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’80s国産名車・ヤマハRZ250/350完調術#3【購入を考えているなら早めの決断を】

掲載 更新 11
’80s国産名車・ヤマハRZ250/350完調術#3【購入を考えているなら早めの決断を】

プロに学ぶ国産名車メンテナンス

今も絶大な人気を誇る‘80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末永く楽しんでいくには何に注意し、どんな整備を行えばよいのか。その1台を詳しく知り尽くした専門家に指南を請うた。今回取り上げたのは、2ストレプリカブーム中興の祖となった名車・ヤマハRZ250/350。本記事ではRZに詳しいクオリティーワークス・山下伸氏のインタビューをお届けする。

’80s国産名車・ヤマハRZ250/350完調術#2【アフターパーツの有効活用がカギ】

ピーキーな250と日常域で扱いやすい350

’99年の創業以来、4ストローク車の扱いも少なくないものの、RZ/RZ-Rシリーズを筆頭とする2ストロークロードスポーツ&レーサーレプリカを主軸に据えてきたクオリティーワークス。同店代表の山下氏は、昨今のRZの中古車事情をどう感じているのだろう。

「ここ最近で価格が急上昇したとは思いますが、僕の視点だとそれ以外の状況はあまり変わらないですね。少し前までは価格が安い車両ならではの扱いの悪さ、最近は経年変化、という事情の違いはありますが、初入庫した中古の程度が悪いのは、昔も今も同じです。いずれにしても、RZの魅力をきっちり堪能したいなら、一度は全面的な整備を行ったほうがいい。逆にいったん全面的な整備を行えば、以後の手間はそんなにかかりませんから」

山下氏はそう語るが、車両だけではなくメインフレームやエンジン単体の価格も急上昇していることを考えると、今後は状況が徐々に変わってくるのではないだろうか。

「確かにそうですね。ウチが手がけるRZの中古車は、ストックパーツやアフターパーツの使用を前提にしてゼロから組み上げることが多くて、これまではエンジンオーバーホールやフレーム修正などを含め、完全整備済みで150万円前後で販売していましたが、今後はその価格で極上車を作るのは難しくなるでしょう。いずれにしても価格について安易なことは言えないので、その都度相談ということになります」

ちなみに、これまでの同店が製作した極上中古車は、250ベースのボアアップを含めて350が多いそうだ。

「ピーキーな特性の250を好む人もいますが、市街地での扱いやすさやグループツーリングなどでの順応性を考えると、排気量が大きくて低速トルクが太い350の方が使い勝手がいいのは事実です。排気バルブのYPVSを装備するRZ-Rなら、250でもマイナス要素は感じないですけどね」

冒頭で述べたように、RZの世界ではノーマル指向のユーザーは少数派。事実、同店に入庫するRZのほとんどにも何らかのカスタムが行われている。

「誤解がないように言っておきますが、ノーマルはノーマルで楽しいですよ。僕自身もたまにノーマルを試乗すると、よく出来ているなあ…と感心しますから。とはいえカスタムで自分好みの仕様を作れば、RZはもっと楽しくなる(笑) ウチで定番のカスタムパーツは、チャンバー/キャブレター/フロントブレーキ/リヤショック/点火系などで、足まわりを後年式のヤマハ車用に全面刷新するケースも少なくありません。なおチャンバーについては、純正もアフターマーケット製も、250と350用では構造が異なるので、混同しないように注意が必要です」

当企画を読んでRZの購入を考えたライダーがいるとすれば、山下氏はどんなアドバイスをするのだろう。

「なるべく早めに行動を起こしてください、ですかね。価格が急上昇したことを考えると、なかなか踏ん切りをつけにくいと思いますが、おそらくRZの中古車相場は今後も下がらないでしょう。また、現時点なら補修パーツもカスタムパーツも潤沢に揃いますが、そういう状況がいつまで続くかはわかりません。もちろんウチとしては、RZが長く楽しめる環境を整えていくつもりですが、購入時のハードルは今後は着実に高くなっていきそうです」

―― 【細部にまでこだわったフルカスタムRZ】クオリティーワークスが製作中のフルカスタムRZ。エンジンはRZ-R用で、フレームには6ヶ所の補強を追加。外装とケースカバーにはカーボンコーティングが施される。チタンコート仕様のφ41mmフォーク、アルミスイングアーム、3.00×17/4.00×18のホイールはTZR250(3MA)からの流用だ。前後ブレーキキャリパーはブレンボレーシングを選択。

おすすめモデル:後継車も視野に入れるべき

初期型RZに的を絞っているのではなく、単純に往年の2ストローク車に乗ってみたい…というお客さんが来店した場合、クオリティーワークスでは後継のRZ-RやR1-Zをオススメすることがあるそうだ。以下は山下さんの見解。

「一番の理由は価格です。この2機種ならまだ2ケタ万円で好調な車両が探せますからね。それに加えて、YPVSのおかげでエンジンが扱いやすいこと、足まわりが初期型RZより現代的になっていることもRZ-R/R1-Zの魅力でしょう。カスタムに関してもこの2機種はかなり楽しめますよ。特にRZ-Rは、パワーユニットが4輪バギーに転用されて、その4輪バギーが10年ほど前まで生産されていたので、現在でも多種多様なチューニングパーツが購入できます」

―― 【’83 RZ250R/350R】’83年に登場したRZ250R(写真)/350Rは、初代RZの思想を引き継ぐ形で生まれた全面新設計車。排気デバイスのYPVSを導入したエンジンは43ps(’84年以降は45ps)/55psを発揮。

―― 【’90~ R1-Z】’90~’99年に販売されたR1-Zは、伝統のヤマハ製2ストパラツインの最後を飾ったモデル。クランクケースリードバルブ吸気のエンジンはTZR250:1KTがベースで、ダイヤモンドタイプのスチールフレームはトラス構造。

メンテナンスコスト

クオリティーワークスによるRZの点検整備費用は、概算で以下の通り(価格は部品代込み、税別)。

エンジン腰上点検整備:5~10万円エンジンフルオーバーホール:15~30万円キャブレターオーバーホール:2~3万円車体全ベアリング&点検整備:3~5万円 エンジンについてはかなり安い気がするものの、「2ストパラツインは構造がシンプルですからね。しかも初代RZは排気バルブが存在しないので、腰上の分解なら30分もかかりません」と山下氏。そのあたりを考えると、長い目で見た際の維持費は4ストと大差ないのかもしれない。

―― クオリティーワークスの店内は、”2ストのリビングミュージアム”と言いたくなる雰囲気で、在庫車や預かり車を含めると、取材当日の2ストの台数は40台以上! RZ/RZ-Rシリーズの次に数が多いのは、スクエア4のRG-Γ。

※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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みんなのコメント

11件
  • 2ストロークの加速が好きだった。とにかく早くてフル加速をしようものなら危険さえ感じた。
  • この後のTZRやNSRの時代にほ、解体屋にいくらでもあった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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