1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)とGQ JAPAN編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回取り上げるのは、ヤングタイマーではないかもしれないけれど、探偵が「どうしても見たい!」と、リクエストしたアストンマーティンの「DB5」だ。
新車のようなDB5に感動!
少年I マイネーム・イズ・ボンド。ジェイムズ・ボンド。
少年O 今日はスーツにタイで登場ですかね? トム・フォードのいいスーツですね。なんのマネですか……といっても、最初からネタバレしていますが(笑)
探偵 今日のクルマはアストンマーティンですね! しかも憧れだったDB5だから、シビれます。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
少年I “ボンドカー”として知られるアストンマーティンDB5が今回、採り上げるクルマです。
少年O 1963年から1965年にかけて英国のアストンマーティンが販売した、4.0リッター6気筒エンジン搭載のスポーツクーペです。映画『007/ゴールドフィンガー』にボンドカーとして登場していらい、ボンドと一体になっているように扱われるクルマですね。
探偵 私は1989年生まれなので、ボンド映画というと2002年の『007/ダイ・アナザー・デイ』からです。ピアース・ブロスナンがボンドを演じた最後の作品。
少年O ブロスナンのボンドも個人的には好きです。もちろんクレイグもいいです。でもやっぱりボンドといえばショーン・コネリー、ボンドカーといえばDB5でしょうか。コネリーでなく、キャリー(ケイリー)・グラントとかジェイムズ・メイスンがボンド役を引き受けていて、ボンドカーが、イアン・フレミングの原作で示唆されているようにジャガーになっていたら、イメージ、けっこう変わったかもしれませんね。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
少年I 今回登場するDB5のオーナー、伊澤裕さん(60)は、Aston Martin Owners Club Japanの代表を務めていらっしゃる方です。小学生の頃、ボンドカーのモデルカーで遊んでいて、いつかは欲しい! と、思い続け、2002年に購入したそうです。ものすごく美しい状態を保たれていて、まるで新車。かつ、パーツはミラーからホイールのスピナーにいたるまで、オリジナルにこだわっていらっしゃいます。
探偵 伊澤さんのような方がいるから、文化財としてのクルマが、いつまでもいい状態で後の世代に受け継がれていくんですよね。私はこんなきれいなDB5、初めて見ました。
芸術的なデザイン
少年O ボディのプロファイル(橫から見た輪郭線)の美しさは時代を超えて、まったく古びてみえません。ロングフードとショートデッキの組合せによるプロポーションと、なめらかな面づくり。
探偵 芸術的ですね。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
シトロエンCX
メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
フェラーリ360モデナ
少年O グリルとヘッドライトのバランスもいいし、15インチのタイヤとボディの関係も均整がとれています。細いピラーなのでキャビンの透明度が高く、そこからクローム類がアクセントになっているダッシュボードと、ぶ厚いパッドのシートなどで構成されるインテリアが見えるのも、胸ときめかせるものがあります。
少年I タイヤは、いまでこそラジアルですけれど、伊澤さんは、そのうち、オリジナルに準じて、エイボン(メーカー)のクロスプライタイヤに戻すとのことです。当時はラジアルタイヤでないですからね。それとインテリアがものすごく状態がいいので、どれだけオーバーホールしたかうかがったら、シート表皮の張替えなどはしていないとのことです。一部レタッチしただけ。
少年O ひび割れも、跳ね石やタイヤとの接触によるボディのチッピング(塗装の欠け)もそのままがいいっていうひともいますからね。伊澤さんのクルマはオーバーレストレーションがいっさいなし、というところが驚きです。
少年I しかも伊澤さん、どうぞ好きに運転してくださいって太っ腹。
探偵 それでは、お言葉に甘えて、ぜひとも乗らせてください。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)
マツダRX-8
トヨタ・セルシオ(初代)
びっくりするほど乗りやすい
探偵 ひとことで感想をいうと、古いクルマの探偵団やっていて、ほんとよかったと思いました。感動ものです。1960年代の、しかもスポーツクーペなので、扱いにくさを覚悟しつつ、ビクビクもので乗り出したんですが、びっくりするほど乗りやすいクルマです。エンジントルクがたっぷりあるうえ、神経質なところがほとんどないんですね。
少年O 古いクルマはギアの一部にシンクロナイザーがついていなかったりして、シフトアップとダウンのとき、エンジン回転をきちんと合わせなくてはいけないんですが、DB5のZF製5段ギアボックスは扱いやすいんですね。もちろん、オーナーによる調整がよくされているというのが、大きいと思います。
探偵 そうなんです。多少は、シフトのとき、エンジン回転を意識していないと、ガリッと音をさせてしまうこともあるようですが、私は、自分のチューニングしたフォルクスワーゲン「ゴルフ(II)」で慣れているせいか、スムーズに出来たようです。
少年I オーナーにホメられていましたね。
探偵 個体がいいんですよ。新車のときもこんなかんじだったのかな? と、思いました。オーナーの伊澤さんは「いいクラシックカーだからって飾っていてはもったないと思うので、ツーリングとかジムカーナとかで楽しんできました」というポリシーだそうです。走らせてみて、なるほどと感心しました。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
トヨタ・セルシオ(初代)
日産・フェアレディZ(2代目)
フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)
メルセデス・ベンツ560SEC
フォルクスワーゲン・コラード
少年I 伊澤さんは、ほかにフェラーリにもポルシェにもランボルギーニにも乗っていらっしゃったそうです。アストンマーティンの魅力はとうかがうと、「品のよさ」と、答えてくださいました。
探偵 その品のよさも、エンジニアリングやスタイリングを含めた、質の高さによるところが大きいですね。
少年O 欧米のクルマに乗ると、“あの時代でここまで完成度が高かったのか!”と、感心することがあります。日産は「SP310」という「フェアレディ1500」を出していましたが、こういってはなんですけど、パワーや操縦性や出来などで、オトナとコドモぐらいの差が感じられます。
探偵 DB5を作って、それを買い支えてくれるマーケットがあって。だから、少量生産のスポーツクーペが生き残れたんですね。
少年I 伊澤さんはこれまでに、「ビラージュ」(発表は1989年)、「DB2」(同1950年)、「ラゴンダ」(同1974年)、「V8ヴァンテッジXパック」(同1986年)、「DB7ボランテ」(同1996年)、「シグネット」(同2011年)など、アストンマーティン車をいろいろ乗っていらっしゃったそうです。
探偵 それぞれ個性があるんで、いろいろ乗れるなんてうらやましいかぎりです。
少年I それと今回の取材のセッティングをしてくれた、アストンマーティン・ジャパンの谷田恵美さんにも、ほんと、感謝しなくてはなりません。
探偵&少年O 伊澤さんと谷田さん、ありがとうございました。
【プロフィール】
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)
1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。
【俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
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日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
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マツダRX-8
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日産・フェアレディZ(2代目)
フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)
メルセデス・ベンツ560SEC
フォルクスワーゲン・コラード
まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・新宮利彦 取材協力・アストンマーティン ジャパン
衣装問い合わせ先:TRAMPOT:東京都目黒区鷹番3-18-18 ロフティ学芸大1F 03-5773-4210
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