今大会はエッセによるヒルクライムレース
10月10日(土)、台風14号が接近する中、長野県木曽郡の山中で「ALL JAPAN ESSE CUP(AJEC)」の第3戦&第4戦が開催となった。今シーズンからスタートした「AJEC」はダイハツ・エッセを使用したワンメイク・シリーズで、1大会で2戦ずつ、3大会6戦で行われる日本一のダイハツ・メッセ乗りを決めるシリーズだ。
ダイハツ・エッセだけのワンメイクレース! ジムカーナに林道アタック、サーキットトライアルもやる「ESSE CUP」の全容
6月に恵那笠置山モーターパーク(岐阜県恵那市)で開催となった第1戦&第2戦は、ジムカーナでの競技となったが、今回はヒルクライムでの競技となる。ちなみに第5戦&第6戦は、11月28日(土)にモーターランド鈴鹿サーキットでのサーキットトライアルとなる。AJECはこの3種類の競技を通し、各ラウンドのポイントでシリーズを争うこととなる。
ダイハツ・エッセは、6代目ミラをベースとした5ドアハッチモデルで、2005年から2011年まで販売されたモデル。シンプルでリーズナブルな実用車として企画された車両だが、ボディが軽量(車重は700kg)で、8000回転まで軽快に回る3気筒12バルブKF-VE型エンジン(最高出力58ps/最大トルク65N・m)という組み合わせで軽快な走りができる一台。いまなお人気のモデルでもある。
峠道の行きと帰りで1戦ずつ行う
前回の恵那でのラウンドは11台15名のエントリーだったが、今回のヒルクライムでは17台にエントリー台数も増えた。さらに今回はエッセカップの観戦で来場者もあり、盛り上がりを見せる。第3戦&第4戦のコースは、ひとつの峠道を行きと帰りで第3戦と第4戦のコースに設定されている。コースは山中にある道幅の細い林道でガードレールもないところが多い。
コースを行って帰ってくることで2戦分を走行するため、この2戦は走行を続けて行うこととなる。基本はヒルクライムということで登りが中心だが、3戦と4戦で一部オーバーラップする区間があり、下り区間も存在する、というもの。AJECはワンデーイベントで、午前に2回の練習フリー走行。その後、決勝2本を走行してその計測2本のうちのベストタイムで順位を決めることとなる。
練習走行は当日朝9時半からスタート。台風の影響で活発化した秋雨前線のため、会場周辺は前日から強い雨に見舞われており、山のところどころから出た水がコース上を川のように流れているなか、各車はマシンのチェック。そしてコースの確認をして行く。
今回は行き帰りで2戦分のタイムが計測されるため、行きの第3戦のコースで無理をしてマシンを壊すと第4戦を落とすことにもなりかねず、というところも見極めなければならない難しさもあった。
雨は止んだが苦戦を強いられた2本目
強かった雨も、午後になるとスッキリと上がり、山から湧き出た水も少なく路面コンディションはウエットながらも徐々に良くなっていく展開。各戦2本ずつの走行だが、その2本目の走行のほうがタイムが上がる可能性が高いということも読めるような状況となっていた。
前回のジムカーナ大会では、第1戦で優勝、第2戦で2位に入っている加藤正夫選手(#37 水色エッセ)は第3戦1本目2分12秒7、帰りの第4戦1本目でも3分31秒9とこの2戦ともに暫定トップタイムで1本目の走行を終え、続いての第3戦2本目では1本目のタイムを2.3秒縮めてダントツのトップタイムで優勝を決める。
続く第4戦2本目はタイム更新はならなかったものの、1本目のタイムが唯一の32秒台でこのヒルクライムステージで2連勝を飾った。加藤選手はこれでほぼタイトルを手中に収めたことになる。「雨の下りって大好きなんで、今日は踏めるだけ踏んだって感じですよ。今日は確実に雨ということもわかっていたので、雨のセッティングでやってきてバッチリ決まりました。残るサーキット・ラウンドはあまり得意ではないけれど、仲間が巻き返すって躍起になっているので、しっかり楽しみたいと思います」とコメントしてくれた。
その加藤選手には2戦とも及ばなかったものの、2戦ともに2位を獲得したのが、このAJECシリーズ発足のきっかけとなったBRIGヒルクライムシリーズで今季のタイトルを決めた保科学選手(#30 NHKメック スーパーエッセ)。1本目の走行は少し様子見だったのか第3戦は2分18秒1(5番手)、第4戦も3分39秒1(3番手)でまずは走行を終え、2本目はしっかりタイムアップを果たし第3戦は2分12秒1、第4戦は3分32秒5のタイムで2戦ともに2位を獲得。
「雨が嫌いで、決勝は雨が止んでよかったんですが、それでも下りはやっぱり怖くて気持ちが足りなかったですね。6月のジムカーナもコースレイアウトが自分に合ってなかったので……残念です。車両のほうはデフが利いてなくて左コーナーの立ち上がりでどうしてもトラクションが掛からず、厳しかったです。次回は、クルマを見直して気分よくシーズンを終えたいですね」。 第3戦3位に入ったのは西脇裕一選手(#32 ウエストサイドレーシング・エッセ肆号機)。ミッションもノーマルで、デフも入れていない、走行距離20万kmというエッセでの参戦だが、今回は強化マウントと、スポーツイグニッションコイルを投入したことで「これが効いたかな」という。
第3戦1本目2分16秒0の4番手タイムだったものの、2本目2分13秒0のタイムで3位に入賞となった。「第3戦のコースはノーマルのギヤ比で2~3速がちょうどコースに合っていて、非常に走りやすくて、これはイケるのではと思っていた」という。「逆に第4戦のコースは登りがきつくて自分のマシンには合わなかったかな」とも。
その第4戦で3位に入ったのが中川勇気選手(#33 チームナビックみどりエッセ)。第3戦の2本目の走行で「欲張ってしまいました」とコースアウトして左リアをヒット。1走目を第3戦暫定2位(2分13秒2)、第4戦暫定2位(3分34秒8)で来てただけに残念な結果となってしまった。結果的には2本目は結果には結びつかず、「散ってしまった」わけだが「下りがあるのがうれしかった」と、この日のコースを楽しんだ様子。 AJECも残るはあと1大会のみ。モーターランド鈴鹿でのサーキットトライアル(11月28日)で今シーズン最終戦を迎える。また、この日来季のAJECの概要も少し説明があり、来季のAJECは4大会(全8戦)での開催となることが発表された。
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