パイクスピーク2023に向け、準備完了!
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(通称パイクスピーク)の101回目の大会(2023年6月25日決勝)まであとひと月半といったところだが、70台のエントリー車一覧の中には、日本人の名前が2名載っている。そのうちの1名はパイクスピーク初挑戦のルーキー。車両はトヨタEP82スターレットだ。
トヨタ「ヤリス」のご先祖「スターレット」が生誕50周年! 初代はレースで圧倒的な速さを誇りました
全長約20kmの1本道をいかに速く走るかを競う
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、アメリカ・コロラド州にあるパイクスピーク(標高1万4115フィート=4301m)を舞台に、いかに速く駆けあがるかを競うヒルクライムレース。1916年に第1回目の大会が開催され、以後世界大戦などで未開催の年もあったが、毎年独立記念日前後に開催されている世界で2番目に古いレースであり、2022年に100回記念大会を無事に開催している。
コースは、標高2862mのスタート地点から頂上までの全長約20kmの1本道。これを1台ずつアタックする。ちなみにこのコースは通常は観光道路として使用されており、スタートからゴールまでコース全体を通してタイムアタックすることができるのは決勝日のみ、年に1回しかない。事前の練習セッションは参戦車を3グループに分け、コースを3分割して日替わりで走行セクションを換えていき、1/3のコースで練習走行および予選をすることになる。
高地での走行となるが、頂上付近では空気が薄くなっており、エンジンの出力が30%近くダウンするといわれている。今回日本人2名が参戦するが、そのうちの1台が、1990年式トヨタ「スターレット」である。今回、そのスターレットが日本を離れる直前に取材する機会を得た。
この車両を持ち込み参戦するのは八木敏史選手で、若いころにはラリーに没頭していた。県戦を中心に何度か全日本にも参戦した経験がある。一時モータースポーツから離れていたものの、再びモータースポーツを何か始めようかと考えた際に、当時の知人から勧められたのがヒルクライムであった。
現在は、国内で行われているBRIGヒルクライム・シリーズを中心に参戦している。この同じシリーズに参戦している小林昭雄選手も、2018年から数年パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに参戦している。
「その当時は、あまり関心もなかったんですよね。へぇ、アメリカまで行ってヒルクライムやるのか、くらいで」
52歳。チャレンジするのはそろそろ最後のチャンス
八木選手がトヨタ スターレットをチョイスしたのはラリーを楽しんでいた頃のことだ。
「2輪駆動モデルのブームがあったんです。地方戦にはGC8インプレッサで参戦していたんですが、そのときに手に入れたのがこれでして」
ほかにも候補はあったが、一番しっくりくるのがスターレッドだったとのこと。
パイクスピークへのチャレンジの構想をじんわりと八木選手が持ち始めたちょうどその頃、知り合いの経験者である小林選手がパイクスピークへの挑戦を終えるタイミングと重なってしまった。そこで、今回は現地への事前視察もナシでの参戦となる。
今回のパイクスピークのクラス分けは、ポルシェ・パイクスピーク・トロフィbyヨコハマ、パイクスピーク・オープン、タイムアタック 1、オープンホイール、アンリミテッド、エキシビションの6部門で、八木選手が参戦するのはパイクスピーク・オープン。
500psや600psというモンスターマシンが数多くある中で、スターレットはエンジンのスワップなどもなく、その出力は「200psくらいかな」という。少し心もとない感じもするが、車両は軽量だ。今回のパイクスピークへの挑戦に合わせて安全タンクを装着し、太いロールケージを組み入れた。パイクスピークらしく、スポイラーやウイングを立ててはあるものの、基本的には国内でのBRIGシリーズ参戦車両のまま。
「ここまでやるのに、けっこうお金がかかっちゃいましたからね。3年計画といいたいところですが、2年計画で、今年はまず様子見といった感じで参戦してきます」
まずは今年参戦してみて、足りないところやさらに手を加えるところを見極めていくという。
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム第101回大会の公式スケジュールは、2023年6月19日(月)に公開車検、20日(火)から4日間の練習走行および予選セッションが行われ、23日(金)の夕方にはファンフェスタが開催される。そして25日(日)にパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム決勝が行われる予定となっている。
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