新世代CB-Rは1000を筆頭に125まで4モデルがシリーズ化されたホンダの主力スポーツモデルである。3月15日に発売された650はCB650Fをベースに刷新し、シリーズ完成をしめくくる大トリのモデルとして登場した。直列4気筒エンジンを搭載する贅沢なパフォーマンスとそこから発揮される豪快な乗り味が堪能できた。REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ホンダ・CB650R・・・・・961,200円
【DUCATI MONSTER 797/+ 試乗】新世代にはもはやネオクラ!? 90年代、ドゥカティに新風を吹き込んだモンスター、その最新型の走りは…!?
CBシリーズの新時代を直感させてくれたのは、これまでにない斬新なスタイリングにある。フロントマスクは個性的なLEDヘッドランプやシュラウドデザインが新鮮。ツイン吸気ダクトは前後方向から吸気する新構造が採用され、高効率化も追求されている。
発表時のプレスリリースに掲げられた開発コンセプトには、「都市のライフスタイルに興奮を」Middle Sports Roadsterと言うキーワードが明記されていた。
全体のネイキッドフォルムは既に1000や250&125で見慣れていたが、650は4気筒エンジンの搭載を堂々と主張する。特にエキゾーストパイプ4本が綺麗に居並ぶ見栄えはとても印象深い。ショートマフラーの採用等、マスの集中化が徹底されたコンパクトなパワーユニットは、同時に軽快なグッドハンドリングへの期待感を高める見逃せないファクターである。
ちなみにCB-Rに400モデルは無い。ミドルスポーツ(ネイキッド)はこのCB650Rのみ。斬新で格好良い外観デザインのエキパイ部分は、かつてスーパースポーツであることを明確に訴求して登場したCB400F(ヨンフォア)を彷彿とさせた。
スチールのダイヤモンドフレームはピボットプレート部に軽量高剛性を両立する閉断面プレス(モナカ)構造を採用。ステアリングのボトムブリッジはアルミ鍛造部品を使用、薄く軽量なメーターの採用等、随所に見られるマス集中化策の徹底ぶりは印象的である。
詳細解説は割愛するが、エンジンも吸排気系や内部の主要部品、制御系に至るまで徹底的に専用チューニングされている。実際ピークパワーを向上しながら、谷間の少ないなだらかな出力特性を発揮しているのである。
コンパクトな車体は202kg。12000rpmで95psを発揮するエンジンとの相性を考えれば、豪快かつエキサイティングなパフォーマンスへの期待値は疑いようがないだろう。
ワクワクと胸踊る4気筒ならではの吹け上がり、若々しくエキサイティングな走りが気持ちいい。
今回の試乗は、400Xからの乗り換えでスタートした。両車はキャラクターも排気量も異なるが、まず印象的だったのがエンジンブレーキが強力だったこと。市街地の通常走行において、赤信号等で右手のスロットルを閉じると2気筒の400Xよりもグンと強い減速力が働き、手(足)動ブレーキに頼る頻度が減少したのである。
ギヤ比やクランクマスの違いによる影響もあるが、4気筒エンジンのフリクション(摺動抵抗)の大きさに改めて気付かされた。市街地でのごく一般的な走り方ならブレーキパッドの消耗もかなり節約できる感じである。
さて、F.C.C.製のアシストスリッパー付きクラッチは(要求握力が)軽くとても扱いやすい。この操作性ならロングツーリングでも左手が痛くなるような事はまずないだろう。
暖機後のアイドリングは1250rpm、ブーッと言う4気筒ならではの低く連続的な排気音が印象深い。ローギヤにシフトし、クラッチミートする瞬間にはエンジン回転が100回転ほど自動上昇して発進時に微妙なトルクアップがはかられる。おかげで、エンストさせる失敗は大幅に減少する。
ローギヤのままエンジン回転を5000rpmにするとスピードは42km/h。ちなみに回転計のレッドゾーンは12500rpmからである。つまり全開加速すればローギヤで100km/hオーバーまで引っ張れるポテンシャルがあるわけだ。
回転の上昇は基本的にとてもスムーズ。3500rpmあたりからはもりもりとトルクの膨らみが実感でき、7000rpm以上で魅せる吹け上がりはまさにエキサイティング。
低回転域のスロットル微開、あるいは一定極小開度で伸びを待つ様なシーンで若干吹け上がりが滞る事がある点が少し気になったが、5000や7000rpm前後の領域を駆使してワインディングロードを駆け抜ける様なシーンでは、スロットルレスポンスも良く、若返る程素直に気分が高揚する走りが楽しめた。
走りの実力としてはそこまで使わなくても既に十分なパフォーマンスが発揮でき、強力なストッピングパワーも含めてストリートスポーツとして不足はない。まさに自由自在になる楽しい走りが堪能できるのだ。
カウルを必要としない速度域で走る限り、その生き生きとエネルギッシュな走りは、パワー感としてとても豊かである。どんな場面でも余裕を控え持つ乗り味は贅沢である。
全体的にカチッと剛性感の高い乗り味は素直なグッドハンドリングに貢献。市街地での足代わりでも扱いやすいし、峠道を身を翻して駆け抜けるシーンでも気持ちよく快走できる。
ややスポーティ寄りに仕立てられたライディングポジションが絶妙でライダーの全身の筋力をバランス良く活用すると、ロングツーリングでも快適に走れたのが魅力的である。
通常の一般的な走りの中では常に余裕しゃくしゃくで居られる。バイクに乗る時の、そんな心持ちはとても気分が良いのである。
ちなみに実走燃費率は市街地渋滞路も含めて高速や郊外トータル約300kmを走行して満タン法計測23.5km/Lだった。
■足つき性チェック(ライダー身長170cm)
⚫️ディテール解説
■主要諸元■
車名・型式:ホンダ・2BL-RH03
全長(mm):2,130
全幅(mm):780
全高(mm):1,075
軸距(mm):1,450
最低地上高(mm):150
シート高(mm):810
車両重量(kg):202
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):
国土交通省届出値
定地燃費値(km/h)…31.5(60km/h、2名乗車時)
WMTCモード値(クラス)…21.3(クラス3-2)1名乗車時
最小回転半径(m):2.8
エンジン型式:RH03E
エンジン種類水冷4:DOHC4バルブ直列4気筒
総排気量(立方センチメートル):648
内径×行程(mm):67.0×46.0
圧縮比:11.6
最高出力(kW[PS]/rpm):70[95]/12,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):64[6.5]/8,500
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):15
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
1速…3.071
2速…2.352
3速…1.888
4速…1.560
5速…1.370
6速…1.214
減速比(1次/2次):1.690/2.800
キャスター角(度):25゜30′
トレール量(mm):101
タイヤ:
前…120/70ZR17 M/C(58W)
後…80/55ZR17 M/C(73W)
ブレーキ形式:
前…油圧式ダブルディスク
後…油圧式ディスク
懸架方式:
前…テレスコピック式
後…スイングアーム式
フレーム形式:ダイヤモンド
■ライダープロフィール
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