VWゴルフのハッチバックに続いて日本に上陸した、ステーションワゴンのゴルフヴァリアント。
日本で同じクラスのステーションワゴンといえばカローラツーリングがあるが、新型ゴルフヴァリアントの実力はカローラツーリングと比べるとどれほどのものなのか?
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さらに、国産ステーションワゴンの代表格であるレヴォーグと比べると、どっちがいいのか? 注目の新型輸入車であるゴルフヴァリアントを人気の国産ステーションワゴン2モデルと比較してみた。
文/島崎七生人
写真/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】 新型VWゴルフヴァリアントは日本でもジャストサイズなワゴン車になりそうだ
■スタイリングも重視された新型ゴルフヴァリアント
この7月、およそ8年ぶりにフルモデルチェンジを受けて生まれ変わったゴルフヴァリアント。
直前に一新されたハッチバックのゴルフは数えて8世代目だが、ヴァリアント(当初、日本市場名はわかりやすく“ワゴン”だった)はゴルフが3世代目の時に初登場。よってヴァリアントとしては今回のモデルで6世代目となるが、カタログ落ちさせられることなくずっと続いているところが何とも心強い。
新型ゴルフの発売と間を置かず発売された「ゴルフヴァリアント」。新型はベースのゴルフに対してホイールベースが延長された。その結果、後席スペース拡大とともにワゴンらしいスタイルを得た
もちろん最新型では、VWの資料にも“デジタル化、電動化、ドライバーアシスタントシステムにおいて大幅な進化を遂げた”とあるように、現代的なスペックを身につけている。
48Vマイルドハイブリッドシステムは“全適”だし、運転席に座ると、眼前にはデジタルメータークラスターや純正インフォテイメントシステムの液晶メーターが据え置かれたり、ありとあらゆるスイッチ類がタッチ式に置き換えられた。
まあ、慣れないと、コンビニでノコノコと現金払いをしようとして店員のオネエさんにすかさず「そちらの現金のボタンにタッチして投入口にお金を入れてください」と指示されたような、自分の時代遅れ感を実感させられなくはないが……。
とはいえ“実用ワゴンの鑑”である立ち位置には変わりはなく、ラゲッジスペースも611~1642Lと、先代(605~1620L)を上回る容量を確保した。
そんな最新ゴルフヴァリアントだが、個人的に真っ先に気になったのが、
リアゲートの傾斜の強さ。リアエンドをストン! と垂直気味に裁ち落とした初代、2代目からしたらこれは事件に等しいが、ラゲッジ容量はトノカバーから下で量るものなので支障はないらしい。
リアゲートの傾斜は先代に比べるときつめだ。実際のラゲッジ容量は拡大しているので利便性が大きく損なわれてしまうことはないが、長尺物の積載には注意が必要かもしれない
何年か前にやはりリアゲートの傾斜をつけた某メーカーのワゴンで「最近はネット通販の普及で、自分でわざわざ大きな荷物を持ち帰ってくる機会は減ったでしょ?」の説明を聞いた時には眩暈がしたが、たとえばキャンプ道具を満載するユーザーなら、シュラフとか軽く、ガラスへの攻撃性のないアイテムを上のほうに載せるなどの工夫と実車での確認が必要かもしれない。
■ハッチバックからの派生ワゴンとしてカローラツーリングとイメージが被る?
で、そんなリアゲートの強まった傾斜や全体のフォルムを最初に見た際、筆者は反射的にカローラツーリングを連想した次第。まさかゴルフヴァリアントのデザインがカローラツーリングに“寄せた”訳ではないだろうが、何となく似ていると思えた。
日本の代表的なCセグワゴンのカローラツーリング。日本仕様は小型車枠の取り回しを考慮した日本専用のナロータイプであり、居住性や積載性で海外のライバルに対して叶わない部分がある
本来であればカローラツーリングの欧州仕様(日本仕様よりホイールベースが60mm長い)と較べるべきだろうが、日本のカローラツーリングの手持ちのデータで較べると、ラゲッジスペース(とくに床面のサイズ)は幅、奥行きともゴルフヴァリアントのほうが50~100cm程度大きく、この点では実用車の鑑(ゴルフヴァリアント)の面目躍如といったところ。
後席使用状態でも611L、後席を倒せば1642Lと広大なラゲッジスペースはカローラツーリングを上回る。オプションながらイージーオープン機能付きのパワーテールゲートも用意
また室内の快適性では、ゴルフヴァリアントが新型ではホイールベースを35mm伸ばしてきたこともあり、足元、頭上、肩口など着座姿勢でのゆとりを実感する。カローラツーリングはシートの作りのよさなど認められるも、ファミリーカーとしての居心地のよさ、快適性と考えると、スッキリ、サッパリとしたゴルフヴァリアントがいい。
ただし乗り心地の質ということでは、カローラツーリングの最新モデルはなかなかの実力をもつ。スムースなフラットライドが実現されているし、ドライバーにとっても、走らせている時のクルマの挙動、応答が自然で安心感があるところがいい。
■国産ワゴンの代表格、スバルレヴォーグとも比較してみる
ではもう1台、国産同クラスの代表格であるスバルレヴォーグとゴルフヴァリアントを比較した場合はどうか?
まず言えるのは、意外にもレヴォーグはゴルフヴァリアントに対して実用性が遜色ないということ。手持ちの取材データを改めて照合してみると、ラゲッジスペースは幅方向で何とゴルフヴァリアントを100mmほど上回り、後席使用時の奥行きもほぼ同等、なのである。
レヴォーグは日本専用車として誕生したものの、妥協のない性能や実用性にはスバルの熱い思いと伝統を感じる。ただ環境性能だけは現状如何ともしがたい状況だ
改めて寸法を見てみると、ホイールベースは奇しくも同じ2670mmであるほか、レヴォーグはゴルフヴァリアントに対して全長(+115mm)、全幅(+5mm)、全高(+15mm)と意外や大きいのが実態だ。
「人は見かけや身なりだけで判断してはいけません」とはよく聞かされてきた先人の教えのひとつだけれど、迂闊にも筆者も、これまでレヴォーグのほうがキュッと引き締まったボディサイズのイメージを抱いていた。だからラゲッジスペースのサイズも大きいというわけだ。
実用前提ならフォレスターやアウトバックを……そんな論調のレポートはこれからは改めなければ……である。
一方でイメージどおりということでは、こと“走り”という点ではレヴォーグだろう。何といってもこだわりのAWD技術と新世代の水平対向の4気筒1.8Lターボによる爽快な走りは、ワゴンという括りを外しても一目置きたいポテンシャルをもっている。
またSTI Sportに採用の“ドライブモードセレクト”だが、開発責任者の五島さんの説明では「先代ではあまり使われなかったが、もっと使われるようにモードごとの特性をわかりやすく見直した」とのことで、広くファミリーユースも視野に入れた設定になっている。
安全支援システムのアイサイトの実力、有効性は言うに及ばず、独自のアプローチで仕立てられているところが、同じセグメント、カテゴリーのゴルフヴァリアントとの違いだ。
■気になる価格はベースのゴルフに対し、プラス14万円となる
なお価格を見ると、現状でゴルフヴァリアントはわかりやすく、ぴったり同一グレードを敷くハッチバックのゴルフに対し、ヴァリアントはざっとプラス14万円ほど(価格帯は305.6万~389.5万円)。
カローラツーリングは価格帯で示すと、ワゴンのツーリングが201.3万~299.75万円なのに対し、ハッチバックのカローラスポーツは216.9万~284.1万円、セダンは193.6万~294.8万円。
レヴォーグはハッチバックのインプレッサと較べた場合、価格帯はレヴォーグの310.2万~409.2万円に対し、インプレッサはFF車を含めて200.2万円から292.6万円となっている(価格は8月下旬、原稿執筆時点での各社資料、ホームページ掲載のもの)。
ゴルフヴァリアントのインパネ。シフトはスイッチ化、その他の操作系もタッチパネル化と進め、内装はシンプル。これも電動化と並んでトレンドとなってきている。日本勢はやや遅れ気味か?
クルマのトレンドというと今は完全にSUVだ。が、6代目を登場させてきた新型ゴルフヴァリアントが示すように、ワゴンはハッチバックやセダンに対し+αの実用性を持つ“定番”だ。
自家用車の価値が見直されている今、いずれの車種でも、まさにいかようにも活用できる価値のあるクルマとして選ぶのは正解だと思う。
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みんなのコメント
50センチ〜100センチもデカいんだ!
全長は軽く5メートル超えてるのかな?