いまや世界が注目する大人気ワンメイクレース、マツダ・グローバルMX-5カップ。10年ぶりに米国レースに復帰したレーサー鹿島がフル参戦し、内側からシリーズの魅力、盛り上がりの秘密を体感した。前編、後編に分けて、5大ニュース形式でお伝えする!TEXT:レーサー鹿島(RACER Kashima)PHOTO:マツダ・グローバルMX-5カップ(MAZDA GLOBAL MX-5 CUP)
【ニュース4】ジェントルマンレーサーが参戦する理由は?
“世界につながるレース”マツダ・グローバルMX-5カップに見る、無限の可能性 ~米国シリーズ フル参戦のレーサー鹿島が語る【前編】
マツダ・グローバルMX-5カップ米国シリーズは、ステップアップの夢をかけて挑む若手ドライバーが約7割を占めているが、私を含めて40歳以上のベテランも8名参戦している。私と同じように、フォーミュラカーのほか、ポルシェカップなどの経験者も多く、「絶対速度やラップタイムは比較にならないが、このシリーズはバトルの激しさがズバ抜けていて面白い」と語る。
実際、スタート直後は最大6台のマシンが横並びになり、レース中も3ワイドは当たり前の混戦が繰り広げられる。経験上、サイドミラーが両方とも正しい位置にあるままゴールすることの方が少ない(笑)。
インディカーの統括下にありレギュレーションは厳格ではあるが、フェアなバトルに関しては多少の接触や止むを得ないプッシングなどは不問に付されることが多く、このあたりもシリーズの魅力を底上げしていると感じている。
もうひとつ大きな理由は、本稿の前編でも書いた通りチャンピオンが20歳、14歳のルーキーが優勝していることが表しているように、ベテランとレース界の未来を担う有能な若手が混在している点である。若手はベテランから学び、ベテランは世代の異なるフレッシュなドライバーたちの情熱から刺激を受けて高いモチベーションを維持している。
【ニュース5】「ライバルであり、ファミリー」
マツダ・グローバルMX-5カップ米国シリーズの最終戦が終わった夜、激戦の舞台となったサーキット、ニューヨークのモンティシェロ・モータークラブ内の自動車ミュージアムで年間表彰パーティが開催された。
北米マツダのモータースポーツディレクター、ジョン・ドゥーナンの挨拶がシリーズのムードを如実に表している。「今日ここにいるすべての皆さんはファミリーです。今日のレースで年間タイトルを奪い合ったニッコーもブライアンもファミリー。ミッドオハイオでバトルをして優勝した14歳のロバートも44歳のハーナンもファミリー。チームも、タイヤメーカーもスポンサーも、マツダファミリーです!」
シリーズチャンピオンを獲得し、約2200万円のスカラシップ(奨学金)を手にすることができるのは1名だけ、それだけに毎レース、壮絶なバトルが繰り広げられ接触やクラッシュも多いが、レース後にパドックで揉めるシーンなどは皆無。お互いがリスペクトし合いながら“同じ夢”を追っている。
日本ラウンドのシリーズチャンピオン、堤優威が先週末、オートポリスで開催されたFIA-F4にスポット参戦、初日の練習走行後にアップしたSNSに、シリーズを共に戦ったベテランの村上博幸から激励のコメントが書き込まれていた。返信コメントは「ロードスターで学んできたことを発揮してきます!」日本でもアメリカでもマツダ・グローバルMX-5カップを通じて“マツダファミリー”マインドが熟成されている。
マツダ・グローバルMX-5カップとは?
マツダが米国で展開するトップドライバー育成システム、スポーツカー耐久レース「IMSA」を頂点とする「MAZDA ROAD TO 24」の重要な登竜門として日米で開催。日本シリーズを制したドライバーには「世界一決定戦」の出場資格が与えられ、“世界”に通じる道が開かれることが最大の魅力。
<筆者プロフィール> レーサー鹿島
レーシングカートチャンピオン獲得後、「全日本F3」などを経て、2000年代には米国「インディライツ」に参戦、今季はマツダ・グローバルMX-5カップ米国シリーズにフル参戦。“世界”への挑戦経験を活かし、独自の視点でマツダのドライバー育成システムを取材している。FMラジオ「ドライバーズ・ミーティング」は20年目を迎えた。
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