BMW、ベンツ、ランドローバー…。世界の並み居る「直6ディーゼル」モデルと比べて、マツダ 新型CX-60は果たして「買い」なのか? 渡り合えるのか? 世界の直6ディーゼルを知り尽くしたはずの自動車評論家 清水草一が真剣比較!
※本稿は2022年10月のものです
文/清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年11月26日号
これなら世界と渡り合える!!? マツダ 新型CX-60は世界の「直6ディーゼル」と比べて「買い」なのか?
■500万円台のCX-60に1000万円前後のライバルたち
マツダ CX-60(XDハイブリッド・直6・3.3Lディーゼルターボ+マイルドHV/505万4500円~)。最高出力254ps/3750rpm、最大トルク56.1kgm/1500-2400rpm。パワー・トルクは控え目だが、21.1km/L(WLTC)と燃費のよさはこのクラスで圧倒的。価格もライバルの半額程度だ
アタリのついたCX-60に乗っていると「このクルマなら、世界の直6ディーゼルと互角に戦える! そしてコスパで勝てる!」という確信が湧いてくる。
世界の直6ディーゼルを知り尽くした私がそう言うんだから、間違いない。
一応スペックをおさらいしておこう。
e-SKYACTIV Dを搭載したCX-60 XDハイブリッドは、最高出力が254ps、最大トルクが56.1kgm。車両重量は1910kgだ。
では、ライバルたちはどうか。
直6と言えばBMWということで、まずはX5 35dと比較しよう。
サイズ的にはX3のほうが近いが、X3の直6ディーゼルは「M40d」というスペシャルグレード。
ライバルその1は、BMW X5 35d(直6・3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド/1030万円~)。最高出力286ps/4000rpm、最大トルク66.3kgm/1500-2500rpm。サイズは一回り大きく、車両重量2260kg。WLTC燃費は12.4km/L
あまり買う人はいないし、私も乗ったことがない(知り尽くしてなくてスマン)。価格も大差ないので、ライバルはむしろX5だ。
X5 35dは、3L直6のマイルドハイブリッドを積み、最高出力286ps、最大トルク66.3kgmを誇る。
サイズだけでなく、エンジンスペックも格上だが、車両重量は2260kgと、CX-60より300kg以上重い。その相殺作用によって、加速感にあまり大きな差はない。
エンジンフィールはさすがBMWの直6。当然気持ちよく回るが、アタリのついたCX-60だって充分気持ちイイ。これまた差は小さい。
それで価格には約2倍の差があるのだから、コスパはCX-60の大勝利である。勝った勝った、BMWに勝った!
■これがいわゆる「ジャイアントキリング」!? ライバルたちをなぎ倒せ!!
ライバルその2、メルセデス GLE400d(直6・3Lディーゼルターボ/1214万円)。最高出力330ps/3600rpm、最大トルク71.4kgm/1200rpm。こちらもサイズは一回り大きく、車両重量2390kg。WLTC燃費は11.9km/L
続いての対決相手は、メルセデスベンツ GLE400d。
これまたサイズ的には格上だが、GLCには直6ディーゼルはないので、敵はGLEなのである。
エンジンは3Lの直6(ハイブリッドなし)。最大出力330psにして、最大トルクはなんと71.4kgmに達する超トルク型のディーゼルだ。
ただ、車両重量は2390kg。アウトバーンならいざ知らず、日本の道路環境なら、CX-60で充分対抗可能だ。
価格差を考えれば、コスパはCX-60の完全勝利と言っていい。
ライバルその3、ランドローバー ディフェンダーX(直6・3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド/973万円~)。ツインターボで最高出力300ps/4000rpm、最大トルク66.3kgm/1500-2500rpm。車両重量2420kg。WLTC燃費9.9km/L
最後のライバルは、ランドローバー ディフェンダー110の3L直6ディーゼルツインターボ+マイルドハイブリッドモデルだ。
このエンジン、スペック的には300ps/66.3kgmだが、サウンド作りが素晴らしく、五感に伝わるエンジンフィールは世界最高レベル。
BMWやメルセデスより上だ。さすがのCX-60も、こいつにはかなわない。
デザイン的なアイコン性も絶大で、あらゆる意味でこのクラスのリーダーと言える。
ただ、燃費はCX-60の半分以下の9.9km/L(WLTCモード)にとどまる。
X5やGLEも12km/L前後。CX-60の21.1km/Lという燃費がいかに驚異的であるか、そして価格がいかにお買い得であるか、痛感するしかないぜ!
【番外コラム】ランクル300のV6ディーゼル(760万円~)との対決はどうだ!?
ランクル300最大の弱点は、受注停止で買えないことだ。買えないんじゃどうにもならない
いまや、ランクル300(トヨタ)ほど羨望の眼差しが突き刺さるクルマもない。
パワーユニットに3.3LのV6ディーゼル(309ps/71.4kgm)も用意される。先代の200に比べると快適性も大幅にアップ。
ジャンルは違うが、CX-60とはライバル関係にないとも言えない。
もちろん悪路の走破性はランクルがキングだ。しかし、それがモノを言うほどの悪路は、日本には存在しない。
直進安定性など、一般道での快適性はCX-60が上。そして燃費はダブルスコアでCX-60の勝ち。価格もぐっとお安い。
ランクルのステイタスは無敵だが、コスパならCX-60だ。
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