20世紀初頭に登場した新たな素材「アルミニウム」
95年以上前、エットーレ・ブガッティは世界で初めてホイールにアルミニウムを採用した。それ以来、ブガッティはアルミホイールの開発・改良を続けてきた。
95年前、自動車用アルミホイールを初めて開発したブガッティの先見
1886年、発明家のチャールズ・マーティン・ホールとポール・エルーは、それぞれ別個にアルミニウムの溶融塩電解法を発見。アルミニウムの製造に成功した。しかし、彼らはこの新たな金属を自動車用ホイールに活用しようとは思わなかったようだ。そして1920年にはハリー・ミラーがアルミニウム製ホイールの製造を思いつき特許も取得するが、実際の製造には至らなかった。
ブガッティの創業者であるエットーレ・ブガッティは、自身が設計した金型を使用してモルスハイムの自社鋳造所でアルミニウム製ホイールとブレーキドラムの鋳造に成功した。彼はさらにアルミホイールの開発を続け、ホイールに関するいくつかの新しいアイデアを特許申請している。1924年5月にエットーレは「冷却ディスクを備えた車輪に関する改良」の特許を登録し、1933年には「車輪中心に対して半径方向および軸方向にばね付きのリムを備えた車輪」の特許登録も行った。
Bugatti Type 35
ブガッティ タイプ 35
ブレーキ熱を効率的に放出する8スポークホイール
1924年以降、ブガッティは細いスポークを持ったホイールではなく、フラットで幅広いアルミ製8スポーク、取り外し可能なホイールリム、ブレーキドラムを備えた鋳造アルミニウム製ホイールなど次々と新機軸を投入した。タイプ35用ホイールのシンプルなデザインはまるで彫刻のような雰囲気を持っていた。これは性能を追求しながらも、見栄えにも拘ったエットーレの美意識と言えるだろう。
1924年8月3日にリヨンで行われたグランプリでは初めて新型ホイールが投入されたたものの、結果は期待外れに終わった。技術的な問題が発生し何台かがリタイアを余儀なくされたのだ。だがその理由はホイールではなく、供給されたタイヤにあった。不適切な加硫によりタイヤからトレッドが剥離してしまったのだ。
革新的なホイールにより得られたアドバンテージ
それでもエットーレはアルミ製ホイールの革新を信じ続けていた。
デザイン面だけでなく、新素材を使ったホイールを開発する技術的な理由もあった。ホイールアーチ部分は車両の空力レベルの約4分の1を担っている。つまり、ホイールのデザインが空力的に洗練されればされるほど、ボディ周辺のエアフローが改善されるのである。
ホイールの進化はブレーキの熱放出にも密接に関連していた。ブレーキが高い負荷にさらされるレース用車両では、いかに短時間に効率よくブレーキ熱を冷却するかが重要になる。ホイール表面の空間面積が大きいほど冷却レベルが改善されブレーキ効率が向上する。タイプ35用のアルミホイールは熱がホイール内にとどまることなく、ブレーキによって生じた熱気を素早く逃がすのに役立った。
さらにアルミは素材として軽量なため、スチール製ホイールと比較してバネ下重量が大幅に軽くなった。バネ下重量が軽くなれば慣性モーメントが小さくなりハンドリングは向上する。
Bugatti Veyron “Fbg par Hermès”
ブガッティ ヴェイロン “Fbg par Hermès”
ヴェイロンに受け継がれたタイプ35のホイールデザイン
この結果、当時のライバルと比較するとタイプ35はハンドリングが正確な上にブレーキ性能も大幅に向上。数時間から数日間続いた当時のレースにおいて、ブガッティのドライバーはドライビングに集中することが可能となり、より長くそして高速で運転できるようになった。これこそが1925年から1930年にかけてブガッティがサーキットで支配的な強さを見せた理由のひとつである。
その後の数年間、ブガッティは7種類の異なるアルミホイールを投入。タイプ35、タイプ39、タイプ51のレーシングカーで使用された8スポーク・アルミホイールは、ブガッティを象徴する存在となった。そしてこのデザインモチーフは、ヴェイロンとエルメスのコラボレーションモデル「Fbg par Hermès」にも採用されている。
Bugatti Chiron
ブガッティ シロン
400km/hを超えるスピード域でタイヤを支える現代のホイール
ほとんどのクルマがアルミホイールを使用するようになった現在も、ブガッティはその開発を続けている。
シロンやディーボも、専用開発された非常に頑丈で軽量な鍛造アルミホイールを採用。エットーレ・ブガッティがアルミホイールを発明してから95年を経た今も開発が継続される理由は、400km/hを超えるスピードにおいてホイールとタイヤが想像を絶する強大な負荷にさらされるからこそである。バネ下重量の軽量化は今も昔も自動車メーカーにとって大きな課題なのだ。
現在はタイプ35時代のような8本スポークではなく、5本のスポークY字型レイアウトを採用。この形状により、5つのホイールボルトに均等な力を伝達し、十分な安定性と安全性を保証している。
タイヤは最高速度に至ると毎秒50回以上回転し、各トレッドに掛かる走行時の重力は静止時と比較すると4000倍にも達するという。たとえばたった18.3gのバルブが高速走行時は55kg相当にまで重くなるのである。
将来を見据え、ブガッティはホイールだけでなく車両全体をより軽く機敏で、空力に貢献する新素材と洗練されたデザインの研究開発を続けている。それは約95年前、エットーレ・ブガッティが新素材アルミニウムの採用を決意した当時と少しも変わらない。
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