国産V8搭載で超マッスルに生まれ変わったER34
これで本当に280馬力!? 非常識な暴れん坊マシン!
ファン!ファン! 快晴の空のもと、RB系とは明らかに異なるサウンドを奏でながら登場した“ユーラス”のR34スカイライン。ボンネットを開けてビックリ! 何とそこに収まっていたのはバブルが生んだ高級車、インフィニティQ45用のV8ユニット“VH45DE”ではないか…!!
「製作のきっかけ? そこにゴミ(笑)があったから。直6エンジンは外人さんがバンバン買い漁っとるから、中古の価格が高かとです。インフィニティとかセンチュリーは、クルマ自体はゴミ同然だけど、搭載エンジンは極上。捨ててしまうのはもったいなかです。ほら、田舎のばーちゃんが大根の葉っぱとかで驚くほど美味い料理作るやろ? 発想はあれと同じ。廃物を利用した、エコチューニング!」とは、ユーラス代表にして超有名ドリフター“のむけん”こと野村謙さん。
たしかに発想は理解できるが、それを実際に載せてしっかりと動くようにするには相当な苦労があったはず。その点について突っ込んでみたところ「エンジン側のブラケットはワンオフで作ったけど、ボディ側はノータッチ。ちょっとした加工でいけたとです! 苦労した点…、エキマニのスペースが厳しかったくらいやね」と、こともなげに語る。
具体的には、25GT用サスメンバーを流用することで、エンジンマウントを約2cm後方に移設。無理のないVH45スワップを実現しているのだ。また、プロペラシャフトには5cmのカラーを追加して長さ調整も行われている。
また、インフィニティQ45とその派生モデルのプレジデントに搭載されたVH45にはMTの設定はない。そこで、VH45のベルハウジングとER34のミッションケースを合体させることで5速MT化を実現した。
エンジン長の短縮に伴ってミッションケースが前側に移動したため、シフトロッドをL字型に曲げることで、レバーがノーマルとほぼ同じ位置になるように手直しが施される。シフトフィールに違和感を感じることはなく至ってナチュラルだ。
一方のサスペンションは、DG-5とのコラボで誕生したユーラスオリジナルのフルタップ車高調を装備する。
エンジン自体にチューニングは施していないが、スペック的に車重約2トンのQ45より400kg以上軽いスカイラインには十分。
ただし、V8エンジン搭載による発熱量の増加に対処するため、ラジエターをER34用の2層式に変更しつつアルミ製シュラウドで覆って冷却性能を高めている。また、エンジンの高さも適正範囲。ボンネット裏のインシュレーターと干渉することもなく、これがストック状態と言っても気づかない気もする…。
ターボ車のように高回転まで使ってパワーを稼ぐ特性とは異なり、超低回転域からモリモリ湧き出る強大なトルクによって、アクセルを軽く踏むだけで蹴飛ばされたように加速する。リニアな扱いやすさという、今時のトレンドとは正反対の漢気溢れるワイルドさが魅力のV8スカイライン。これこそ、ストリートチューンならではの醍醐味だ。(OPTION2014年4月号より)
●取材協力:ユーラス 福岡県大野城市仲畑2-11-17 TEL:092-558-4111
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