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6年目のレクサスはアリ? IS350 Fスポーツ試乗記

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6年目のレクサスはアリ? IS350 Fスポーツ試乗記

2005年から日本展開を開始したトヨタのプレミアムブランド「レクサス」。当初は「GS」「IS」「SC」の3モデルのみだったが、今はコンパクトハッチ「CT」やクロスオーバーSUV「UX」など多彩なモデルを有する。また、2ドアクーペ「LC」を皮切りにフラグシップセダン「LS」、FWD(前輪駆動)セダン「ES」と新世代レクサスへの刷新も随時進められている。

モデルの拡充&刷新は販売台数にもシッカリとあらわれており、2019年1~6月の全世界販売台数は過去最高の36万45台を記録している。しかし、その内訳を見るとほとんどはSUVでセダンは苦戦しているのも事実。

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とはいえ、レクサスのセダンに魅力がないとは思わない。10月におこなわれたレクサスオールラインナップ試乗会で、3.5リッターV型6気筒自然吸気ガソリン・エンジンを搭載する「IS350 Fスポーツ」に乗ってあらためて「いいなぁ」と思った。

【主要諸元】全長×全幅×全高:4680mm×1810mm×1430mm、ホイールベース:2800mm、車両重量:1650kg、乗車定員:5名、エンジン:3456ccV型6気筒DOHC(318ps/6600rpm、380Nm/4800rpm)、トランスミッション:8AT、駆動方式:RWD、タイヤサイズ:フロント225/40R18、リア255/35R18、価格:645万5370円(OP含まず)。IS350 Fスポーツは2013年に登場した。デビュー時は「やりすぎではないか?」と、揶揄されたエクステリアも、今見ると、フロントマスク以外は意外とコンサバかもしれない。

全長×全幅×全高=4680×1810×1430mmのボディは、巨大化するライバルに対し、強みのひとつである。ちなみに、ライバルのアウディ「A4」は全長×全幅×全高=4750×1840×1430mm、BMW「3シリーズ」は全長×全幅×全高=4715×1825×1440mmである。

現行ISは2013年登場。セダンのみの設定。インテリアはスイッチの多さや足踏み式サイドブレーキ、レバータイプのクルーズコントロールスウィッチなど古さを感じる部分は多々ある。

ただし、10.3インチの大型ディスプレイを使うインフォテインメント・システムなど最新の快適&機能装備もひととおり備える。

物理的なスウィッチ類が目立つインテリア。“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステムは23万8700円のオプション。Fスポーツ専用本革スポーツシートは32万4500円のオプション。熟成の走りシャシー系は最新のプラットフォームではないものの、2016年の大幅改良でさまざまな部分に手がくわえられた。Fスポーツはノーマルに対し、スプリング/ショックアブソーバー/電動パワステをよりスポーティな特性にセットアップ。さらにFスポーツのなかでもIS350 Fスポーツは、ギア比可変ステアリング(VGRS)、後輪の切れ角を制御するDRS(ダイナミック・リア・ステアリング)を統合制御したLDH(レクサスダイナミック・ハンドリング・システム)を唯一搭載する。

その走りは、ひとまわり小さなモデルのようなキレがあり、キビキビとした動きが印象的だった。初期モデルは、ステアリングの初期応答性の曖昧さが気になったが、試乗車は、ステアリングを切ってからの一連の動きに連続性が増しており、扱いやすさやコントロール性がアップ。ドライバーとクルマとの一体感も高まった。

乗り心地も、一般道では若干コツコツ感を感じるものの不快なレベルではない。スポーティセダンとして考えれば十分許容範囲内と言える。

最小回転半径は5.2m。JC08モード燃費は10.4km/L。搭載するエンジンは3456ccV型6気筒DOHC(318ps/6600rpm、380Nm/4800rpm)。18インチ・アルミホイールは、Fスポーツ専用デザイン。レクサスは以前から“スッキリと奥深い走り”を目標に開発している。筆者はスッキリ=操作に対するレスポンス、奥深い=あらゆる場面で何事もなく走る懐の深さ、と捉えているが、ISはその目標にだいぶ近づいていたように思う。

搭載するエンジンは2017年の改良で、従来の「2GR-FSE」からアトキンソンサイクル採用の「2GR-FKS」に変更された3.5リッターV型6気筒自然吸気ガソリン・エンジン。最高出力318ps、最大トルク380Nmを発揮する。

フロントグリルやサイドガーニッシュはFスポーツ専用デザイン。同クラスのセダンでは、今や珍しい自然吸気のV型6気筒エンジンはポート噴射と直噴を適宜使い分ける「D-4S」の採用で実用トルクもシッカリ確保されているが、まわせばまわすほど力が増す性格だった。トヨタのGR系V型6気筒エンジンは登場してから16年が経つものの、その実力は今も色あせていない。

トランスミッションは旧型「IS F」譲りの8速SPDS(スピードダイレクトシフト)。ATらしからぬダイレクト感が特徴であるものの、シフト操作(とくにシフトダウン)がドライバーの意志に忠実な制御でないのが残念だった。

パドルシフト付のステアリング・ホイールはFスポーツ専用デザイン。トランスミッションは8ATのみ。フルデジタルのメーターパネルはFスポーツ専用デザイン。先進安全装備は2016年の大幅改良で、歩行者(昼)検知機能付衝突被害軽減ブレーキやレーンデバーチャーアラート、オートマチックハイビーム、レーダークルーズコントロールを含む「レクサス・セーフティ・システム+」を搭載する。2013年登場とはいえ、安全面で物足りなさはそれほどない。

IS350 Fスポーツは、走りと快適性のバランスがいいうえ、ライバルよりも扱いやすいボディ、そして自然吸気のV型6気筒エンジンなどが魅力だった。しかし一方、基本設計の古さを感じるのも事実。とくにボディ剛性は、BMW「3シリーズ」などと比較すると古さを感じた。

古さを感じた部分は、最新のTNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォームを採用するはずの次期ISで改善されるはずだ。ただし、GSの次期モデルが存在しないというウワサが事実であれば、ISとGSが統合され、結果、次期ISのボディサイズが拡大される可能性も否めない。したがって、「あえて成熟された現行モデルを選ぶのもアリではないか?」と、思うのだった。

文・山本シンヤ 写真・安井宏充(Weekend.)

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