コロナ禍で大幅に縮小していると思われがちなカーAV市場だが、実は落ち込み自体はそれほどではない。その中でAV一体型カーナビの売り上げをカバーしたのが、今回紹介するディスプレイオーディオ(DA)だ。
特に昨年5月に発売され、一時期は品薄でもあったヒットモデル、カロッツェリアの「DMH-SF700」と「DMH-SZ700」は市場の牽引役とも言える商品だ。今回改めて「DMH-SF700」をじっくり使うことでDAの可能性やAV一体型ナビとの購入層の違いなども解説する。
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文/高山正寛、写真/Pioneer、ALPINE、JVCKENWOOD、ベストカーWeb編集部
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■まだまだ認知の低いDAって何?
使い慣れたスマホの画面が大きくなったようなイメージだ
DA自体はざっくりと言えば、従来までのAV一体型ナビゲーションからナビ機能や一部のAV機能を省いた商品だ。
それではカーナビとしては使えないじゃないか、という疑問に対し、用意されているのが、愛用のスマートフォン(スマホ)を接続し、その中にインストールされているナビ(地図)アプリなどを活用、その情報をスマホより大きな画面に表示する。
北米や欧州ではこの考えは結構早く浸透していたし、DAを組み合わせるAppleのCarPlayやGoogleのAndroid Auto、またスマホの画面自体をそのまま表示するミラーリングなどは2014年頃から対応機器が販売、またメーカー純正としても設定されていた。
一方日本では遅れて導入を開始したが、ここ2年くらいで市場でも徐々に受け容れられている。
現在の日本でのスマホ市場は1人が複数台端末を持つことも珍しくは無い。基本的にナビ機能を持っていないDAは価格も安く、アプリもスマホに依存するので、アップデートなどが早い。そして何よりもスマホ自体が通信機器ゆえに簡単にテレマティクス環境を構築でできる点がメリットと言える。
■人気のカロッツェリアのDAは何が違う
2017年発売のカロッツェリア FH-9300DVS。この頃から販売も伸びてきた
実はカロッツェリア自体は2014年からCarPlayとAndroid Autoに対応するDAを販売している。当時としては画期的だったが、まだスマホ側(アプリ)との連携が上手くいかなかったこともあり、マニア向けの商品という側面も持っていた。
FH-9300DVSの後継機であるカロッツェリア FH-9400DVS
しかし2017年に販売開始した「FH-9300DVS」の頃にはスマホとの親和性も十分上がってきており、販売も徐々に伸びてきた。筆者は2018年に後継機となる「FH-9400DVS」を購入したが、前述したようにスマホ側のアップデートにより、例えばナビの地図更新などもかなり早く行われることに満足していた。
そして昨年、前述した2モデルが発売されたが、現在AV一体式カーナビでもトレンドとなっている「大画面」や「ハイレゾ音源再生」を中心に後述するAmazonの音声アシスタントである「Alexa」を標準搭載するなど、商品力を向上させている。
■大画面トレンドをDAに採用
カロッツェリア DMH-SF700。フローティング構造を採用し9V型という大画面ディスプレイを搭載
2モデルのうち、今回改めて使ったのが「DMH-SF700」。最大の特徴は9V型の大画面ディスプレイを搭載したことだ。
標準的な7V型の約1.7倍の大きさゆえに従来までの2DINスペースへディスプレイを組み込むことは物理的に無理。ゆえにこちらもトレンドとなっているディスプレイのみを本体から浮かせるように設置する「フローティング構造」を採用している。
もう1台の「DMH-SZ700」は6.8V型なのでこちらは2DINスペースへの設置が可能。さらに冒頭に述べたように実勢価格が抑えられている点が魅力だ。実際ネット通販などでは本体だけならば6万円前後で購入できる。
一方でさすがに「DMH-SF700」は9V型かつ高解像度のHD画質ゆえに実勢価格も10万円前後と高くなる。この価格差をどう感じるかはユーザーの好みになるが、約4万円の差額を支払ってもHD画質の9V型大画面はやはり魅力的だ。
イチ押しはもちろん「DMH-SF700」だが、予算を抑えたい人は「DMH-SZ700」でDAの世界を堪能してみるのもいいだろう。
ちなみに画質としては「DMH-SZ700」は6.8V型のVGAだ。ナビアプリの地図の見え方だけでなく、Amazonの「Fire TV Stick」などに代表されるメディアプレイヤーとの連携時にもより高画質で多彩なコンテンツを楽しめるのは言うまでもない。
■知っておきたいスマホOSのバージョン
購入の際にはスマホのOSバージョンを確認しておこう。定額でインターネット接続ができるカロッツェリアの車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」はDAとの相性がいい
DAとスマホとの連携のメインはやはり前述したAppleの「CarPlay」とGoogleの「Android Auto」が代表的だ。
純正ナビには国内ではトヨタが中心になって推進しているSDL(スマートデバイスリンク)を含め、いくつか方式はあるが、それぞれ対応したスマホを準備して専用ケーブルで繋げばすぐに最新の環境が起動する点を考えると市販DAではまずはこの2つ対応していれば困ることはない。
日本で販売されているほとんどのスマホがAppleのiOSかGoogleのAndroidなので、自分の所有するスマホを接続すればいいだけだが、あまりにも古いOSのバージョンでは非対応となるケースもある。
例えばこの記事を書いている段階ではiOSは7.1以降、Android OSは5.0以上のバージョンが必要だ。細かく言えばAndroid5.0~9.xxまでは「Android Autoアプリ」のインストールが必要になるが、現在主流になりつつある10.0以降の場合はただ接続するだけで使用することができる。
AppleのiPhoneは概ね1年に1回新商品を発表するが、Android携帯はライセンス契約を行っている各メーカーが頻繁に新商品をリリースしている。DAを使うにあたって、新製品をわざわざ購入する必要は無いが、自分のスマホのOSのバージョンくらいは覚えておいて損はないだろう。
■基本中の基本はナビアプリ
iPhoneとAndroidのどちらにも対応する。ナビの精度は使用するナビアプリ次第だ
少し前置きが長くなったが、実際にスマホを接続すると基本的に2つのサービスには大きな違いが出る。
一例として基本中の基本である「ナビアプリ」に関して言えばCarPlayが標準搭載する「マップ(地図)」アプリのほか、無料アプリで人気の「Yahoo!カーナビ」、有料では高いルート案内や渋滞回避性能を可能にする「カーナビタイム」などにも対応している。
対して、Android Autoはスマホでも利用頻度の高い「Googleマップ」と現在はGoogleの傘下に入っている「WAZE」辺りがメインとなっている。
その点ではメジャーなナビアプリを使える点ではCarPlayの方が魅力は多い。ただ、そのためにわざわざiPhoneに買い替える必要は無いし、Googleマップのナビもルートの癖はあるが、日々のアップデートで使いやすさも向上している(完璧ではないが)。
いずれにせよ「DMH-SF700」はこのどちらにも対応するわけで、コード1本を接続すればすぐに使うことができる。ちなみに両規格ともすでにワイヤレスへの対応も行われているが、車種はまだまだ少なく、今回の商品群も未対応だ。
ただ有線ケーブルによる接続はイコール携帯の充電が行える点やデータのエラーが起きにくく音楽再生時などの音飛びも少ない、などまだまだメリットは大きい。あとはクルマによって異なるスマホの置き場所だけを考えればよい。
■大画面でナビが使える歓び
画面の大きさと画質の良さでかなり見やすい。斜め方向からの視認性も高い
筆者的は普段から2つのサービスを比較しながら使っているが、前述したようにナビに関してはCarPlayで「カーナビタイム」をメインにしている。
理由としてはこのアプリが2018年9月から日本で最初に「CarPlay」に対応したこと。そして2020年8月にはCarPlayの新しい機能である「ダッシュボード」にいち早く対応したからだ。
ダッシュボードはナビの地図画面と再生中の楽曲データや次の交差点案内などを画面を切り替えることなく、一覧表示することができる機能でサードパーティとしては初対応となる。
もちろん有償ゆえに年間のコストはかかるわけだが、お試し期間などを活用してYahoo!カーナビや他のアプリと比較しながら自分にジャストフィットするアプリを選べば良いだろう。
また「DMH-SF700」のディスプレイは上下(高さ)、左右(横)、前後(奥行)、角度の調整が可能なので多く車種への取り付けだけでなく、視認性にも配慮されているが、実際HD画質による画面の美しさは見事で特に斜め方向からでも視認性は十分確保されている点が魅力と言える。
またパネル自体も静電方式を使っており物理的なキーを持たないことで見た目も美しい。
■YouTube動画再生や専用アプリによる高い利便性
使いやすくカスタマイズすることでオーディオ機能なども少ないタップで呼び出すことができる
DAの能力の善し悪しは接続するスマホとの連携がどこまで出来るか、にかかってくる。
ケーブル1本で2つのサービスに対応できることはもちろんだが、ポイントはスマホの能力を引き出す専用アプリである「CarAVAssist」をスマホにインストールすることでWebブラウザー経由でYouTube動画(一部制限あり)も楽しむことができる。
このアプリの優れている点はスマホ側でDAのカスタマイズが行える点で、壁紙やお気に入りのWebサイトの設定、さらにファームウェアの更新にも対応する。
さらに使ってみてこれは良い、と感じたのがホーム画面を初めとしたカスタマイズ機能で、使用頻度の高い機能をウィジェットとして選択するだけでなくサイズの変更も可能だ。
この他にもAVソースやオーディオ設定などのアイコンのカスタマイズも可能。このDAには2名分のホーム画面を作成、記憶できる「パーソナルHOME」機能を搭載しているが、この機能自体も前述したアプリ上で設定が可能だ。
ここで設定した画面はスマホと本体がBluetooth接続された際に自動的に反映される。この部分は使いこなしていく中でそのありがたさが徐々にわかってくる部分と言える。
■音声アシスタントは多彩だが・・・
SiriアイズフリーやGoogleアシスタントはもちろん、DMH-SF700/SZ700はAmazonのAlexaにも対応する
DAのユーザビリティを向上させる音声アシスタント。
CarPlayであれば「Hey Siri」の発話でおなじみの「Siriアイズフリー」が、Android Autoであれば「OK Google」でおなじみの「Googleアシスタント」が使えるので目的地検索や楽曲の呼び出しなど、そしてハンズフリー通話のコントールが音声だけで行える点は両方ともほぼ共通している。
これに「DMH-SF700/SZ700」はAmazonの音声アシスタントである「Alexa」にも対応する。接続するスマホ内のAlexaアプリから専用の「カロッツェリア スキル」を追加(本体のQRコードを撮影するだけ)することで再生ソースの切り替えなども含めた操作を音声で行うことができる。
Alexaに対応するスマートスピーカーやリモコンなどはサードパーティから数多く発売されている。これを活用すれば車内から家電のコントロールも可能だ。現在、Amazonからはこれらを可能にする「Echo Auto」も発売されているが、それをDAに組み込んだのがこの商品の大きな魅力と言える。
■他社も追随、専用機との差別化は?
昨年9月に発売されたケンウッド DDX5020S。各社がDA市場に本腰を入れ始めている
徐々に認知度も上がってきているDAだが、他社も本格的に参入を始めている。
アルパインはネット直販モデルとして11型/9型(2モデル)/7型のDAを今年の1月に発売した。特に11型である「DAF11V」などは同社が展開する「BIG Xシリーズ」の流れを汲むもので、大画面だけでなく、HDMI対応とすることでスマホ内の動画をダイレクトに映し出すことができる。
またDAには地デジチューナーが非搭載の場合が多いのだが、アルパインのDAはオプションで地デジチューナーを追加できる。この点は高いアドバンテージと言えるだろう。
同様にJVCケンウッドからもケンウッドブランドの6.8V型のディスプレイオーディオ「DDX5020S」を昨年9月に発売、CarPlay、Android Autoはもちろんだが、AndroidスマホとUSB接続により動画コンテンツが楽しめる「USBミラーリング」に対応するなど各メーカーとも本腰を入れてきたと言ってもいいだろう。
最後にそれでは今後はDAが主導権を握るのか、という点だが、まだまだAV一体型カーナビの市場は揺るがない。
細かい事だが、スマホを鞄やポケットから出してケーブルで接続してからスマホナビを立ち上げるといった一連の流れに対し、まだまだ面倒くさいと感じている人も多いからだ。
クルマのイグニッションをオンにした瞬間から起動するAV一体カーナビの動きは当たり前と思っている人も多く、実際DAだけでは物足りないのでオプションでナビユニットを設定しているメーカーもあるからだ。
自車位置精度の高さは今のところAV一体型カーナビのほうに軍配が上がる
またDAとナビアプリとの連携による自車位置精度に関してもAV一体カーナビの方が圧倒的だ。
実は「DMH-SF700/SZ700」にはGPSアンテナが付属されている。これ自体がナビアプリの自車位置精度に寄与するかに関してはパイオニアからは位置情報や車速情報をiPhone(CarPlay)に提供しており、位置精度向上等への影響が期待できる、とだけ公表されている。
ゆえにこれが全てのナビアプリに対応しているかどうかは現状では分かっていない。
ただ、冒頭に述べたようにDA最大のメリットはスマホアプリのアップグレードにより、機能向上などがダイレクトにDAで堪能できる点だ。
地図更新なども含めAV一体カーナビも正直うかうかしていられないし、どちらが覇権を握るとかではなく、導入も含め低コストで済むDAか、高い自車位置精度やAV対応能力などを持つ専用機は異なるユーザーを選ぶことになり、両輪で市場を牽引していくことになるだろう。
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