老若男女あらゆる層に支持されるスーパーカブの「カスタムの原点」とは?
HONDA Cabura
街のコミューターとして生み出されたスーパーカブであったが、1970年代後半にスクーターやファミリーバイクが若者や女性層の足とし定着していく中、ビジネスバイクとしてイメージがより濃くなっていった。
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しかし、スーパーカブは、単なるビジネスバイクという枠に収まるような平凡なバイクではなかった。スーパーカブの秘めたポテンシャルは、とあるキットパーツによって新たな展開をみせたのである。
スーパーカブといえば、扱いやすくタフで低燃費な働き者と、万人が最初にイメージする。
そんな労働車を、より使いやすくする改造は、誰もが当たり前に行なっていた。
そば屋さん、ラーメン屋さんはおなじみの出前機を付け、銀行員や保険屋さんは大切な書類やお金のために鉄箱をリアキャリアに固定し、畳屋さんは大型のパイプ製サイドカーを、竿竹屋さんはリアカーをけん引し、牛乳屋さんはハンドルにバッグを取り付けるためレッグシールドの上部をカットしていたし、新聞屋さんは前カゴに入れた新聞によるヘッドライト反射を防止する目的でヘッドライトを移設した(これが後のプレスカブの起源にもなった)。
郵便屋さんに至っては特化したスペシャルマシンのMDシリーズを共同開発してしまったほど。
このような実用性重視の改良とは異なり、スタイルや遊びを重視したドレスアップとなると、スーパーカブとは縁遠かった。仕事第一、遊びは二の次という昭和モーレツ時代のなごりがあったかもしれないが、なぜかタブー視されている雰囲気さえあった。
今ほどカスタマイジングが当たり前ではなかったし、わざわざスーパーカブに手を出さなくとも、素材は他に山ほどあった。
もちろんスーパーカブを素材にする「変わり者」も存在したのだが、少なくとも1980年代までスーパーカブベースのカスタムは、ウケ狙い、キワモノ扱いされていたというのが正解だろう。
バイクブームが翳りを見せ始めた1990年代初頭になると、脱スペック至上主義、なんでもありのボーダーレス時代へと突入、スーパーカブベースのカスタマイジングも、ホワイトハウスなどのビルダーによって手掛けられ、新たなジャンルの、オシャレ路線なスーパーカブが出現し始めた。
1993年4月20日、ホンダの子会社であるホンダアクセスからスーパーカブ用の純正カスタマイジングパーツが登場する。
スーパーカブ用のオプションパーツといえば、前カゴや大きな荷台、ハンドルカバーなど機能性が最重視され、デザインやカラーは二の次というような、実用性は高くとも面白味のないものというイメージが強かったが、フロントマスコット、フロントエンブレム、オリジナルシート、レッグシールド、カブラサイドカバー、ミニキャリア、カブラマークなどと、専用デザインのカブラヘルメットの全12アイテムが一挙に発売された。まさか、スーパーカブ純正オプションで「ここまでやるか!」という驚きを伴っての登場であった。
この「ワークス」のカスタマイズパーツ(当時ホンダアクセスでは「新カテゴリー用品」と呼んでいた)は「カブラ」と命名された。
さすがメーカー純正だけのことはあり、無理矢理な感じも、後付け感もないシャープな出来映えと、野菜の「かぶ(かぶらとも言う)」から命名されたシャレ気もありながら、どことなくフランス語の香りもあるネーミングもベストマッチ。
スーパーカブとは縁がなかった都会の若者層や、若い女性層を惹き付けると共に、スーパーカブカスタマイジング新時代の推進役ともなった。
当初12アイテムだったカブラキットは、翌年に17アイテム、そして1990年代後半から2000年代初頭にかけ、カブラスポーツ用(1993年の東京モーターショーに出品されたカブラ・Sとほぼ同様のスタイルになる9アイテムなど限定発売)のレッグカバーやシングルシートカウルに、通称ハンターカブラ(1995年東京モーターショー出品車)のアップマフラーやリトルカブ用のリトルカブラキットも追加され全盛期を迎えた。
スーパーカブのカスタマイジングベース化はあっというまに定番となり、サードパーティ製カスタムパーツが急激に増加、カブラは次第に役割を終えていった。
カブラは、実用一辺倒であったスーパーカブに新たな一面を見いだし、スーパーカブの秘めた才能を開花させたキットパーツであった。
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