BMWやジャガー、フォード由来のエンジン
レンジローバーという言葉の響きには、気高いものがある。裕福なビジネスマンや、映画スターなどが乗っているイメージを抱くはず。しかし、中古車となれば話は別。3代目となるL322型なら、驚くほど手頃な価格で探すことができる。日本でも。
【画像】ランドローバー・レンジローバー 3代目と4代目、最新の5代目とディフェンダーも 全92枚
3代目レンジローバーは、BMWが所有するランドローバーによって開発された。英国での発売は2001年。その頃にはフォード傘下へ変わっていたが、286psの4.4L V8ガソリンと176psの3.0L直6ディーゼル・エンジンはBMW由来のものだった。
その後、BMWのV8エンジンはジャガーのV8エンジンへ変更。自然吸気の4.4Lのほかに、XK8と同じ4.2Lスーパーチャージャーも選べるようになっている。
この4.2L V8は非常にパワフルで、2.5tもあるレンジローバーを静止状態から100km/hまで7.2秒で加速させた。今となっては、やや平凡な数字に聞こえるとしても。
現代モデルに負けない動力性能を求めるなら、2009年に導入された5.0Lスーパーチャージャーが良いだろう。510psという怪力で、0-100km/h加速6.0秒、最高速度225km/hを実現している。フル加速時のノイズも迫力満点だ。
エンジンの選択肢は多く、375psの自然吸気5.0L V8ガソリンのほか、フォード由来のV8ディーゼルも英国では選択できた。3.6Lが271psで、4.4Lが313psを発揮した。
日本へは未導入ながら、走行性能と燃費性能を考えるとディーゼルエンジンが理想的。とはいえ、トヨタ・プリウスのような好燃費は期待できないけれど。
レンジローバーならどこへでも目指せる
L322型の魅力は数多い。ロンドンの街なかでもまだ姿を見かけるし、郊外のオフロードでもしばしば走っている。その理由は、広々とした車内で利便性に優れるのと同時に、運転が楽しいから。2列目シートも居心地は良い。
インテリアにはふんだんにレザーが用いられ、乗り心地は驚くほどしなやかで、市街地を走ればラグジュアリー・サルーンのよう。ボディサイズは小さくないものの、直立気味の面構成のおかげで想像以上に取り回しもしやすい。
高いドライビングポジションに構え、しずしずと走る風格に浸れば、気分は英国王室。過剰なパワーは振り乱さない方が良いだろう。
舗装路を一歩外れても大丈夫。信じられないほど高性能な四輪駆動システムが、オフロードを難なく突破してくれる。ランドローバーならどこへでも目指せる、という言葉に偽りがないと、レンジローバーでも実感できる。
最新の5代目が発表となったが、価格は驚くほど上昇した。だが、3代目なら英国では2000ポンド(33万円)代から探せる。状態の良いものでも、3万ポンド(489万円)を超えることは珍しい。
これほど多能で贅沢な英国代表のSUVとしては、考えられない低価格といえる。英国王室やジェレミー・クラークソン氏にも愛されたモデルだから、将来的にクラシックとして価値を高める可能性も充分にある。
価格上昇が始まる前に、楽しんでおくのも悪くない。ただし、ガソリン代と整備費用は充分に確保されることをオススメしたい。
新車時代のAUTOCARの評価は
動力性能は充分以上。V8エンジンは低回転域から滑らかにボディを引っ張り、レブリミットまで質感は失われない。
車内に響くメカニカルノイズは、英国王室御用達としてはやや多め。しかし耳障りに感じることはない。穏やかに運転すれば、心地良い音響に落ち着く。(2002年1月9日)
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
3.0Lディーゼルターボの場合は、ターボの異音やミスファイアが生じていないか確かめる。3.6Lディーゼルターボでは、ターボ・アクチュエーターが不調になることがある。
4.2Lのガソリンでは、アイドリング時にスーパーチャージャーから異音がないか確認したい。触媒コンバーターの劣化具合は、排気ガス濃度の測定でわかる。共通して、タイミングベルトの交換時はウオーターポンプの交換も忘れずに。
冷却系
クーラントのエキスパンション・タンクの状態を確かめる。BMWの4.4Lガソリンエンジンでは、ブロック内のウオータージャケット部分のOリングが劣化し、液漏れすることがある。オーバーヒートの原因にもなる。
トランスミッション
L322型レンジローバーで、最も気をつけたい部分。メーカーはメンテナンスフリーをうたっているが、定期的にフルードとフィルターを交換するのがベター。初期のクルマでは、フロント側のプロペラシャフトにCVジョイントが付いている。
サスペンションとブレーキ
車高調整可能なエアサスペンションは、3段階それぞれに高さを変え、ノイズやエア漏れがないか確かめる。駐車時は、圧力が抜けて一番低くなるのが正解。過去の整備記録を確かめ、エアーコンプレッサーの交換履歴を確認する。
ブレーキング時に、フロント・ウイッシュボーンからコツコツと音が出ないか確かめる。隆起部分を通過した時に、リアハブのブッシュから異音がないか聞き耳を立てる。ブレーキディスクとパッドの残量も、事前にチェックしておきたい。
ボディ
オフロード走行に伴う傷や凹みがないか観察する。テールゲートは錆びることがある。下半分を倒してベンチにできるため、思いも寄らないダメージを受けることも。
知っておくべきこと
トリムグレードは、装備の充実したHSEからヴォーグまで幅広い。英国の場合は、L322型の殆どがディーゼルエンジンで占められている。
安心してこの型のレンジローバーを楽しみたいなら、リコール対応や過去の整備記録が充分なだけでなく、サスペンションや駆動系統がリフレッシュ済みのものを選びたい。
オーナーの意見を聞いてみる
ジョージ・ヒル氏
「L322型レンジローバーの現在の価格は、とても魅力的といえます。もし心が動いたのなら、運命だと思って決断してもいいでしょう。ただし、予算の許す範囲で最高の1台を選ぶべきです。クルマの今の状態だけでなく、整備履歴も確かめたいですね」
「大きく複雑な高級SUVですから、同年代の高級車と同じくらいの維持費は必要になります。メンテナンス費用も、予め組んでおく方が良いでしょう」
「オススメは、ジャガーの4.4Lガソリンを搭載したヴォーグ。サウンドや余裕のあるパワー、燃費性能などのバランスが良いと思います。この価格で、これだけの内容を得られるモデルは多くありません。正しく維持すれば、理想の1台となるでしょう」
英国ではいくら払うべき?
2999ポンド(約48万円)以下
初期のL322型を中心に英国では探せるが、走行距離は長く状態も疑わしい。
3000ポンド(約49万円)~7999ポンド(約129万円)
ガソリンエンジンを含む、幅広い年式のL322型を英国では購入できる。走行距離は長いものの、状態は良くなる。
8000ポンド(約130万円)~9999ポンド(約162万円)
内容の良いレンジローバーを探すなら、この辺りの価格帯から。後期型が多く含まれるようになる。走行距離は短くない。
1万ポンド(約163万円)~1万2999ポンド(約210万円)
上級トリムグレードで、後期型のL322型を英国では探せる価格帯。状態はだいぶ良いはず。
1万3000ポンド(約211万円)~1万9999ポンド(約325万円)
走行距離の伸びがちな英国では、この辺りで15万km前後を切ってくる。安心して乗れるコンディションだろう。
2万ポンド(約326万円)以上
理想的な状態にある、トップグレードのL322型レンジローバーが英国では見つかる。
英国で掘り出し物を発見
ランドローバー・レンジローバー 4.4 V8ヴォーグ(英国仕様) 登録:2002年 走行距離:2万2500km 価格:1万4995ポンド(約244万円)
初期の4.4L V8エンジンのL322型は比較的安価に購入できるが、ここまで走行距離が短い例は珍しい。コンディションもかなり良好のようだ。
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