泥臭さを排除したオシャレSUV
XVはスバルのオシャレ番長。街なかや高速道路で決してユニークなキャラクターぶりを振りまくタイプではないのに、思わず目が留まるSUVを発見するとXVだったということが多いのです。キャラクター性の強いモデルに抵抗のある大人も安心感を抱くユニーク性。それもスバルのオシャレ番長であるXVのキャラだったりするワケです。全長4450mm×全幅1800mm×全高1550mmと車幅も全高もサイズが抑えられたディメンションを持つボディ、そして地上とのクリアランスは200mm。クロスカントリー4WDほどではないけれど、街なかでの日常ユースも意識したクロスオーバーモデルとしては優等生のサイズとデザインが魅力の一台。
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そんなXVは昨年、大幅改良が行われ新デザインを採用。印象を大きく変えたフロントマスクに注目です。ボンネットの肉厚感を抑えながらも“縦方向”を視覚的に意識できるデザインにより存在感と立体感を増しています。たとえばボンネットのプレスラインがそのままグリルへと繋がり、これまでハニカムデザインを採用していたグリルが縦基調となっていること、またバンパー両サイドを引き締めるシルバー加飾も縦方向にサイズアップ。付け加えるならヘッドライトの目尻の縦加飾も効いている。こんな風に“縦”を意識したパーツの集合体の統一感ぶりわかると、よりXVのフロントマスクにスッキリとした立体感などとともに好感が抱けるのではないかしら。さらに目線を下げれば、バンパーガードのサイズを大きくなっています。すると、クロスオーバーとしての存在感もさらにプラスされ、最新のXVが完成!
オシャレ番長と呼びたくなる理由はほかにもあって、たとえばホイールもしかり。18インチと17インチとではデザインが異なるのですが、XVはこれまでも「切削光輝」技術を採用したデザインが足もとをユニークで飾っていました。今回の改良では「切削光輝」に「段付きリム」も組み合わせた新たな手法を用いられたそうで、立体感がとてもクール!
もう一点、XVを選ばれる方は「何色を纏うか?」もしくは、「この色を纏っているからこそXVが欲しい!」と、ボディカラーにもこだわりたいモデルなのではないですか。と、国内外のクルマに色々と触れている私でもXVにはあれこれこだわりを感じてしまうのです。
今回は新色のプラズマイエロー・パールを纏ったXV Advanceと降雪地へ。前述の切削光輝+段付リムを採用するホイールには横浜ゴムのSUV用スタッドレスタイヤアイスガードG075が装着されていました。
スバルのAWDが人知れず雪道の運転をサポート!
走行シーンを路面に注目して紹介すると、乾燥舗装路から雪解け水によって水深すら感じるウエット路、シャーベットに圧雪にところどころ雪の下がアイスバーンになっているところもあるような降雪地で高速走行や山間部を走行。XVはすべてのモデルにAWD(4WD)を採用しており、結果から先にお伝えすると生活道路やレジャー目的で向かう山間部の除雪が行き届いた走行シーンでは少しの不安を抱くことなく、初めて訪れる町も自然の風景のなかでもそれらを楽しみながら試乗することができました。
運転席に座りポジションを合せると、Aピラーに傾斜のついた前方視界ではダッシュボードの奥行きが視界に入るも左右ガラスの視界の良好さも併せて、視界の抜けの良さが感じられる。スバルの安全哲学にある死角を減らし小さなお子さんも発見しやすい車両設計がこのデザインのなかにも活かされているのがわかります。
XVには2種類の動力、1.6リッター水平対向エンジンと2リッター水平対向エンジン+モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドのe-BOXERがあり、どちらもリニアトロニック(無段変速CVT)を採用しており、今回はe-BOXERを搭載するモデルを試乗。
e-BOXERはエンジン駆動をベースとしつつも40km/h以下くらいではEV走行もし、さらに加速すればエンジンとモーターを制御しながら走行をするのですが、モーターは主にアシストがお仕事。前述のようにEV走行も可能であることから燃費の向上にも繋がってはいるけれど、どちらかと言えば走行性能にこだわるスバルのリニアなアクセルの踏み足しやグッと踏み込んだ際の加速性能など、モーターをターボのように活かし、とにかく思いどおり、気持ちのいい加速が得られる点での貢献度が大きいという印象を抱きます。
無段変速のトランスミッションの加速過程で速度やフィーリングがいまひとつ合わないネガもほとんど払拭されている。これはリニアトロニックの改良の成果もあるのだろうけれど、モーターという電気的な駆動の加勢が一層、XVの走行にメリハリの効いたキビキビ感を与えてくれているのも間違いない。
滑りやすい路面でのコントロール性も申し分なし。少しだけ重めのステアリングフィールがさまざまな路面状況を手応えの変化として伝えてくれます。足腰を上手に使い舗装路でのコーナリング性能の高さも特徴のXVは、冬道でのインフォメーションとコミュニケーションスキルも高く、安心感と頼もしさを与えてくれます。
その点で言えばやはりAWDのインテリジェントぶりが際立っていたのだと思います。“思う”というのがポイントで、ドライバーは路面の変化をいつも以上に常にウォッチしている必要があった今回、コンディションが滑りやすい方向、もしくは不安定な場面ではより丁寧な操作を心がけてはいましたが、それ以外はXVが人知れずサポートしていたに違いないのです。タイヤの性能の貢献度も大きいとは思うのですが、「そう言えば横滑り防止装置のピカピカ(点灯)をあまり見ていないな」という走行安定ぶり。坂道発進もワインディング路の下りでも速度こそもちろん落として走るものの、やはり安定感のある走りは期待どおりでした。
スバルのシンメトリカルAWDは水平対向エンジンと左右対称のパワートレインで構成されるまさにこのエンジンだからこそ実現可能なスバル独自のAWDシステム。走行状況に応じたタイヤを転がす=駆動するためのトルクを前後輪に配分でき、これが重量バランスに優れているときてる。これにリニアなトルクを伝えやすい動力性能との良好な連携が相まって、この安心感や頼もしさ、雪道の運転が楽しいとさえ思える走りを実現しているというワケなのです。
そんなXVにはもうひとつ、ヒルディセントコントロール付「X-MODE」という助っ人が採用されています。これは“スノー/ダート”と“ディープ・スノー/マッド”の2モードがあり、20km/h以下で作動。登坂路での発進や深い雪や泥濘地での脱出やよほどコンディションの悪い状況での走行を助けてくれる機能としてこの2モードの用意があるという点でも、XVが都会的(見た目)なクロスオーバーモデルでないことがわかるというもの。正直に言って、1800mmという車幅のサイズ感も個人的には安心感がありました。雪で枝が道路に倒れかかっていたり、雪壁でやや車幅が狭まっているところでのすれ違いとか、慣れない土地では予想しにくい状況もあります。そんなときにXVの車両サイズと着座位置の高さ、視界の良さを頼もしさとして実感できたのです。
ちなみに、滑りやすい路面で使うことはなかったけれど、e-BOXER搭載モデルにはスポーティなドライビングをより楽しみやすい機能が搭載されているのでご紹介しておきます。アダプティブな変速制御を行う「e-Active Shift Control」の採用がソレ。SI-DRIVEのスポーツモードを選ぶと加速性能が向上するだけでなく、コーナリング中も高い回転数を維持し、コーナーを立ち上がる際にはモーターアシストも伴い理想的な力強い加速が得られ、まるでシフトチェンジをせずとも理想のギヤでコーナリング走行が楽しめるような制御を可能にしています。ますますステアリングの脇に在るパドルシフトを使いたくなる走行も、このオシャレ番長が兼ね備えているのです。
クロスオーバーSUVとして及第点のパッケージ
パッケージングはこのデザインゆえにリヤのヘッドクリアランスが他のスバル車に比べ少なめながら、足もとのゆとりは十分。
フロントシートからの乗降性は、私のドライビングポジションに合わせ着座位置を上げた状態で、ふくらはぎがサイドシルとギリギリつかない、もしくはちょっとふくらはぎがサイドシルに触れないように意識して足を前に出せば問題なく降車できます。
リヤシートは正直なところサイドシルを意識した降車を心がけたほうがよいでしょう。これはXVがほかに比べて乗降性が特別劣るレベルではありません。カタチもサイズもパッケージングも万人に優しいモデルもすべてが完璧ではないという意味であえて、お伝えしたいと思いました。
アイサイトは予防安全と運転支援の両面をサポートしてくれるスバルお馴染みのテクノロジーの総称。新型レヴォーグにはアイサイトXという次世代の技術を搭載するものも登場していますが、ちょっとしたウッカリやロングドライブまでサポートしてくれる現行モデルでも個人的にはとてもありがたかった。早朝にウインタースポーツやアウトドアを楽しみにいくときもお仕事も、疲れて帰る道中もふくめ、週末の渋滞を気にせずに出かけやすくなるのではないでしょうか。
XVは都会の風景に溶け込みながら、自然の匂いがする個性的なモデル。サイズ感やスバル独自の走破性も武器に、都会と自然をクロスさせるようなクロスオーバーぶりが魅力。冬景色も似合うオシャレ番長ぶりを、走って、眺めて、再認識することができました。
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XVは雪国で本当に使い勝手がいい。