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【崖っぷち日産の本気車】ノート・オーラの新しい価値観 成功する?

掲載 更新 32
【崖っぷち日産の本気車】ノート・オーラの新しい価値観 成功する?

ノート・オーラは豪華志向というより……

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】早くも強敵登場?【ノート・オーラとアクアを比較】 全131枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

今までの日本車の価値観は、走行性能やカッコ良さを魅力とするスポーツ指向と、上質な内装や豊富な快適装備を備えた豪華指向に分類されることが多かった。

しかし、2021年6月に発表されたコンパクトカーのノート・オーラは、スポーツ指向でも豪華指向でもない。

ノートの上級シリーズだから豪華にも思えるが、実際には穏やかなリラックス感覚を重視している。

開発者は「3ナンバー車だから、一見すると豪華だったりスポーティに感じるが、ねらっているところは違う。爽やかさとか、くつろげる感覚を大切にした」という。

この感覚を分かりやすく表現しているのは内装だ。

ベース車のノートに装着されない装備として、インパネの上部などにはツイード調織物が巻かれ、木目調パネルを組み合わせた。色彩はブラックと明るいグレーの2種類がある。

シート生地はツイード調織物と、本革の2種類を選べるが、グレーの色彩は本革シートのみの設定だ。

ツイード調織物のシート生地では、グレーを選べない。これは残念なところ。

ノート・オーラの特徴とされる爽やかさとか、くつろげる感覚を端的に表現しているのは、本革よりもツイード調のシート生地だろう。

デザイナーも「ツイード調の内装を見て欲しい」と述べていた。

この矛盾が生じた背景にあるのは、ノート・オーラの販売戦略だ。

グレーを選べる本革シートのGレザーエディションは、後席のアームレストを含めて、8万9100円の価格アップで用意されている。

この価格は割安だ。ベース車のノートにも、本革シートと後席アームレストがセットオプションに含まれて用意されるが、単品価格を割り出すと約14万円になる。

つまり、ノート・オーラは、本革シートをノートよりも約5万円安く用意して、普及を図るために色彩も豊富に設けた。

ティーダ/キューブの後任 顔面ギラギラ系ではなく

なぜノート・オーラは、スポーツ指向や豪華指向でなく、爽やかさとか、くつろげる感覚を重視するのか。

1番の理由は、スポーツ指向や豪華指向が飽きられてきたからだ。

今でも派手なフロントマスクのミニバンやSUVが相応の人気を得ているが、価値観としては古くなった。

クルマ以外の流行をみても、バブル経済期に散見された都心の高級ホテルに宿泊するような価値観は廃れた。

自宅の庭でゆったりと休日を過ごすとか、コテージに出かけるような爽やかさ、くつろぎが求められる。ノート・オーラもこの流れに沿っている。

2つ目の理由は、日産が用意していたティーダやキューブの廃止だ。

開発者は「ノート・オーラは、ティーダやキューブの後継車種ではない」というが、車両の雰囲気は良く似ている。

この2車種も、爽やかさとか、くつろげる感覚を先取りしていたからだ。

ティーダは内外装が上質で、ノート・オーラに似たクルマだった。

キューブは全高が1600mmを超える背の高いコンパクトカーだが、前後にソファ風の柔らかいシートを装着して優しい雰囲気があった。

ガラスルーフにはSHOJI(障子)シェードが備わり、これを閉めると車内が穏やかな光で満たされた。

先代ノートも上級グレードとしてメダリストを設定したが、内外装の質感や乗り心地に不満が伴い、ティーダやキューブの後継にはなり得なかった。

そこでボディや内装を相応に上質化したノート・オーラが開発されている。

本気で台数を狙う ノートよりも割安感

果たしてノート・オーラは売れるのか?

日産としては何としてもノート・オーラを好調に売らねばならない。

なぜならティーダやキューブを廃止した影響もあり、今の日産には売れ筋車種が少ないからだ。

コンパクトSUVのキックスは伸び悩み、好調に売れる車種は、軽自動車のデイズとルークス、ノート、セレナ程度になる。

その結果、日産の国内販売ランキング順位は、以前の2位から5位まで下がった。

2021年1~6月のデータは、1位がトヨタで、2位以下はスズキ、ダイハツ、ホンダ、日産の順番だ。

この状況から脱するためにも、ノート・オーラを数多く売らねばならない。

しかも、現行ノートは、先代型に設定されていたノーマルエンジンを廃止した。この不足分をノート・オーラで補う必要もある。

ちなみに先代ノートは、2018年に、小型/普通車市場で新車登録台数ナンバー1になった。2018年の1か月平均登録台数は、1万1360台に達していた。

一方、2021年1~6月の1か月平均は7813台だから、単純に計算すれば、2018年に比べて今は1か月当たり3500台が不足している。

そこをノート・オーラで補いたい。

この戦略が達成されると、ノート・オーラはノーマルエンジン車よりも価格が大幅に高いので、利益の上乗せでも有利になる。

そこでノート・オーラは価格を割安にした。

ノート・オーラGは261万300円で、ノートXに比べて約42万円高いが、この内の約26万円はノートにオプション設定される装備の標準装着に費やされる。

つまりノート・オーラが内外装の質を高めたり、動力性能や走行安定性を向上させた対価は、残りの16万円に収まる。

ノートオーラは独特のリラックス感覚を備え、装備を充実させて、なおかつ価格も割安だから売れ行きも相応に増えるだろう。

早くも強敵  アクアとどちらが買い得?

ノート・オーラには、早くも強力なライバル車が登場した。それが新型アクアだ。

新型アクアは4グレードを用意するが、最上級のZを割安にした。

価格は240万円で、中級のGに比べて17万円の上乗せだが、バイビームLEDヘッドランプや10.5インチディスプレイなど、19万8000円分のオプション装備を加えている。

さらに装飾類も上質になるため、総額では23万円相当の装備がプラスされた。

ノート・オーラとアクアの装備を比べると、アクアでは後方の並走車両を知らせるブラインドスポットモニターなどの安全装備が4万6200円のオプション設定になるが、運転支援機能はノート・オーラと違って標準装着される。

そのうえでアクアZの価格は、ノート・オーラGよりも約21万円安いので、価格競争力が強い。

内装はノート・オーラが上質で、前述のとおり本革シートも割安に装着できるが(アクアに本革の設定はない)、WLTCモード燃費は、ノートオーラの2WDが27.2km/L、アクアは33.6km/Lと優れている。

コンパクトカーはハイブリッド車を含めて競争が激しく、買い得車が豊富にそろう。

ノート・オーラやアクアを中心に、ますます魅力的なカテゴリーになっていくだろう。

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みんなのコメント

32件
  • 日産が、崖っぷち、であることには同意する。
  • 【AURA】
    AURAについて同じコメントが多くちょっとしつこいです。新しい記事をお願いします。
    私はAURA買うので。
    ところで今回のシートは本革がgoodです。FUGAやCX-5より座り心地が良い。
    ファブリックのほうはVEZELやMX-30同様に悪く言えばジジクサイのです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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