WRC世界ラリー選手権は6月24~27日、アフリカ・ケニアに舞台を移し、今季第6戦が行われる。19年ぶりにシリーズに復帰した『サファリ・ラリー・ケニア』、この戦いを前に、最高峰カテゴリーであるWRCクラスに参戦しているMスポーツ・フォード、ヒュンダイ、トヨタの各陣営から今戦に出場するドライバーたちの事前コメントが発表された。
2002年以来、初めてサファリ・ラリーがWRCイベントとして開催される。このラリーを題材とした映画『栄光への5000キロ』のタイトルにもあるように、かつてのサファリは5000kmにも及ぶ壮大なスケールで極限の戦いが繰り広げられていた。
19年ぶり開催、伝統のWRCサファリ。トヨタは選手権首位維持と通算8度目の優勝目指す
19年ぶりに世界選手権の1戦として行われる今季のラリーは総走行距離1133.94kmと、かつてのイベントに比べるとコンパクトな大会となっている。しかし、トップクラスを戦う現役ドライバーは誰一人としてこのラリーを経験している者がおらず、誰にとっても大きな挑戦となることは間違いないだろう。
サファリのステージはグラベル(未舗装路)で、その多くが見通しの良い平原に設定されている。一方、路面の荒れたステージもあり、そのような場所では大きな石が数多く転がっていることも予想される。また、大雨が降るとグラベルは泥状になり、非常に難しい路面コンディションになる。
ラリーの拠点となるサービスパークは、首都ナイロビの北西約100kmに位置するナイバシャ湖畔に置かれる。イベントは初日の24日(木)にナイロビ中心部のケニヤッタ国際会議場でのセレモニアルスタートで開幕。その後、同地近くのカサラニで4.84kmのスーパーSS(SS1)が行われ、競技開始となる。
翌25日以降、広大なアフリカ大陸の平原を舞台とする本格的なラリーがスタートし、この日はサービスパークの南側で3本のステージを各2回走行する。26日(土)は北側にあるエルメンテイタ湖の周辺に設定された3つのステージを各2回走行するスケジュールが組まれた。。
競技最終日となる27日(日)は、日中のサービスを挟むことなく5本のステージを走行する予定だ。最終ステージとなるSS18“ヘルズゲート2”は、ステージトップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。SS1~18の合計距離は320.19kmだ。
■Mスポーツ・フォードWRT
●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)
「コリン・マクレーがMスポーツでサファリに出て優勝したとき、僕は5歳でラリーが何かなんて知らなかった。でも彼のやり遂げたことは間違いなくクールだ。Mスポーツのメインホールには、コリンが優勝したときのサファリ・ラリー・フォーカスが飾ってあるから、毎回Mスポーツに行くたびに前を通り過ぎるよ。間違いなくマルコム(・ウィルソン、マネージングィディレクター)とチームにとって素晴らしく良い思い出だろうし、さらに良い結果を出せたらすごいことになる」
「サファリについてマルコムにたくさんの質問をしたけれど、オープンロードでステージがかなりの長距離だった以前とはかなり違っていることは明らかだ。今回はまったく異なる挑戦になるし、それは以前経験した人たちにとってもそうだよ。僕にとって未知への旅であることは間違いない」
「僕はアフリカに行ったことがないんだ。でも主催者からのビデオをかなりの時間観てきたよ。いつもなら、ビデオはステージに慣れるために熱心に見ている。より正確なペースノートを作る役に立つからね。でも道路が不明確だから、違う準備をしてきた。でも現地に到着すれば、もっと明確にできると確信している」
「見てきたものからすると、サファリ・ラリーは僕が経験してきたどのラリーとも比較できないと思う。でも僕はコンディションに対して必要なドライブができることを示してきた。WRC2で勝利したモンテカルロや、トルコでのようにね」
「僕たちは明らかにクロアチア以降非常に大きな進歩を果たしてきた。クリス(パターソン/コドライバー)もこのラリーでマシンに戻るから、彼の知識が助けになるよ。今年の残りの目標はつねにトップ5に入り、好ペースを維持することだ。それが不可能な理由なんてないからね」
●アドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)
「WRCがケニアに戻ったのは本当に良いことだ。これは大きな挑戦になるだろう。このラリーがどれだけ困難なものかは過去のイベントから分かっているからね。確かに以前のWRCイベントに比べたら短いイベントだけれども、それでも難しいものだし、僕たちが知っているものとは完全に異なる」
「僕はサファリラリーがWRCに含まれていたことを覚えているには少々若すぎるけれど、いくつか映像を見たことがあるし、フォード・フォーカスがフロントに追加のバーを付けて走るのは素晴らしい見ものだったよ。僕たちのクルマにその手の保護具は付かないけれど、ステージではキリンやゾウが見られるのは確かだから、本当に面白いものになるだろうし、しっかりと注意しなければならないね!」
「主催者からのビデオを見たよ。かなりラフなのでほとんど止まらなければならない場所もある。でもそうしたところでは分別を持って、『オーケー、このセクションでは減速しなければならないが、こっちのセクションでは速く行けるぞ』と言えるようにしなければいけないね」
「WRCサファリでの最後の勝者はMスポーツ・フォーカスのコリン・マクレーだったと知ってうれしいよ。まったく同じ結果を出すのは本当に難しいことだけれど、色々なことが起き得るからどうなるかは分からないよ。でも謙虚な姿勢でいたいと思う」
「僕にとってこのラリーに参戦するのは名誉なことだし、このチャンスを与えてくれたMスポーツには感謝の言葉しかない。WRCマシンでケニアに行けるのは本当にうれしいことだ。夢のようだし、ラリーだけでなく人間性や風景を楽しむことが待ちきれないんだ」
■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「誰もがサファリ・ラリー・ケニアがカレンダーに戻ったことに興奮していると思うよ。過去に参戦するチャンスのあったドライバーたちから話を聞いたことがる。当時彼らが経験した冒険を語ってくれたんだ」
「だけどラリーは時とともに進化しているから、僕たちにとっては違う経験になるだろう。何が僕たちを待ち受けているのか分からないけれど、大きなトロフィーを持って戻ってくることを望んでいる。シマウマやゾウ、キリンを見ることになりそうだ。楽しいものになるだろう!」
●オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)
「サファリ・ラリー・ケニアは僕にとって新しいイベントだ。僕はアフリカへ行ったこともないんだ。楽しみにしているけれど、ちょっとした冒険になることは予想しているよ」
「以前のラリーの映像をいくつか観たけれど、優勝するためには、まずは完走しなければいけないイベントのひとつだ。ワイルドで野生的な場所のようだね」
「それはカレンダーの他のイベントとは完全に違う特別なものになるだろう。すべてのことが僕たちに有利に働くことを願っているよ」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「サルディニアでは週末に不満を残した気分だった。もっと多くのことができる力が僕たちにはあると分かっていたからね。マシンは速かったし、タフなグラベルロードでポテンシャルを示すことができていた」
「ケニアはまた別の挑戦になる。とてつもない挑戦になるだろう。サファリ・ラリーは他に類を見ないもので、これは僕たちが挑んだことがないイベントだ。ステージの特徴は本当にユニークだね。ああしたコンディションでドライブしたいものだ」
「過去そうだったように困難なラリーになるだろうが、どうなるか見てみようじゃないか。チームのために多くのポイントを獲得することを期待している。こうしたイベントのために、チームはノンストップで準備をしてきたのだからね」
■TOYOTA GAZOO Racing WRT
●セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
「僕はこれまで、新しい挑戦にいつもワクワクしてきたが、今回のラリーはこれまで経験してきたものとはまったく違うものになると思っている。ターゲットを少し変えて臨まなければならないという話をよく耳にした」
「最近のWRCでは、つねに限界まで攻めるような走り方をしますが、ケニアではトラブルなくラリーを乗り切ることに重点を置くことになるだろう。1シーズンのうちに、このようなチャレンジがあるのは面白いことだと思うよ」
「どのように準備をするのが正解なのか分からない部分も多く、ドライバーはラリー中に少しずつ適応していかなければならないと思う。それでも、どのようなことが起こり得るのかを理解するためには、レッキがとても重要になるだろう」
●エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
「現役のドライバーは、誰ひとり以前に行われていたサファリ・ラリーに出場した経験がないため、今回のケニアは未知なる領域だ。もちろん、過去の映像はたくさん見てきましたし、いずれも壮大なものだった」
「今回に関しては、よりコントロールされたステージを繰り返し走行するので、昔とまったく同じにはならないと思うが、ケニアという普段とまったく違う環境でラリーができることに興奮している」
「スムーズなイベントになるとは思っていませんし、クルマだけでなく、選手にとってもきっと大きなチャレンジになるだろう。映像等を見た限り、とても広大な風景の中を走るようなので、道がどのようになっているのかを見極めるのはかなり難しそうだ。実際に現地に行ってレッキを行い、自分の目で確かめて、最大の課題が何なのか判断したいと思う」
●カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「ケニアは本当に面白いラリーになりそうだ。誰にとっても新しいイベントであり、長い歴史のあるクラシックなイベントでもあるからね」
「WRCが最後に開催されたのは2000年代の初期で、僕の父も参戦していた。当時の古い映像はすべて見たし、父もいろいろな話をしてくれた。ラリーというスポーツは、昔と今ではかなり変わってきているので、最新のラリーカーであのようなステージをどのように攻略するのか、とても興味深いところだね」
「とはいえ、昔とコンセプトが完全に同じではないことは理解している。例えば、あれほど長いステージを走ることはありませんが、以前と同じように路面が荒れているのか、トリッキーな場所があるのかどうかを知るのは面白そうだ。すべてがいつもと大きく異なると思いますが、僕はとても楽しみにしている」
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