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過去最高の「訴求力」 ジャガーXF D200へ最後の試乗 優雅な見た目 FRらしい充足の走り

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過去最高の「訴求力」 ジャガーXF D200へ最後の試乗 優雅な見た目 FRらしい充足の走り

3シリーズに並ぶ英国価格 優雅さを増したボディ

ブランドを立て直すために生まれたビッグサルーン、XF。美しいスタイリングとクラス最高の操縦性、競争力の高い価格設定などが評価され、主力モデルへすぐに躍り出た。

【画像】過去最高の「訴求力」 ジャガーXF 競合クラスのサルーンと比較 全138枚

最新仕様では、スタイリングを僅かに変更。インテリアの質感を高め、新しいインフォテインメント・システムを獲得している。だが、本来の強みはブレていない。

ジャガーがひと回り小さいサルーン、XEとともに、XFの英国価格を大幅に引き下げたのは2021年。グレートブリテン島では、同等の動力性能を持つBMW 3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスより、約1万ポンド(約192万円)も安く設定された。

実用性に優れる、ステーションワゴンのXF スポーツブレークも。コスパは抜群といっていい。

高度なデジタル技術の普及と、バッテリーEVへのシフトが進む中で、最新XFの競争力はどの程度だったのか。生産終了を迎える今、改めて確かめてみたい。

XFのスタイリング的な変化は、流線型を強めたフロントマスクと、存在感を増したリアのディフューザー、Fタイプへ近づけられたヘッドライトなど。アルミホイールも、デザインが新しくなった。従来上のエレガントさを感じると思う。

プラットフォームは、ジャガーのD7aと呼ばれるもの。同社のSUV、Fペイスや、ランドローバー・レンジローバー・ヴェラールとも共有する。ボディサイズは全長4962mm、全幅1890mm、全高1456mmと、BMW 5シリーズなどに近い。

大幅に向上した内装の質感 荷室は狭め

ドアを開くと、当初から車内の高級感が大幅に向上したことへ気付く。丁寧な細工で、鈍く輝くクロームメッキ・トリムが上品。ステアリングホイールやセンターコンソールに並ぶスイッチ類の製造品質も、確実に良くなっている。

インフォテインメントは、ピヴィプロと呼ばれるシステムで、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。タッチモニターは11.4インチあり、緩くカーブし、ダッシュボードのラインへぴったりフィットしている。

システムは扱いやすく、安定性も高い。画面の右側にはショットカットキーが並び、頻繁に利用する機能をホーム画面へ追加できるのも嬉しい。当然のように、メーターパネルもモニター式だ。

運転席は非常に快適。高身長のドライバーの場合、ステアリングコラムは、前後方向のテレスコピックの調整域がやや狭く感じるかもしれない。シートはサポート性が高く、とても心地良い。

荷室容量は459Lと狭め。大きさが近いBMW 5シリーズは、520Lある。英国価格で近いBMW 3シリーズは、480Lだ。背もたれを倒せば、1484Lへ拡大できるが。

トルクが頼もしいD200 スポーティなP300

今回試乗したのは、ジャガー・ランドローバーの2.0L 4気筒ディーゼルターボを積むD200。これは、マイルドハイブリッド化されたインジニウム・ユニットで、203psの最高出力を発揮する。

質感は洗練度が高く、特に中域トルクが太く頼もしい。ただし、エンジンと電気モーターが同時に働くような場面で、僅かにアクセルレスポンスが鈍くなる瞬間がある。燃費に優れ、高速道路を巡航させれば17.7km/Lは簡単に出せる。

電気アシストが加わることで、日常的な利用シーンでのトルク感が増しているのは明らか。アクティブ・ノイズキャンセリング機能が備わり、静寂性も非常に高い。

一方で、2.0L 4気筒ガソリンターボはスポーティ。最高出力250ps、最大トルク37.1kg-mのP250の場合、0-100km/h加速を6.5秒でこなす。最高速度は249km/hだ。パワフルなP300なら、300psで6.1秒を叶えている。

8速ATは、最後まで改善点が残ったままといえるだろう。上質なエンジンの輝きを、霞ませるほどではないが。

稀に変速を躊躇する場面があり、低速域での動作はもっと滑らかでも良い。ステアリングホイールの裏にはシフトパドルが備わるが、手で弾いても瞬間的にギアが変わるわけでもない。

だが何より、XFの強みは充足感に秀でた操縦性。登場が10年近く前だと考えると、改めて感心させられる。

後輪駆動らしい走り 過去最も高い訴求力

標準は可変式ではないダンパーで、これに20インチのアルミホイールを組み合わせると、僅かに乗り心地は期待へ届かない。しかし、ステアリングホイールは適度に重く感触豊か。姿勢制御は流暢で落ち着きが高く、後輪駆動らしい走りを楽しめる。

特に正確なステアリングのおかげで、自信を持って連続するコーナーを導ける。グリップ状態の把握もしやすい。大きなサルーンだが、ひと回り小さく感じられてくる。

豊かなトルクを活用し、ヘアピンカーブなどでは、リアアクスルを少し遊ばせることも可能。電子的なコントロールは完全にオフにでき、腕利きのドライバーの気持ちを削ぐこともない。

XFの英国価格は、約3万6000ポンド(約691万円)から。ステーションワゴンのXF スポーツブレークは、約4万ポンド(約768万円)へ上昇する。CO2の排出量は、ディーゼルのD200で146g/km。P250では186g/kmとなる。

生産終了を迎えたXFだが、訴求力は過去最も高まっていたように思う。荷室容量はライバルより狭いものの、インテリアは高品質で装備も充実。優れた乗り心地や操縦性といった強みは、現代でも有利な水準にある。価格や燃費も好ましい。

ジャガーというブランドの運命には、感傷的な気持ちを抱くかもしれない。しかしXFは、そんなことを忘れさせる完成度にある。

◯:しなやかで安定した乗り心地 好バランスで魅力的な操縦性 1クラス下に並ぶ英国価格 上質なインテリア
△:狭めのリアシート もう少しパワーの欲しい4気筒ディーゼル プラグイン・ハイブリッドが選べれば良かった

ジャガーXF D200 R-ダイナミック HSE ブラック(英国仕様)のスペック

英国価格:4万2750ポンド(約820万円)
全長:4962mm
全幅:1890mm
全高:1456mm
最高速度:230km/h
0-97km/h加速:7.8秒
燃費:17.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1795kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps/3750rpm
最大トルク:43.7kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • dko********
    古き良きビクトリア調の雰囲気を捨ててから
    従来ユーザーにもそっぽを向かれ新規ユーザーも獲得できていないのが
    今のジャガーの現状でしょう。
  • jsd********
    内装などコノリーレザーやウォールナットをやめてメルセデスやBMW的❓内装や車体デザインを取り入れた時点で終わったと思う。ジャガーがドイツ御三家のマネをしても所詮無理。今だに電気系統は信頼出来ないしましてやてディラー網は乏しし過去の栄光だけでは特に日本ではむり。
    テマイミソで申し訳有りませんが、父(90才まで)も私も英車を好きで乗り継で来たがここ15年は信頼性のあるメルセデスを3台乗り継でいます。
    長男、次男もBMWを乗り継でいます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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