はじめに
アルファ・ロメオは2000年代半ば、フィアット・クライスラー・オートモビルズ、すなわちFCAにより、長年離れていた北米への再上陸が計画された。主力モデルに使用するジョルジオ・プラットフォームの開発には多額の資金が投入され、アメリカ市場だけで年間15万台の販売が想定されたものだ。
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ミッドサイズSUVのステルヴィオは、2016年のLAモーターショーで公開され、この計画の中核となることを期待されたが、狙い通りの成功を収めてはいない。野心的な成長戦略は縮小し、ステルヴィオも欧州では販売好調ながら、大西洋の対岸では予想したほど売れていない。
現在はステランティス傘下で、このクルマの高コストなプラットフォームは退役することが決定され、より電動化に適した代替品の開発が進められている。いまやトリノの販売の軸足はよりコンパクトなトナーレに移りつつあり、ステルヴィオは1代限りのモデルとなる可能性もある。
今後の動向は不透明ながら、ひとまずステルヴィオはマイナーチェンジが実行された。新たな見た目や室内に導入されたいくつかのフレッシュな要素、合理化されたエンジンラインナップとグレード展開、そして拡充された標準装備レベルは、モデル存続につながる商業的な成功につながるのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
兄弟分のセダンであるジュリアとともに、ステルヴィオは6年前の登場時、はっきりとしたデザイン面の主張がみられた。他のプレミアムブランドがよりアグレッシブに、凝り気味に、もしくはメカメカしくしようとしていたのに対し、アルファ・ロメオはよりクラシックな見栄えのよさに注意し、ステルヴィオではそれを背の高いSUVでどのように表現できるか示したのだ。それは、新型車のトナーレとの共通性を持たせようとした改修の後でも変わらない。
デザイン変更は軽度で、フロントインテークの形状と仕上げに手を入れ、新型のマトリックスLEDヘッドライトを装着した程度だ。ホイールのデザインはキャリーオーバーで、サイズは19~21インチ、カラーバリエーションも展開される。タイヤは、最上位のクアドリフォリオを除き、全車ランフラット仕様だ。
ジョルジオ・プラットフォームは、ほかのプレミアムブランドがミッドサイズSUVに用意しているような電動化技術へは対応できないかもしれない。しかし、少なくとも重量軽減には寄与している。トリノによる公称重量は、最軽量仕様が1660kgとなっているのだ。
テストした2.0Lターボガソリンのヴェローチェは、燃料半分の実走状態で1784kg。このサイズのSUVで2tを超えるPHEVやEVがおなじみになった昨今、この数字はちょっとばかり気分をアゲてくれる。
かつてはガソリン3機種とディーゼル2機種を揃えたステルヴィオだが、合計3機種へと整理された。テストした280psの2.0Lターボガソリン以外は、210psの2.1Lターボディーゼルと、最上位のクアドリフォリオ用V6ターボだ。すべて8速ATと、Q4と呼ばれるクラッチ式4WDシステムを組み合わせる。Q4システムは、主に後輪を駆動し、スリップを検知するとフロントへ最大50%の駆動力を配分。また、DNAシステムで選択した走行モードによっても変わる。ヴェローチェ仕様には、リアLSDも加わる。
サスペンションは四輪独立で、フロントがダブルウィッシュボーン、リアが特許取得のアルファリンクこと4.5リンク。スプリングはスティールのコイルで、一般的な前輪ステアリングとパッシブスタビライザーを装備する。アダプティブダンパーは、特別仕様のコンペティツィオーネに装備されるが、通常モデルにはオプションでも設定がない。
内装 ★★★★★★★★☆☆
2連バイザーのメーターパネルや小ぶりのステアリングホイール、直観的な位置にある変速用のレバーとパドルは、わかりやすく好ましい運転環境を象徴している。まずすべきことから気を逸らすものは、運転席周りにはほぼない。
万能性が、アルファ乗りに対するセールスポイントであることに変わりはない。3人乗りの後席は、ミッドサイズSUVとしては乗り込みやすい高さにあり、大人でも空間いゆとりがある。BMW X3やアウディQ5にも見劣りせず、同じクラスのセダンより広い。
荷室の奥行きは、後席使用時で1mあり、トノカバー下の520mmという高さはX3を上回る。
前席では、新型デジタルメーターが主な変更点だ。サイズは12.3インチで、ライバルたちと同等。ディスプレイのモードは特に斬新なところはないが、アルファならばこうだろうと予想するとおりの仕立てだ。もっと調整が効けばうれしいところではあるが。
質感の向上にはそれほど力を入れた印象がなく、プレミアムセグメントの水準を下回ったままだ。より高額な仕様にはレザー張りのダッシュボードも用意されるが、アウディやBMWにフィールのリッチさで対抗するにはそれくらい必要だ。
とはいえ、テスト車には高価そうな部分も見受けられ、ステアリングコラムやドアコンソールに粗めのプラスティックや安っぽいフィニッシュは目につかない。いっぽう、スポーツシートのレザーはやや硬くてプレーンだった。
しかしながら、機能面からみると、ステルヴィオの操作系やレイアウトは好ましい点が多い。キャビンは広く、低めの着座ポジションからアルミ素材の大きめなシフトパドル、使いやすい実体温度調整やうまく角度をつけたワイヤレス充電器まで、合理的な設計に満ちている。
走り ★★★★★★★★☆☆
2.0L直4ターボには、大きな変化はない。兄弟分ともいうべきマセラティ・グレカーレに採用されたマイルドハイブリッドの導入が期待されたが、それは叶わなかった。
280psという出力は、もはやスポーティーなSUVを見慣れたユーザーの興味を引く数字ではないだろう。それでも、パフォーマンスはなかなか強力で、エンジンサウンドはミッドサイズSUVに内燃機関の深淵なるキャラクターを求めるアルファ乗りに、ほどほどながらもアピールするだろう。
ほんの数ヶ月前、われわれがテストしたクルマとの比較は興味深い。その対象はレクサスRX500hだ。ステルヴィオより高価で、わずかに大きく重いが、ハイブリッドパワートレインは371psを発生する。ところが今回のステルヴィオのゼロ発進加速は、97km/hまでで0.4秒、161km/hまでで1.1秒も速いのだ。
ドライコンディションのテストコースで、4WDシステムはスタンディングスタートに必要なトラクションを存分に発揮した。ZF製の8速ギアボックスはややダイレクトさが足りず、変速遅れが1~2速で見られたが、3速以降はより積極的になり、クイックでスムースなシフトアップをするようになる。必要とあれば、パドルでのマニュアルシフトもスマートに決まる。
中速トルクはかなり太く、ハイギアでも楽に走る。大きくスロットルを踏み足しても、ギアボックスは何段もジャンプせずに反応して加速する。シフトアップして長距離クルーズすると、洗練度はまずまずだが、燃費はさほどではない。それでも、十分にリラックスしたツーリングをするのは簡単だ。
それほど気楽に走る気分ではないときには、エンジンはまずまずの回転ぶりで、レスポンスもよく、なかなかの加速をみせる。とはいえ、アルファの名高いV6ほど魅力的ではなかったのが、昔ながらのアルファ好きには悔やまれるところだ。
ブレーキペダルは、電動機械式アシストの統合型ブレーキブースターと相まって、おおむね直観的に効いてくれる。ただし、ソフトウェアは普段の踏み方を学習し前もって加圧してから、操作に適応させるようだ。入力のスタイルを変えると、それがどんな理由であろうと、その連携にちょっとぎこちないところが出てしまう。
ペダルの踏み応えは軽い。だが、テストではかなりの制動力を発揮した。
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
インフォテインメント
マイナーチェンジしたステルヴィオは、コネクテッド技術を用いたデジタルサービスを導入。スマートフォンのアプリで、リモートで車両の状態確認もできる。トムトム製ナビゲーションシステムも、目的地やあらかじめ設定したルートを、スマートフォンから送ることが可能だ。
インフォテインメントシステムは、ホーム画面をユーザーが設定でき、頻繁に使うメニューのショートカットを最上層に配置できる。かなり直観的で、レスポンスにも優れ、メニューの階層が進むほど複雑になっていく。画面自体は相変わらずやや暗くて、明るい日差しの中では見づらいこともある。
ナビゲーションシステムの機能は上々。入力もルートを追うのも楽で、リアルタイムの渋滞情報も信頼できる。とはいえ、ルート選択にはやや奇妙なところがあり、マップはディテールに欠け、ほかのプレミアムブランドの純正システムほど簡単には調整できない。
燈火類
中間グレードのステルヴィオは、新型のトリローブ・マトリックスLEDヘッドライトを装備し、アダプティブロービームとアクティブハイビームを備える。日が長かったので、その性能を試すことはできなかった。
ステアリングとペダル
ペダルは大きく、広いフットウェルに十分な間隔を空けて配置されている。気になるほどのペダルオフセットはなかったが、コラムのテレスコピック幅はちょっと足りない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ステルヴィオは、目指すダイナミクスを達成するために、きわめてダイレクトなルートを選択した。ミッドサイズSUVの多数はより脚を硬くして、ハンドリングはエネルギッシュかつ張りつめた、レスポンスに優れたセッティング。この手のクルマに想像するよりわずかながら活発で、一体感を味わえるものとなっている。
シャシーは、鋭さを生み、クイックなフロントの操舵系へ有意義な後押しをするために妥協を廃したリアアクスルに依るところが大きい。このチューニングは、乗り心地については多少の犠牲を払うことになる。
しかし、コーナリング時の横方向のボディコントロールと一貫したスタビリティをもたらすいっぽう、限界域でのハンドリングは、タイヤのグリップ限界寸前で穏やかなアンダーステアへと至る。そしておそらく、パワーオンでの挙動は、謳い文句ほどには遊べるバランスと後輪駆動っぽさを感じさせない。
定常状態でのハンドリングバランスは良好で、ほどよいグリップレベルが続くが、常時オンの電子制御スタビリティコントロールシステムと、常にフロント優勢なシャシーが、このクルマの華々しくファンな部分にフタをしてしまっている。
SUVとしてみれば、ハンドリングのエンタテインメント性はほどほどでいいのだが、われわれの経験からすれば、同じプラットフォームで後輪駆動のジュリアは、そこがはるかに上回っていた。
ステルヴィオのステアリングは速くて軽く、アシスト強めな、近年のアルファらしいフィールだが、ちょっと後付け感がある。ダイナミックモードでは、ほんの少しだけ手応えが重くなる。
エアサスやアダプティブダンパー、4WSを備えた競合するプレミアムSUVに、設定変更能力では敵わない。それでも、全開で走らせれば、楽しさで負けているとは絶対に言わないはずだ。
快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
ステルヴィオの硬いリアサスペンションは、田舎道ではやや神経質な乗り心地をみせる。快適志向のSUVユーザーであれば、明らかに避けるような類いのものだ。荒れた路面では、サスペンションからノイズが出ることもある。
これは間違いなく、洗練性や快適性でファミリーカー的なクラスのベンチマークとなるクルマではない。とはいえ、ひどく乗り心地が粗かったり、洗練されていなかったりするわけではない。しかし、プレミアムカーの購入者が期待するような、走りの万能性には欠けている。
問題の一端は、アダプティブダンパーをコンペティツィオーネ仕様にしか用意しないという判断だ。プライマリーライドに、過剰なヘッドトスや激しやすさはない。落ち着きが足りないわけでもない。しかし、最悪に荒れた路面からのサスペンションへの入力を和らげる能力があれば、もっとずっとコンフォートになるはずだ。
運転席のシートは横方向のサポートが適切で、座面の長さ調整も備えている。しかし、クッションの角度調整はないのが残念だ。乗降性はいいが、完全に包み込まれるような感じは不足している。
キャビンの静粛性は、先述したロードノイズに加え、高速道路では大きなドアミラーが発する風切り音も気になる。113km/hで68dBAというのは、競合するプレミアムSUVより最大3dBAは大きい。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ステルヴィオのようなクルマは、登場から時間が進むと価格が下がりがちだ。インフレ分を補正すると、2020年のヴェローチェの価格は、現在の5万8000ポンド(約1061万円)程度に相当する。
つまり、5万4240ポンド(約993万円)というテスト車の価格は、以前よりヴァリューが高いということになる。しかも、ヘッドライトのアップグレード、デジタルメーターやLSDの標準装備化、アクティブセーフティシステムの拡充も図られている。
エントリーグレードのスプリントなら5万ポンド(約915万円)を切る。シートはハーフレザーで、ホイールは19インチ、外装はヴェローチェのスポーティな部分がいくつか抜けるが、インフォテインメントシステムは同等だ。
アルファは、NFTによる整備履歴のデジタル記録を付帯することで、残存価値の向上を図った。トナーレからはじまったこれは、中古購入したユーザーも閲覧できるが、書き込みや修正は認可を受けたディーラーしか行えない。残価率の予想を見ると、競合するドイツ勢との差は縮まっている。
テスト時の平均燃費は10.2km/L、ハイウェイでのツーリング燃費は11.4km/L。どちらも悪い数字ではないが、経済性重視のユーザーを満足させる結果ではない。
スペック
レイアウト
ジョルジオ・プラットフォームはエンジンを縦置きし、フロント配置のATとクラッチ式の4WDシステムを搭載する。
サスペンションは四輪独立で、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがアルファリンクことマルチリンク。スプリングはスティールのコイルで、仕様によってはアダプティブダンパーも装備する。テスト車の前後重量配分は52:48だ。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:直列4気筒1995ccターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ84.0×90.0mm
圧縮比:10.0:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:280ps/5250rpm
最大トルク:40.8kg-m/2250rpm
エンジン許容回転数:6000rpm
馬力荷重比:168ps/t
トルク荷重比:24.6kg-m/t
エンジン比出力:140ps/L
ボディ/シャシー
全長:4686mm
ホイールベース:2818mm
オーバーハング(前):860mm
オーバーハング(後):1008mm
全幅(ミラー含む):2150mm
全幅(両ドア開き):3660mm
全高:1693mm
全高(テールゲート開き):2210mm
足元長さ(前席):最大1100mm
足元長さ(後席):720mm
座面~天井(前席):最大1010mm
座面~天井(後席):960mm
積載容量:525~1600L
構造:スティールモノコック
車両重量:1660kg(公称値)/1784kg(実測値)
抗力係数:0.32
ホイール前・後:8.5Jx20
タイヤ前・後:255/45 R20 105W
ミシュラン・パイロットスポーツ4 SUV AR
スペアタイヤ:なし(ランフラット)
変速機
形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.00/8.9
2速:3.20/13.8
3速:2.14/20.6
4速:1.72/25.6
5速:1.31/33.6
6速:1.00/44.1
7速:0.82/53.6
8速:0.64/68.9
最終減速比:3.15:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:10.2km/L
ツーリング:11.4km/L
動力性能計測時:5.1km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):8.1km/L
中速(郊外):11.9km/L
高速(高速道路):14.1km/L
超高速:12.0km/L
混合:11.8km/L
燃料タンク容量:64L
現実的な航続距離:655km
CO2排出量:192g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.25回転
最小回転直径:12.0m
ブレーキ
前:330mm通気冷却式ディスク
後:320mmディスク
制御装置:ABS、アクティブブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動、センターコンソール右側にスイッチ設置
静粛性
アイドリング:43dBA
全開時(4速):74dBA
48km/h走行時:59dBA
80km/h走行時:63dBA
113km/h走行時:68dBA
安全装備
ABS/VDC/ASR/HBA/AEB/LDW/HDC
Euro N CAP:5つ星(2.2Dスーパー、2017年)
乗員保護性能:成人97%/子供84%
歩行者保護性能:71%
安全補助装置性能:60%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):2.1秒
0-40(64):3.1秒
0-50(80):4.3秒
0-60(97):5.7秒
0-70(113):7.4秒
0-80(129):9.4秒
0-90(145):12.0秒
0-100(161):15.2秒
0-110(177):19.4秒
0-120(193):24.7秒
0-402m発進加速:14.4秒(到達速度:157.4km/h)
0-1000m発進加速:26.4秒(到達速度:196.7km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
レクサスRX500h Fスポーツ
テスト条件:湿潤路面/気温8℃
0-30マイル/時(48km/h):2.5秒
0-40(64):3.5秒
0-50(80):4.6秒
0-60(97):6.1秒
0-70(113):8.0秒
0-80(129):10.2秒
0-90(145):12.8秒
0-100(161):16.3秒
0-110(177):20.8秒
0-120(193):26.6秒
0-402m発進加速:14.8秒(到達速度:154.7km/h)
0-1000m発進加速:27.0秒(到達速度:194.2km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):2.1秒(2速)/3.3秒(3速)/4.8秒(4速)
30-50(48-80):2.5秒(2速)/2.9秒(3速)/3.6秒(4速)/5.7秒(5速)/9.9秒(6速)
40-60(64-97):3.0秒(3速)/3.8秒(4速)/5.2秒(5速)/7.4秒(6速)/12.9秒(7速)
50-70(80-113):3.3秒(3速)/3.9秒(4速)/5.3秒(5速)/7.5秒(6速)/10.4秒(7速)/22.0秒(8速)
60-80(97-129):4.1秒(4速)/5.5秒(5速)/8.4秒(6速)/11.4秒(7速)/19.9秒(8速)
70-90(113-145):4.7秒(4速)/5.8秒(5速)/8.9秒(6速)/12.6秒(7速)
80-100(129-161):6.3秒(5速)/9.6秒(6速)/14.1秒(7速)
90-110(145-177):7.3秒(5速)/11.1秒(6速)
100-120(161-193):9.5秒(5速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):22.9m
70-0マイル/時(80km/h):43.9m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.77秒
ライバルの制動距離レクサスRX500h Fスポーツ
テスト条件:湿潤路面/気温8℃
0-0マイル/時(48km/h):10.7m
50-0マイル/時(64km/h):29.1m
70-0マイル/時(80km/h):56.8m
各ギアの最高速
1速:53.1km/h(6000rpm)
2速:82.1km/h(6000rpm)
3速:123.9km/h(6000rpm)
4速:154.5km/h(6000rpm)
5速:202.8km/h(6000rpm)
6速:230.1km/h(5216rpm)
7速:230.1km/h(4277rpm)
8速(公称値):230.1km/h(3338rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1634rpm/1868rpm
結論 ★★★★★★★★☆☆
ジュリアとステルヴィオを発表した2010年代半ば、アルファ・ロメオは最新の高級車づくりにおける細かい部分において大きく前進し、乗り心地に関してはユーザーが受け入れてくれることを望んでいる、とした。
それから6年を経ても、ステルヴィオでそれをあてにするのは、いまなおギャンブルのようなものだ。マイナーチェンジしたこのSUVには、発売当時から変わらず、BMW X3のような揺るぎない質感は備わっていないし、デジタル技術の先進性や上質さにも欠け、上質感や経済性もライバルには及ばない。
しかし、キャビンやラゲッジルームのスペースは、ライバルに匹敵する。パフォーマンスやハンドリングのダイナミズムでは、競合車を凌いでさえいる。また、ルックスがよく、価格も魅力的だ。
容易に好ましさを覚えるダイレクトさやシンプルさがあり、それは洗練性や万能性、快適性や高価そうなフィニッシュで競合モデルに及ばないということにもつながる。しかしそれは、このクルマを路上に連れ出し、そのラテン気質をちょっとばかり引き出したい気分のときに、ライバル以上のものを味わわせてくれる。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダースステルヴィオの車線逸脱警報システムは、概ねよくできている。衝突警報システムも気に入ったが、その大きな理由は、警報音がイヴの『フーズ・ザット・ガール?』のトランペットに似ているからだ。
イリヤ・バプラート右ハンドル仕様のアルファが、走行モードのセレクターとハンドブレーキのスイッチをセンターコンソールの運転席側に移設しているのはありがたい。細かい点にも手を抜いていない証拠だ。
オプション追加のアドバイス
アダプティブダンパーも装備するコンペティツィオーネか、さもなくばエントリーグレードのスプリントがおすすめ。アルファレッドは無償色だが、ブラックルーフは371ポンド(約6.8万円)のオプションだ。
改善してほしいポイント
・アダプティブダンパーは、全グレードで選択できるようにしてほしい。
・ランフラットでないタイヤも設定してほしい。そのほうが、乗り心地が穏やかになるだろう。
・マセラティが用意しているマイルドハイブリッド仕様を、アルファにも設定してほしい。
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この3点が致命的であり、競合他車を購入した。