■25年以上前から「SUV」や「車中泊」仕様があった「セレナ」
日産は2022年11月11日、近日フルモデルチェンジを予定する6代目新型「セレナ」について、先行情報を公開しました。
そんなセレナの歴代モデルには、常にメーカー純正のカスタマイズカーがラインナップされていました。いずれも個性強めな歴代のカスタム系セレナを振り返ります。
日産新型ミニバン「セレナ」6年ぶり全面刷新! 「エルグランド」級存在感のデザイン先行公開! ユーザーの反響は?
間もなく詳細が発表となる予定の6代目セレナは、第2世代「e-POWER」や先進運転支援機能「プロパイロット2.0」を新搭載するなど、新時代のミニバンに生まれ変わるといいます。
そんなセレナは、3列シートミニバンとして歴代モデルも高い人気を誇ってきましたが、その歴史を語るうえで外すことができないのが、オーテックジャパン(現・日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社オーテック事業部)が手掛けたカスタマイズモデルたちです。
現行型の5代目モデルには、その名も「AUTECH(オーテック)」というカスタマイズモデルが設定されていますが、ここでは過去にオーテックジャパンが手掛けた歴代セレナのカスタマイズカーを振り返ります。
セレナの歴史で最初にオーテックジャパンが手掛けたのは、1992年に発表された「サンキャット」でした。
初代バネットセレナ(1994年にセレナに改称)をベースに、専用のツートンカラーやフォグランプ埋め込み式の専用フロントバンパー、パノラマルーフなどを追加したものです。
時代を先取りし、セレナにSUVテイストを持ち込んだもので、4WD車にはオールシーズンタイヤが標準となる点も先見の明があったといえるでしょう。
続いて紹介するのは、1994年に登場した「キタキツネ」です。
これはのちのセレナや他車種にも展開されたカスタマイズモデルであり、名前の通りスノーアクティビティを楽しむユーザーに向けて生まれています。
専用のフロントアンダーガードも兼ねたグリルガード付き(無し車も設定)で、撥水処理トリム&フロアトリムなどを標準装備とし、「雪ん子ぱっく」にはシートヒーター(フロント)やスタッドレスタイヤが標準装着されていました。
キタキツネと同じ94年に設定された「アーバンリゾート」は、現在の車中泊ブームを大きく先取りした1台。
2列目と3列目シートに座面と背もたれを同じ形状にしたマルチパーパスシートを採用。簡単な操作で前向き、後ろ向きに変更できるだけでなく、フルフラットなベッドにも早変わりできます。
オプションとして引き出し式のギャレー&シャワーセットも設定され、装着車は当時、8ナンバーのキャンピングカー登録もできました。
■いまやお馴染みのグレードももともとはオーテックジャパンのカスタムカーだった
1996年には、初代セレナにエアロパーツをまとった「ハイウェイスター」が登場しています。
今では主力モデルとして知られるセレナ ハイウェイスターですが、初代セレナ(とその前に登場したラルゴ)のハイウェイスターは当初、オーテックジャパンが手掛けたカスタムカーの扱いでした。
しかしその高い人気ぶりから、やがてカタログモデルの1グレードへ出世したという逸話があるモデルなのです。
1999年6月にフルモデルチェンジを実施しFFレイアウトに生まれ変わった2代目(C24型)セレナですが、先代モデルでも好評だったキタキツネは継続設定。
翌2000年にはコンパクトカー「キューブ」や「ウイングロード」、高級ミニバン「エルグランド」などに設定されて人気を博していた「ライダー」が登場しています。
これはメッキ面の大きなビレットスタイルのエアロパーツやローダウンサスペンションを備えた、ハイウェイスターに代わる人気のカスタマイズモデルとして、5代目モデルまで継続設定されたものでした。
2005年5月に3代目(C25型)となったセレナには、先代から継続してライダーを設定したほか、2006年にはスポーティなライダーに対してプレミアム感をプラスした「アクシス」をリリース。
こちらはディープブラウンの本革シートや専用の木目調フィニッシャーを備えた上質な室内空間と、それに合わせて専用にチューニングされたサスペンションとこだわりを持って選定したタイヤを装着しており、今日の「AUTECH」に繋がるモデルに仕上がっていました。
2007年12月にマイナーチェンジを実施した3代目セレナに合わせてライダーも改良を実施し、サイドクラウディングパネルを大型化することで3ナンバー化をするとともに、ボディ補強やサスペンションチューニングを施した「ライダー パフォーマンススペック」と、それにエンジンチューニングもプラスした「ライダー ハイパフォーマンススペック」も追加設定されています。
続く4代目(C26型)セレナは2010年11月に登場。ライダーは引き続き設定となり、翌年にはボディとサスペンションに手を加えた「ライダー パフォーマンススペック」も再登場。またグリルなどにダーククロムを採用し、ダークエンブレムなどを装着した「ブラックライン」シリーズもライダーに追加されました。
また2012年には非ハイウェイスターのセレナをベースに、アクティブにセレナを使いたいというユーザーに向けて「クロスギア」をリリース。
これは防水シートを採用したほか、バックドアインナーフックやロングアシストレールなど、ユーティリティ性能を高めるアイテムを追加してタフに使える1台に仕上げたものとなっています。
■現行型では新カスタムカー「NISMO」と「AUTECH」が相次いで誕生
そして、現時点では現行型となる5代目(C27型)セレナは2016年8月に登場。
ライダーは発売と同時に設定がなされ、オーテックジャパン30周年を記念した「ライダー オーテック 30thアニバーサリー」も期間限定で設定されていました。
2017年11月には、NISMOロードカーシリーズとしては初のミニバンとなる「セレナ NISMO」が登場。
これは他のNISMOロードカーと同じテイストのエアロパーツをまとい、ボディ補強や専用チューニングのサスペンション、専用チューニングコンピューターとスポーツチューンドマフラーを備えたもので、オプションでレカロシート(フロント)が設定される本格的な仕様だったのです。
2018年1月には、プレミアムスポーティを標榜した「AUTECH」シリーズ第1弾として「セレナ AUTECH」が登場し、走りの性能も向上させた「AUTECH SPORTS SPEC」も設定されています(e-POWERのSPORTS SPECは2020年8月に追加)。
純スポーツ系のNISMOとプレミアム系のAUTECHという、対極のラインナップがセレナに揃った瞬間です。
また2020年2月には、セレナの車中泊仕様車となる「マルチベッド」をリリース。
これは2列5人乗り(e-POWERは4人乗り)のシートレイアウトとしたうえで、ラゲッジに収納式のベッドシステムを標準で装着した仕様となっており、クオリティの高いベッドキットのほか、拡張性の高い架装オプションが設定されている点も魅力の1台となっていました。
車中泊ブームを受け、初代セレナのアーバンリゾートが再び蘇ったような格好です。
※ ※ ※
このように歴代セレナをベースとして、時代を先取りするさまざまなカスタマイズモデルをリリースしてきたオーテックジャパン。
今回はカスタマイズモデルのみの紹介でしたが、このほかにも同社はセレナの福祉車両や特装車も数多く手掛けています。
間もなく登場する新型セレナでも、カスタマイズモデルが多数登場することが期待されますが、果たしてどんなカスタムカーが現れ私たちを驚かせてくれるのか、今から期待して待ちたいところです。
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みんなのコメント
MAZDAのボンゴフレンディもそうです。
トヨタには2段ベッド仕様のタウンエースとかあったよね。