現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > ヤリスが王者になるも「黒船」シュコダ・ファビアが驚異の速さ! スバルWRXが苦しんだ2021年の全日本ラリー

ここから本文です

ヤリスが王者になるも「黒船」シュコダ・ファビアが驚異の速さ! スバルWRXが苦しんだ2021年の全日本ラリー

掲載 更新 5
ヤリスが王者になるも「黒船」シュコダ・ファビアが驚異の速さ! スバルWRXが苦しんだ2021年の全日本ラリー

 この記事をまとめると

■2021年の全日本ラリー選手権JN1クラスに国際規定モデルR5仕様車が解禁された

【噂の真相】F1は天井に張り付いて走れるって本当?

■純レーシングカーのシュコダ・ファビアR5が投入され衝撃的な速さを見せつけた

■GRヤリスがタイトルを戴冠、スバルWRXは明らかに戦闘力不足

 R5仕様解禁でシュコダ・ファビアR5が全日本ラリー選手権に参戦

 2021年の全日本ラリー選手権において最大のトピックスとなったのが、やはり、最高峰クラスのJN1クラスに国際規定モデル、R5仕様車が解禁されたことだろう。

 この結果、クスコレーシングの柳澤宏至とスリーファイブ・モータースポーツの福永修が純レーシングカーとも呼べるシュコダ・ファビアR5を投入した。

 迎え撃つ国内規定モデルのRJ仕様車は、アライモータースポーツの新井敏弘、新井大輝、ittzラリーチームの鎌田卓麻らが熟成を極めたスバルWRXで参戦したほか、トヨタのニューマシン、GRヤリスが登場。トヨタGAZOOレーシングの勝田範彦、眞貝知志を筆頭に、それまでADVAN-PIAAラリーチームの三菱ランサーで戦ってきた奴田原文雄がヌタハララリーチームを組織してGRヤリスを投入するなど、3モデルが集結していたのだが、R5は全日本ラリー選手権の”黒船”となったのだろうか?

 結論からいえば、R5は”黒船”であり、全日本ラリー業界に衝撃を与えるほどの速さを見せてくれた。とくに福永は第3戦のツール・ド・九州を皮切りに、第5戦の丹後ラリー、第6戦のモントレーと3連勝を達成。自動車メーカーの支援のないプライベーターにとって、R5仕様車は最強の武器となることを証明した。

 残念ながら、グラベルラリーではドライバーのスキルがリザルトに直結することから、チャンピオン経験者、WRC経験者がドライビングするRJ車両に福永はついていくことができずに、第7戦のラリー・カムイ、第9戦のラリー北海道ともに5位に惨敗。

 さらに、第10戦のラリーハイランドマスターズ、第4戦の久万高原ラリーと得意なターマックでも2位に惜敗したことから福永のタイトル獲得は幻に終わったが、R5仕様車のポテンシャルをみせつけたシーズンとなった。

 迎撃に成功したGRヤリスと2022年の浮上に賭けるWRX

 このようにR5仕様車は全日本ラリー選手権においても噂に違わぬスピードをみせつけていたが、それ以上に筆者を驚かせたのが、RJ車両のトヨタGRヤリスだった。とくにトヨタGAZOOレーシングの勝田が猛威を発揮していた。ラリー・カムイで初優勝を獲得するとラリー北海道を制してグラベル2連勝を達成。

 さらに圧巻だったのは終盤のターマック2連戦で、勝田+GRヤリスは前半戦で圧倒的なパフォーマンスを見せていた福永+ファビアR5を抑えて第10戦のラリーハイランドマスターズ、第4戦の久万高原ラリーを制し、4連勝を達成したことは記憶に新しい。

 その結果、勝田が自身9度目、そして、GRヤリスがデビューイヤーで初めてのタイトルを獲得した。

 このトヨタGAZOOレーシングの躍進は、勝田が非力なライトウェイト車両のドライビングに対応したことが原動力となっていた。

 同時にニューマシンにはマイナートラブルがつきものだが、デビュー戦となった新城ラリーを除けば、GRヤリスは安定した走りを披露していただけに、イベントごとにマシンを煮詰め、勝てるパッケージに仕上げたエンジニアおよびメカニック、そしてタイヤをはじめとするサプライヤーの技術力もデビューイヤーでの躍進を導いたポイントといえる。

 一方、同じRJ車両でもスバルWRXはシーズンを通して苦戦の展開を強いられた。

 第2戦の新城ラリーは福永+ファビアR5は経験不足が否めず、また、トヨタGAZOOレーシングのGRヤリスにもトラブルが出たことから、ドライのレグ1は鎌田が制し、ウェットのレグ2を攻略した新井敏弘が緒戦を制したが、第3戦のツール・ド・九州および第5戦のラリー丹後でスバル勢は表彰台を獲得することはなかった。

 第6戦のモントレーでようやく鎌田が3位に入賞するも、第7戦のラリー・カムイで新井敏弘が2位、鎌田が3位、第9戦のラリー北海道で新井大輝が2位、鎌田が3位と、グラベル戦ではなんとかスバル勢が表彰台を分け合ったほか、第10戦のラリーハイランドマスターズ、第4戦の久万高原ラリーで鎌田が3位につけるものの、スバル勢が再び勝利を飾ることはなかった。鎌田曰く「3位ならスバル勢にとって優勝と同じ価値」という状態となっていた。

 スバルWRXを武器に2021年のJN1クラスでタイトルを獲得した新井大輝は、「去年より攻めているけれど、ファビアRとGRヤリスに追いつけない。ドライバーもチームもやれることはすべてやっているので、これ以上、速くすることは厳しい」と心境を吐露しているが、VAB型WRXが旧型モデルとなり、進化が期待できないだけに、今後も厳しい戦いが強いられることだろう。

 このようにJN1クラスに集結する3つのモデルに性能格差があることが明らかとなったことから、2022年の全日本ラリー選手権では”性能調整”の導入が検討されている。詳細は明らかになっていないが、関係者の話によると、ファビアRもしくはGRヤリスを基準に置く見込みで、スバルWRXに関しては救済策として”リストリクター系の拡大”もしくは”最低重量の引き下げ”、あるいはその両方が実施されるようだ。

 ちなみに11月12日~14日に愛知県および岐阜県で開催されるセントラルラリーは、その性能調整を図る一戦になる見込みで、アライモータースポーツの新井大輝が軽量化を実施したスバルWRXで参戦するだけに、その走りに注目が集まる。

 この性能調整がうまくいけば、2021年のシリーズで劣勢となっていたスバルWRXのパフォーマンスアップが期待されており、新井親子と鎌田が再びトップ争いに加わってくる可能性が高い。ジェントルマンドライバーを対象にした他のクラスと違って、全日本ラリー選手権のJN1クラスは完全にプロドライバー&プロチームを対象にした独自のクラスに進化しており、2022年も激しいタイトル争いが展開されるに違いない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

5件
  • え、ヤリスに負けてるの?
  • WRX‥ワールドラリーを車名としていながら
    国内ラリーでさえテールエンダーという醜態
    過去の栄光だなあ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

150.1235.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

98.4318.0万円

中古車を検索
ヤリスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

150.1235.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

98.4318.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村