自動車評論家 清水草一諸氏が満を持してお送りしてきた超絶感動巨編「ロングドライブのススメ」。最後となる第3回は「遠出するならコレに乗れ!クルマタイプ別 ベスト5」をお送りしよう。ロングドライブはカーマニア最大のロマンだ!!! クルマはプライベート空間。コロナもなんのその! もうすぐ夏も終わりだが、ぜひぜひ一度ロングドライブの旅に出かけてみてほしい!!!!
●第1回【私がロングドライブに出る理由/岬を目指せ編】はこちら!!!
●第2回【ロングドライブ推奨ルート タイプ別 BEST3】はこちら!!!
ロングドライブのススメ【03.遠出するならコレに乗れ! クルマタイプ別ベスト5】
※本稿は2022年5月のものです
文/清水草一、写真・画像/清水草一、AdobeStock
初出:『ベストカー』2022年6月26日号
■第1位 ディーゼル車
ロングドライブでは、主に低中回転を使用して、一定速で走る割合が高くなる。それに最も適したパワーユニットは、ズバリ、ディーゼルターボだ!
ディーゼルエンジンは高回転域を苦手とし、最高出力も控えめだが、低中速トルクの太さは無敵。
アクセルを1センチ踏むだけで、ググッと加速してくれるから、高速道路を淡々と巡行していても、ドライビングプレジャーは満点だ。これこそロングドライブのために生まれてきたパワーユニットだぜ!
しかも、高速巡行燃費は、リッター20kmを超える。この数字はハイブリッドカーと肩を並べるほど優れた数値だ。軽油の単価の安さも加味すれば、「最も安く、最も遠くまで、最も快適に」走ることができるのだ!
制限速度120km/h時代となった今、ディーゼルエンジンは、ますます強味を増している。
通常、巡行速度を100km/hから120km/hに上げると、燃費は2割以上落ちるものだが、ディーゼルはその「落ち」が極めて小さい。ディーゼルターボが、アウトバーンで最も愛されてきたゆえんである。
もちろん、空いた一般道の走行も得意中の得意だ。下道でのフツーの加速でも、ディーゼルのトルクの太さは、とってもラクチンで気持ちイイのだ。
ディーゼルの弱点は、アイドリングでの騒音や振動だが、停止する機会が少ないロングドライブなら、ほとんど無視できる。
現代のディーゼルエンジンは、どれも素晴らしい性能を持っているので、どのクルマを選んでも、ロングドライブに最適だが、できれば排気量が2Lあると、実用域の余裕が増す。逆にそれ以上あっても、それほどの利点はない。
コスパ的には、2L級ディーゼルがベストだろう!
筆者の愛車・BMW320d。2Lディーゼルは、3.5Lガソリン並みのトルクを発揮しつつ、ロングドライブではリッター20kmを超える!
■第2位 ハイブリッド車
ハイブリッドカーは、一般に高速巡行はやや苦手だが、燃費がいいことには変わりはなく、渋滞に強いという特殊技能もある。
ハイブリッドカーで渋滞に突入しても、ドライバーの心は平穏だ。なぜなら渋滞こそ、ハイブリッドカーの最大の得意種目だから!
ハイブリッドカーは渋滞にハマったほうが、かえって燃費が向上したりもする。つまり、夏休みなどの交通集中期のロングドライブでも、怖いものがなくなるのだ。この精神的余裕は大きい。
高速道路から一般道に下りれば、そこはハイブリッドカーの独壇場。スーッと流れる水になったような透明な走行フィールは、いかにも環境に優しそうで、自分と周囲の絶景が溶け合うような感覚を味わえる。
ハイブリッドカーでロングドライブに出かければ、「エコラン」という楽しみも得られる。どこまで燃費を伸ばせるか? 地の果てまで走る快感と同時に、燃費計の数字でも、大きな達成感を得ることができるのだ。
■第3位 軽トラ等原始系
普通、軽トラでロングドライブに出かける人はいない。軽トラで遠くまで走るのは快適じゃないし、本来の目的から外れている。でも、だからこそ、濃い体験ができるってもんだ。
30年以上前の軽トラ(ハイゼットトラックジャンボ)で伊豆半島を一周したら、日本を一周したくらいの充実感があった。
軽トラで起伏のある一般道を延々巡航してると、クルマの限界性能を引き出し続けているようで、一種のトランス状態に入っていける。快適性が低いぶん、体力や気力の限界は早めに来るが、それがまたいい。
軽トラよりもっと快適性の低いクルマ、例えばスーパーセブンのような肉体むき出し系のスポーツカーもまったく同じ、いやそれ以上の忘我の境地になれる。
快適性の低い原始的なクルマであればあるほど、ロングドライブの濃密度は上がるのだ。それを狙って、あえて原始的なクルマを選択するのが、真の男のロマンチシズムと言えるだろう。うむう。
■第4位 普通のガソリン車
普通のガソリン車こそ、マイカーの最大多数派。どんなクルマだってロングドライブできるんだから、普通のガソリン車がダメなわけがない!
あえて言うと、MTなら言うことナシだ。
ロングドライブは基本的に快適ドライブなので、MTの楽しさが最大限発揮できる。特に一般道では、シフト操作で忘我の境地に没入できる!
マリオ高野もMTのガソリン車(スバル車)をオススメしています。
マリオ高野所有の3台のスバル車は、すべてガソリンエンジンのMT車。最高だと申しております
■第5位 EV
あえて軽トラでロングドライブに行く理由があるように、あえてEVでロングドライブに行く理由もある。EVはロングドライブに向いてないので、そのぶん冒険度が高まるからだ!
急速充電器で30分充電したって、100kmちょい分しか電気を貯められない。何度も何度も充電しながらのロングドライブは、戦略性が求められる。つまりゲームだ! 面倒くさいけど楽しいじゃないか! 先を急いでもまったく無意味。自然、おおらかな気分になれる!
* * *
ロングドライブは本当に楽しい。カーマニア最大のロマンだ。日本の隅々までクルマで行き尽くそう! でも油断しちゃいけない。カーマニアも年を取ると、だんだんロングドライブがつらくなってくる。目の衰えが最大の敵でしょうか……。いつまでもできると思うなロングドライブ! 「今日がこれからの人生で一番若い日」なんて言葉もある! できるうちに出かけておこうじゃないか!
【番外コラム】推奨ボディタイプは?
ロングドライブというと、昔なら「GT」、つまりスポーティなボディタイプが最適とされていたが、現在はクルマの走行性能が全般に向上したので、そういう価値観は消滅している。ボディタイプなんてなんだっていい。
ただまぁ、どういうボディタイプがラクチンかと言うと、やっぱり「GT」や「ツーリング」、つまりセダンやステーションワゴンが楽と言えば楽。クロスオーバーSUVも巡航性能は充分。着座位置が高いぶん景色がよく見えるから、視界を優先するならSUVだ。車中泊するならミニバン系が断然イイ。ボディタイプにはそれぞれ得意種目があるってことですね。
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この記事読んで「ためになったわ~」と思う人は皆無だろう。