もくじ
ー 高価なEV EUの協力が不可欠
ー なぜ低公害車はそれほど高価?
ー オペルの業績が回復 中国でのDS不調は気がかり
カルロス・タバレス PSAグループを生まれ変わらせた手法とは?
高価なEV EUの協力が不可欠
PSAの会長が自動車産業の抱える大きな問題について語ってくれた。
シトロエン、DS、プジョー、ヴォグゾール・オペルを擁するPSAグループのトップ、カルロス・タバレスは自動車産業でも強い影響力を持つ人物の1人だ。
タバレスは欧州自動車工業会(ACEA)の議長も務めているため、様々な問題に対する彼の意見は自動車産業内に大きなインパクトを与えている。
本誌はタバレスの動向を追っており、今回は最近のPSA再編やヴォグゾールの吸収、より厳格なEUのCO2排出目標についての意見を聞いた。
――排出量規制のために10万人をリストラする必要があるという報告が出回っていますが、これは事実ですか?
「これはフェイクニュースですが、(欧州の自動車産業で)ここ3カ月で2万人の職が失われました」
「電動自動車は割高です。コストが高ければ販売価格も上がり、エコカーは選ばれた人だけが乗れるクルマでしかなくなってしまいます」
「これでは、(EUの排出ガス基準を満たすためには)販売台数を減らすか罰金を払うかしかありません。これを避けるために、再建を進めているのです」
なぜ低公害車はそれほど高価?
――なぜ低公害車はそれほど高価なのですか?
「バッテリーの価格競争が起こっていないからです。もしアジアにバッテリーの供給量を増やすよういえば、それに乗じて価格も上げてくるのです」
「(EUの)法律は、ヨーロッパでバッテリーメーカーを作るのと同時に施行すべきなのです。この法律は戦力的にきちんと計画されたものではありません。充電ネットワークへの投資は検討されているのでしょうか。全方位からの施策とは言えず、厳密な計画も欠いています」
「これは深刻な問題です。EVは続々と登場しており、価格は3万ユーロ(373万円)ながら、十分な充電ネットワークは整備されていません。この問題は自動車メーカーだけの話ではないのです」
――去年10月に提出されたEUの排出ガス規制では2030年までに、平均CO2排出量を2020年比で45%削減することを求めています。これについてはどうお考えですか?
「われわれは10月の選挙の人質に取られていたようなものです。実際、インパクトのある研究はまだ存在しておらず、われわれは自動車産業の競争力を守る必要があります」
「PSAは生き残り、時代に適応していくでしょう。しかし、EUは急速にことを進めており、提携先やサプライヤー、ディーラーなど、産業のエコシステムにどのような影響が出るでしょうか。変化のスピードによっては崩壊が始まってもおかしくありません。皆このことに気づいていないのです」
「(バッテリーがアジアで製造されている関係で)トータルコストの40%程度がアジアに流れるでしょう。ですが、EUがアジアに仕事を与える権限があったでしょうか。しっかり戦略を練る必要があります」
「こういった疑問は法律を過去の基準に戻すものではありません。誰が未来の青写真を描いているでしょうか。どこに充電ネットワークを作るのでしょうか。CO2をうまく循環させるにはどうしたら良いでしょうか。水素など、ほかの燃料はどうでしょうか。決まったとしても、次は資金が必要になります」
オペルの業績が回復 中国でのDS不調は気がかり
――PSAは他社との提携を考えていますか。
「今のところ探していません。我が社の将来に向けて、必要なキャッシュフローを生み出しているところです。資金は十分作ることができるでしょう。しかし、もし機会があれば、検討することもあり得ます」
――機会とはどのようなものが考えられるのでしょうか。
「2030年までは混沌とした状態が続くでしょう。まさにダーウィンの言う自然淘汰の世界であり、すべてのメーカーが生き残り、EVの世に適応できるというわけにはいきません。限られたものだけが生き延びられる世界。現在の契約社会とは正反対ですが、とても刺激的です。
――どうやってこれほど速くヴォグゾール・オペルを好転させたのですか?
「マネジメントはわれわれが行っています。(オペルCEOの)マイケル・ロシェラーが彼の母国で激しく批判されていることは悲しく思います。好ましいものではありません。50年にわたって赤字が続いていましたが、今では利益を上げている。それにもかかわらず彼が批判されるのは倫理に反します」
――DSオートモビルズの発展は喜ばしいものですか?
「はい。これまで4万台のDS 7を販売し、利益率は驚くほど高くなっています。唯一満足していないのは中国市場での業績ですが、商品の仕上がりは満足できるレベルに達しています」
――どうして中国で苦戦を強いられているのでしょうか。
「50対50のジョイントベンチャーモデルがうまく機能していないためです。動きの速い市場にもかかわらず、決断が非常に遅くなっているのです」
――今後のディーゼルエンジンの展望は。
「欧州でのディーゼル車の販売は8%ほど落ち、現在は35%を占めています。ドイツでは感情論ではなく道理の通った考え方が広まり、ユーロ6ではディーゼル車をゼロにするなどという独善的な方法ではなく、古いディーゼル車を新しいものと置き換えることによって環境の改善を図ろうとしています。現実的なアプローチと言えるでしょう」
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