレ値がついていないランボルギーニとしては、ガヤルドが狙い目。最終モデルといえる「LP570-4スクアドラ・コルセ」はいずれコレクターズアイテムになる素質があるように思うのだが、いかがだろうか。
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みんなのコメント
旧型でこの価格だとチョッと入札は厳しい気がします。
せいぜい失敗しないランエボ選びが限度ですわ