ヴァンウォール・レーシングのボスであるコリン・コレスは、大幅に改良されたバンダーベル680で、2025年のWEC世界耐久選手権に復帰するための「時間が残り少なくなっている」と語った。
以前はバイコレスとして知られていたオーストリアのチームは、2023年シーズンに使用したギブソン製エンジンからピポ・モチュール製のエンジンにスイッチしたヴァンウォール・バンダーベル680のエントリー申請が却下されたため、今季2024年のWECには参加していない。
V10化も検討。エントリー申請が拒否されたヴァンウォール、エンジンサプライヤー変更も報われず
しかし同チームでは、WECの選考委員会の承認を待って2025年のシリーズ復帰することを目標に、車両の大幅なアップグレードの準備が進んでいる。
ヴァンウォールは8月下旬、イギリスはノーサンプトンシャーに位置するケイツビー・トンネル車両テスト施設で、直線走行テストを行っている改良型ヴァンダーベル680と思われる画像を公開した。このウルマをドライブしたのは、トリスタン・ボーティエだ。
WECハイパーカークラスへの復帰に向けて準備が進むなか、コレスはSportscar365のインタビューに答え、ヴァンウォールは来シーズンについての回答を長く待つことはできないとし、2025年のエントリーの“ゴーサイン”が出るまでさらなるテストは保留されていると述べた。
「私の個人的な評価では、(ヴァンウォールの2024年のエントリーを拒否した)決定は間違っていた」とコレスは語った。「イソッタ・フラスキーニはすでに去っており、他の数チームも苦戦している」
「今のところ、(選考委員会から)イエスともノーとも言われていない。(来季のレギュレーションに従い)2台のマシンを用意することはできるが、(準備のための)時間は残り少なくなっている」
「私たちは歓迎されることを望んでいる。しかし、それは彼らが決めることだ。我々次第ではない。プランAとプランBがあるが、どちらのプランでもこのクルマはレースに出場することになる」
コレスは、ヴァンウォールのグリッド復帰は1シーズンだけでは価値がないと感じているため、長期的な契約を求めていると付け加えた。
「私たちが望まないのは、彼らが(2025年のために)私たちを受け入れ、一年後にヒョンデ(ジェネシス)が来たときに、ふたたび『グリッドが満員だ』と告げられることだ」と彼は述べた。
■改良型バンダーベル680は、95パーセント刷新
コレスの説明によると、直線テストの画像は実際には新しいエアロを装着したトラックデー・バージョンのクルマであり、改良された競技車両はまだ走っていないという。
「WECのクルマは、トラックデーのクルマとは少し見た目が異なる」と彼は付け加えた。「これまでのところ、私たちはWEC車両のコンポーネントでエアロテストを行っただけだ」
同氏は続けて、ヴァンダーベル680をオーバーホールするという決定は、昨年末に明らかになったように従来のギブソン・エンジンから、グリッケンハウス007 LMHに搭載されていたものと同じ3.5リッターのピポ・モチュール製ツインターボV8エンジンに載せ替えたことに由来すると説明した。
コレスは、「95%新しい」と表現した改訂版のクルマがWECへのエントリーが認められれば、競争力を発揮できると確信していると語った。
「もともとは、2023年シーズンに出力が60kW(約81PS)足りなかったので、エンジンをギブソンからピポ・モチュールに変更するだけの予定だった」とコレスは説明した。
「しかしその後、私たちは車を完全にオーバーホールすることを決めた。そのため基本的にエアロ的にもメカニカルにもまったく新しいクルマになった。新しいブレーキ、新しいサスペンション、新しいステアリングに、ギアボックスとベルハウジングも変更されている」
「また、エンジンの変更にともない自然吸気(NA)エンジンと比べて熱を放出する方法が変わるため、完全に新しい冷却システムが必要になった。モノコックは同じだがマウントポイントが異なる。95%新車のようなものだ」
「我々の意見では、2023年参戦時のシャシーは優れていたが、パワーが60kW足りないとなると問題だ。しかし最新の改造でさらに良くなっている」
ヴァンウォールは前出のボーティエだけでなく、昨年のWECでチームのためにドライブしたエステバン・グエリエリとジョアオ・パオロ・デ・オリベイラと継続的な関係を持っているとコレスは説明した。また彼は、別のベテラン耐久レーシングドライバーとマネジメントの仕事を始めたが、その正体は明かされていない。
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