セレナは、2018年のミニバン販売台数ナンバー1、2019年上半期のミニバン販売台数ナンバー1(5万3662台)を達成! 2019年1~10月までの販売台数もシエンタに続いてミニバン販売2位に付けている。
2019年8月のマイナーチェンジで、ハイウェイスターがオラオラ顔になり、最大のライバルであるノア/ヴォクシーやステップワゴンに比べて控えめだった見た目も、ライバルに引けを取らないものを手に入れた。
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さて、もうすぐ12月のボーナス商戦。ボーナスでセレナを買おうと思っている人に向けて、セレナのベストグレードは何か? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部
【画像ギャラリー】セレナのエクステリア、インテリア詳細写真
ノア&ヴォクシー ステップワゴンを上回りミニバンナンバー1に
2019年8月1日にマイナーチェンジしたセレナ。販売台数は8月は7714台(全体3位)121.3%、ミニバン2位(1位シエンタ) 、9月は9224台(全体7位)98.1%、ミニバン3位(1位シエンタ)、10月は4313台(全体12位)、ミニバン5位(1位シエンタ)
3列のシートを備えたミニバンは、売れ筋のカテゴリーだ。6~8名の多人数乗車が可能で、3列目のシートを畳めば、自転車のような大きな荷物も積める。
今は新車として売られるクルマの40%近くを軽自動車が占めるが、ダウンサイジングの進んだ状況でも、ミニバンの販売比率は15%前後に達する。
そのなかでも、特に売れ行きの好調な車種がセレナだ。2018年1~12月と2019年上半期のミニバン販売台数ナンバー1を獲得している。
2019年1~10月の上半期販売ランキングを見ると、ミニバンではコンパクトなシエンタに次いで2番目に多く売れている。
全長が4600mm以上のミニバンでは、7万7337台のヴォクシーや4万6306台のステップワゴンの台数を上まわり、セレナは8万3704台と最多販売車種になった。
そんななか、2019年8月1日には大がかりなマイナーチェンジを行われた。メインはハイウェイスターのフロントマスクの大胆変更で、パワートレーンについては2LのSハイブリッド(スマートシンプルハイブリッド)、e-POWERともにスペックや燃費値の変更などはいっさいなし。
また、「全方位運転支援システム」(エマージェンシーブレーキ、踏み間違い防止アシスト、車線逸脱防止支援システム、後側方衝突防止支援システムなど)が全グレード標準装備化された。
■セレナの マイナーチェンジのポイント
●「ハイウェイスター」のフロントマスクを一新して、大型グリルを採用
●「ハイウェイスター」はリアコンビランプデザインも専用となり差別化
●全方位運転支援システムを全グレード標準装備
●プロパイロットの機能向上を図る
●サンライズオレンジなど新色追加
ここで、マイナーチェンジ後の販売台数はどうなったのか、見ていこう。8月が7714台(全体3位)121.3%、ミニバン2位(1位シエンタ) 。9月が9224台(全体7位)98.1%、ミニバン3位(1位シエンタ)。10月が4313台(全体12位)、ミニバン5位(1位シエンタ) と、9月、10月は順位を大きく下げた。
消費税10%の影響による買い控えが目立っているものの、12月のボーナス商戦では巻き返すと思われる。
シエンタは2019年8月、9月に総合1位、10月は総合2位といきなり売れ出した。2019年のミニバン販売台数ナンバー1に輝く可能性もある
売れてるセレナの人気の理由
視界が広く見やすいのが好評のコクピット(e-POWERハイウェイスター)。2019年8月1日のマイナーチェンジで 全方位運転支援システムを全グレードに標準装備。価格は全体的に2.5万~3万円程度のアップ。プロパイロットも機能を向上させている
5ナンバー枠に収まるミニバンのなかでは居住性が最も優れているセレナ
セレナの売れ行きが好調な一番の理由は広い室内空間だ。標準ボディが5ナンバーサイズに収まるミニバンのなかでは、居住性が最も優れている。
ライバル車のヴォクシー系3姉妹車やステップワゴンに比べると、3列目シートのサイズに余裕を持たせ、セレナがスライド機能を備えたグレードであれば、3列目の足元空間も一番広い。
3列目を左右に跳ね上げて格納すると、荷室容量もタップリ確保できる。これらの優れた実用性により、セレナは高い人気を得た。
そしてエンジンは、発売時点から用意されるマイルドタイプのS(スマートシンプル)ハイブリッドに加えて、本格的なe-POWERも追加した。
e-POWERハイウェイスターVのJC08モード燃費は26.2km/Lだから、全長が4600mmを上まわるスライドを備えたミニバンでは、最良の数値になった。
人気グレードはどのグレード?
人気ナンバー1グレードのe-POWERハイウェイスターV。e-POWERは84ps/10.5kgmの1.2Lに、136ps/32.6kgmのモーターを組み合わせる。JC08モード燃費は26.2km/L
外観は5ナンバーサイズに収まる標準タイプとエアロパーツを備えたハイウェイスターがあり、多彩なバリエーションも魅力だ。日産自動車に聞いた、セレナのグレードのなかで特に多く売れるベスト3は、以下のようになる。
■セレナの人気グレード上位3位(日産調べ)
●1位:e-POWERハイウェイスターV(35%/349万9100円)
●2位:ハイウェイスターV(24%/298万6500円)
●3位:標準ボディXV(9%/273万6800円)
e-POWERハイウェイスターVと、2LのSハイブリッドを搭載するハイウェイスターVの2グレードで、セレナの登録台数全体の59%を占める。
人気グレード2位のSハイブリッドを採用するハイウエイスターV。パワートレインはスマートシンプルハイブリッドで150ps/20.4kgmの2L、直4エンジンに、2.6ps/4.9kgmのモーターを組み合わせている。JC08モード燃費は16.6~17.2km/L
スライドドアを備えた背の高いミニバンでは、セレナに限らずエアロパーツを装着したグレードの人気が高い。ノーマルボディでは、外観の見栄えが大人しく、商用車のように見えてしまうこともあるだろう。
またセレナでは、ハイウェイスターの価格を割安にしている。ハイウェイスターVは、標準ボディXVに、エアロパーツ、アダプティブ機能付きLEDヘッドランプ&フォグランプ、16インチアルミホイール、ハイウェイスター専用サスペンションなどを加えて、価格上昇を24万9700円に抑えた。
これらの装備をほかのミニバンに装着した場合、一般的な相場で約35万円に相当するから、セレナハイウェイスターVは割安だ。
両側スライドドアの電動機能なども標準装着され、300万円以下で機能と装備の充実したミニバンを手に入れられる。
一方、e-POWERハイウェイスターVの価格は、ハイウェイスターVに比べて51万2600円高い。
この価格の上乗せは、ライバル車よりも多額だ。ステップワゴンもe-POWERと同様、発電機と強力な駆動用モーターを搭載して、巡航中にはエンジンが直接駆動する走行モードも備える。それでもハイブリッドの価格上昇は約49万円に抑えた。
ヴォクシー系3姉妹車は、装備の違いが少ないヴォクシーV同士でハイブリッドとノーマルエンジンの価格を比べると、ハイブリッドの価格上昇は約36万円に収まる。
ヴォクシーのハイブリッドはプリウスを含めて幅広い車種に搭載され、コストもセレナやステップワゴンに比べて安く抑えられるからだ。
人気グレード3位の標準グレードのXV。パワートレインはスマートシンプルハイブリッド。ハイウエイスターに比べると普通の顔だ
■セレナのラインナップと価格(Autechを除く2WD車)※価格の安い順
X/257万6200円
XV/273万6800円
ハイウェイスター/275万8800円
ハイウェイスターV/298万6500円
e-POWER V/299万6500円
G/306万1300円
e-POWER XV/322万6300円
ハイウェイスターG/322万7400円
e-POWERハイウェイスター/329万3400円
e-POWER G/347万3800円
e-POWER ハイウェイスターV/349万9100円
e-POWER ハイウェイスターG/372万5700円
セレナのSハイブリッドとe-POWERはどちらがお買い得?
e-POWERハイウェイスターは329万3400円
次はセレナのSハイブリッドとe-POWERで、損得勘定を比べたい。
e-POWERハイウェイスターVの価格は、SハイブリッドのハイウェイスターVに比べて51万2600円高いが、購入時に納める環境性能割と自動車重量税の合計額は、ハイウェイスターVが4万6900円でe-POWERハイウェイスターVは課税されない。したがって両グレードの実質差額は46万5700円に縮まる。
そこでレギュラーガソリン価格が1L当たり145円、実用燃費がJC08モードの85%として計算すると、1km当たりの走行コストはSハイブリッドが10.3円、e-POWERは6.5円だ。e-POWERであれば、1km当たり3.8円安くなる。
この燃料代の節約で46万5700円の実質差額を取り戻せるのは、12万~13万kmを走った頃だ。
e-POWERの自動車税が排気量の違いによって年額5500円安くなることを含めても、一般的な使い方では、燃料代の節約で価格差を取り戻すのは難しい。
ただし、動力性能と運転感覚の違いにも注目したい。セレナe-POWERの動力性能は、一般的なエンジンの排気量に当てはめると、2.5Lから3Lに相当する。
しかもモーター駆動だから、Sハイブリッドに比べて加速感も滑らかだ。ノイズも抑えられ、運転感覚が上質に感じる。V型6気筒エンジンに近い感覚も味わえる。そのためにe-POWERハイウェイスターVがセレナの最多販売グレードとなった。
この走りの違いは、価格に換算しにくいが、e-POWERハイウェイスターVの価格は前述の349万9100円だ。
アルファード&ヴェルファイアに2.5LのNAエンジンを搭載するXの343万8600円とほぼ等しい。
Sハイブリッドに比べて50万円以上も高いとなれば、販売店の試乗車を乗り比べて、どちらのエンジンを選ぶか慎重に判断したい。
なお、試乗した時には、セレナの注意点もチェックしておく。セレナのプラットフォームは先代型と同じだから、ライバル車のヴォクシー系3姉妹車やステップワゴンに比べると、床の位置が70mmほど高い。
サイドステップ(小さな階段)を介して乗り降りするので、乗降性に不満を感じないか確かめたい。
セレナでは床が高いぶんだけ、ドライバーの視線も持ち上がる。周囲を見渡せる感覚はセレナの魅力でもあるが、左側面の死角が増えるから注意が必要だ。
縦列駐車や車庫入れを行って取りまわし性を確認したい。最小回転半径は5.5mだからミドルサイズカーの平均水準だが、オプション設定などによって16インチタイヤを装着すると、5.7mに拡大されて大回りになる。
また今のハイブリッド車には、100V/1500Wの電源コンセントをオプションなどによって装着できる車種が増えたが、セレナe-POWERには設定されていない。この機能は災害時などにも役立つから、早急に用意してほしい。
結論/おススメはこのグレードだ!
渡辺陽一郎氏おススメの1台、e-POWERハイウェイスターV。価格は349万9100円
総合的に見てきたが、私がおススメしたいベストグレードは売れ筋のe-POWERハイウェイスターV、あるいはSハイブリッドのハイウェイスターVだ。
購入時には、22万2200円のセーフティパックBをオプション装着するとよい。サイド&カーテンエアバッグや運転支援機能のプロパイロットがセットされ、機能を大幅に充実できる。
これらにカーナビなども加えると、SハイブリッドのハイウェイスターVでも、支払い総額は370万円前後に達する。
そのために販売店では「セレナでは残価設定ローンの利用率が特に高い。納期は短ければ1か月、長いグレードだと2か月半程度になる」という。
ちなみに、12月決算フェアの大幅値引きは、販売会社の決算を好転させるために行われるから、基本的に12月内の登録が前提だ。11月中には商談を開始するとよいだろう。
セレナのパワートレインはe-POWERと2Lのマイルドハイブリッドの2種類
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