■「RAV4」に勝るとも劣らない存在感の新型「ライズ」
トヨタは2019年11月5日に、新型小型SUV「ライズ」を発売しました。新型ライズは、全長4mを切るコンパクトなボディと、高い居住性や積載性を両立したことが特徴で、これまでボディサイズを理由にSUV購入をあきらめていた人もターゲットとされています。
【画像】まさにミニ「RAV4」! トヨタ新型「ライズ」がカッコ良すぎる!(51枚)
一方、トヨタは2019年11月現在、ライズ以外に6車種のSUVラインナップを取り揃えており、なかでも人気モデルの「RAV4」は新型ライズと顔つきが似ていることから、ライズが「ミニRAV4」と称されることもあります。両車の似ている点と違いに関して、具体的にはどのような部分があるのでしょうか。
新型ライズは、軽自動車の開発を得意とするダイハツが開発をおこない、トヨタへOEM供給するクルマです。
そのためボディは非常にコンパクトで、サイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmと、国産SUVのなかでも比較的小さいといえます。全長に関しては、SUVではなく国産コンパクトカーの主要車種(全長4m前後)と比べても、同等か、むしろ小さいほどです。
しかし、大きく口を開けたように見えるフロントグリルや、角張ったバンパーコーナーなどの視覚的効果により、5ナンバーサイズのボディとは思わせない迫力ある外観を実現しています。大径の17インチタイヤ(一部グレードに採用)や、張り出したフェンダーも、ボディの踏ん張り感を演出します。
ワイルドな雰囲気を醸し出しつつ、都会的な洗練された雰囲気も感じさせるデザインは、トヨタSUVのエントリーモデルに見えないほどの存在感です。
新型ライズの兄貴分にあたるRAV4は、ミドルクラスSUVらしい全長4610mm×全幅1865mm×全高1690mm(「Adventure」グレード)というボディサイズです。外観面では、1.8mを超える全幅と、角張ったフロントグリルが、国産SUVのなかでもトップクラスの押し出し感の強さを感じさせます。
なおボディの側面で、新型ライズのフェンダーまわりは一般的な円形となっていますが、RAV4では台形のデザインとなっていて、ボディサイズ以外に両車の違いを感じられる部分だといえるでしょう。
内装面で新型ライズとRAV4を比較すると、共にシンプルかつ機能的にまとめられていますが、新型ライズは操作パネル類が運転席側に向けられていることが大きな特徴のひとつです。小型なボディゆえ、1名で乗車することも想定されることから、よりドライバーにとって心地よい空間を実現するよう、各スイッチおよびボタンが配置されています。
一方RAV4は、走行モードを選択できる「マルチテレインセレクト」がシフトレバー横に配されたデザインとなっていて、よりSUV感の強い内装が特徴です(ハイブリッド車および2WD車除く)。とくに、一部グレードに装備されるダイヤル式は、メカ感の強いデザインで車内の雰囲気を引き締める効果もあります。
荷室について、新型ライズはコンパクトボディにも関わらず、5名乗車時に荷室幅1000mm×荷室高865mm×荷室長755mmとゆとりある空間を持つことが特徴です。荷室容量はコンパクトSUVトップクラスの369リッターを確保し、レジャー用途をはじめ、さまざまな場面で利便性を発揮します。
RAV4は、5名乗車時に荷室幅1355mm×荷室高935mm×荷室長1015mmという広大な荷室を持ちますが、全長で615mm、全幅で170mmも違いがあるライズと比べて荷室が広いのは、当然ともいえます。
ボディサイズが小さい方が、細い路地や林道で取り回しやすいというメリットもあるので、荷室や車内の広さとトレードオフの関係にあるといえそうです。
■「RAV4」はガソリンとハイブリッドの2刀流! 新型「ライズ」は?
新型ライズは、全車に1リッター直列3気筒ターボが搭載されます。最大出力98馬力/最大トルク140Nmを発揮するユニットで、1.5リッターエンジンに相当するトルクを低速から発揮することが特徴です。トランスミッションには、スプリットギアを組み込んだトヨタ初採用の「D-CVT」と呼ばれるCVTが組み合わされます。
SUVでは4WDシステムの走破性も注目ポイントのひとつに挙げられることが多いですが、新型ライズは、ダイナミックトルクコントロール4WDという4輪駆動システムが採用されています。発進時やタイヤがスリップしやすい路面の走行時に、車両の状態に最適なトルクを後輪に配分することで、路面状況を問わず安定した走りを実現します。
2WD仕様も設定され、WLTCモード燃費は、2WD車が18.6km/L、4WD車が17.4km/Lです。
RAV4は、2リッター直列4気筒エンジンと、2.5リッター直列4気筒エンジン+モーターで構成されるハイブリッドの2種類のパワーユニットが設定されます。
2リッターエンジンは最高出力171馬力/最大トルク207Nm、ハイブリッド仕様はシステム最大出力222馬力(e-Four仕様の値)を発揮。大柄なボディをものともしない力強い走りを見せます。
組み合わされるトランスミッションは、ガソリン車の場合は発進用ギヤが追加された「Direct Shift-CVT」と呼ばれるCVT、そしてハイブリッド車は電気式無段変速機となります。
4WDのメカニズムにこだわっているのもRAV4の特徴のひとつで、グレード別にそれぞれのキャラクターにあわせた全3種類のシステムが用意されています。
「Adventure」グレードと、「G“Z package”」に標準装備されるのが、世界初採用となるダイナミックトルクベクタリングAWDです。旋回時の車両の安定性を高めるトルクベクタリング機構や、4輪駆動が不要な時に動力伝達を切断することで燃費向上を図るディスコネクト機構が採用され、高い走破性と経済性を両立します。
その他、グレードごとにダイナミックトルクコントロール4WDや、電気式4WDのE-Fourなどが設定されています。なお、ガソリン車とハイブリッド車それぞれに2WDの設定もあります。
※ ※ ※
最後に、予防安全装備や便利機能をはじめとした先進装備を比較します。
新型ライズには、最新型の「スマートアシスト」が搭載され、前方のクルマの追従をサポートする全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールや、駐車時のモニターガイドとステアリング操作をサポートするスマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)、歩行者や車両を検知可能な衝突被害軽減ブレーキ、そして前方・後方どちらにも対応したブレーキ制御付き誤発進抑制機能など、機能が充実しています(グレードによって装備に差が存在)。
運転初心者にも運転しやすいボディサイズであり、さらに充実の安全装備を備えることで不慣れなドライバーを全方面からサポートします。
一方、RAV4はトヨタの予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備。
衝突被害軽減ブレーキは、前方の車両はもちろん、歩行者(昼夜)、や自転車(昼)も検知する高機能型で、ほかにもレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)やインテリジェントクリアランスソナーなどを備えます。
現行型RAV4の発売は2019年4月で、現行SUVのなかでもまだ比較的新しいモデルといえる部類といえることから、予防安全装備も最新スペックのものが搭載されているのです。
また、コネクティッド機能について、新型ライズはスマートフォンと連携するディスプレイオーディオがパッケージオプションで用意されていますが、RAV4はまだ未設定となっていて、この部分においては新型ライズの方が装備面で進んでいるといえます。
※ ※ ※
「ミニRAV4」と称される新型ライズの車両価格(消費税込、以下同様)は、167万9000円から228万2200円です。一方、「本家」のRAV4は265万6500円から388万8500円の価格設定となっています。
車格がまったく異なることから、価格差も大きく開いています。しかし、取り回しのよさや利便性なども考慮しつつ、価格ではなくライフスタイルで2台を比較検討するのも、面白いかもしれません。
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