バイデン大統領の当選で、電動化阻止最後の砦? だったトランプ大統領の退陣が決まり、世界の流れは完全に決した。ややあいまいだった日本も2035年までに、純内燃機関車(ガソリン車・ディーゼル車)の新車販売終了の方針を決定。小池東京都知事もそれを「2030年まで」に前倒しする方針を発表した。
日本の場合は、ハイブリッド車を電動車に含めているから、2035年以降、クルマから内燃機関そのものが消えるわけではないが、純ガソリン車の新車は、近い将来買えなくなる。
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なくなると聞くと、逆に欲しくなるのが人間の性だ。いまのうちにガソリン車を買って、クルマ好きのあがりの準備をしておこう、と思い始めている人は少なくない。
そこで今回は、モータージャーナリストの清水草一氏が、現在新車で買える純ガソリン国産車のうち、今買っておいて家宝として永年所有したい名車を5台選んでみた。
文/清水草一
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 トヨタ 日産 マツダ スズキ
【画像ギャラリー】清水草一氏がセレクトした国宝級の純ガソリン車ラインナップ
日産GT-R NISMO 2020年モデル/2420万円
日産GT-R NISMO 2020年モデル。全長4690mm×全幅1895mm×全高1370mm
GT-Rの頂点、NISMOのスバルタンなインテリア。搭載されるエンジンは3.8L、V6ツインターボのVR38DETT型で600ps/66.5kgmを発生
あえて説明するまでもないですね。これまでのGT-Rのエンジンも猛烈にパワフルだったけど、2020年モデルは、タービンの改良によってレスポンスが素晴らしく高められている。
スタンダードモデルでも十分すぎる「あがりのガソリン車」だが、NISMOは特別中の特別。非常に高価だが、これが最後の、そして究極のGT-Rになることを考えれば、たまに舐める程度に乗りつつ、家宝として大切に車庫にしまいこんでおいて損はないだろう!
私は公道でちょこっと乗っただけですが、「こんなの、公道でどうせーっちゅーねん!」というウルトラハイパフォーマンスぶりが、果てを見られない宇宙みたいで、まさに「あがり中のあがり」。
心配は、今から注文しても買えるのかどうかだけだ。中古車は値上がりが必須。わかんないけど20年後には5000万円になっているかもしれない……。
レクサスLC500コンバーチブル/1500万円
レクサスLC500コンバーチブル。全長4770mm×全幅1920mm×全高1350mm
ソフトトップは約50km/h以下の走行時でも開閉可能で所要時間は約15秒。搭載されるエンジンは5L、V8NAエンジンで477ps/55.1kgmを発生
5L、V8自然吸気エンジン搭載というだけで、現状すでに完全な絶滅危惧種であり、世界遺産級だが、このエンジンとLCコンバーチブルとのマッチングがすさまじく絶妙!
まず、絶対的な速さを求めたクルマではなく、ラグジュアリーなオープンスポーツである点が、このエンジンと実に相性がいい。
ボディはクーペに対して100kg重くなり2トンを超えているが、トヨタの5L、V8は、この重量級のオープンボディをエレガントに加速させるのに最適。加速が鋭すぎない分、逆に回転の上昇が長時間楽しめるという恩典もある。
そしてそのサウンドは、室内に引き込まれた吸気音(サウンドジェネレーター)のセッティングにより、フェラーリの現行モデルをも凌ぐ、すばらしく甘美な高音を響かせる。もうこの音だけでとろけるぜ!
こんなエンジン、今後は絶対に開発されないし、もういつ消えてもおかしくない。20年後、30年後には、これまた立派な財産になっている……かもしれない。
スカイライン400R/562万円
日産スカイライン400R。全長4810mm×全幅1820mm×全高1440mm。搭載されるエンジンはVR30DDTT型3L、V6ターボで405ps/48.4kgmを発生する
1500万円から500万円台に下がると、相対的にものすごく安く感じます。もちろん絶対的には十分お高いですが……。最高出力405ps、3L級としては日本最強のV6ターボだ。
ターボらしい、ず太いトルクを低い回転から絞り出しつつ、上まで回せば「ドッカーン!」とパワーが爆発する。
このパワーの明確な爆発感は、近年のフラットトルクなターボとは一味違って、実に野蛮でステキである。このクラスで、こんな野趣あふれるフィールのエンジンは、世界中見渡してもあまり思い浮かばない。
2021年末にも登場予定の新型フェアレディZにも、このエンジンのバージョンアップ版が搭載されると予測されるので、もちろんそっちでもいい。
ガソリン車のあがりとして、一番パワフルなスカイラインかフェアレディZを買うなんて、クルマ好きの死に様としてカッコいいじゃないですか! あ、まだ死にませんね。失礼しました。
マツダロードスター1.5/260万円~
クルマを自分の意志で操る感覚、人馬一体感が味わえるロードスター。全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mm
コクピットはほどよいタイトさで質感も高い。搭載されるエンジンは132ps/15.5kgmを発生する1.5L、直4のNA
現行ロードスターの登場から5年あまり。5年たってもロードスターは世界の最高傑作であり、不朽の名作だ。しかもRFの2Lではなく、ソフトトップの1.5を強く推奨したい。
やっぱりデザイン的にソフトトップのほうがずっと美しくて粋だしエレガントだし、ロードスター本来の姿だし、エンジンフィールも軽やかでピュアなので。
約1年前のマイナーチェンジで、ロードスターは微妙にいろいろな変更を受けた。足回りについては何のアナウンスもなかったが、明らかにハードになり、登場当初のふわ~っとした乗り味が失われたのは残念だが、こっちのほうがいいという人も多いようなので、いいでしょう。
1.5Lエンジンは、細かい改良を重ねた結果、より軽やかでサワヤカで、ほんのちょっとレーシングエンジンっぽい、小気味いいものに仕上がっている。首都高のトンネルでは、音量は小さいものの、かなり心地よく響いてくれる。
大排気量大馬力のエンジンでガソリン車をあがるのもいいけれど、こういう控え目でサスティナブルなエンジンを積んだ、希代の名車であがりを迎えるというのもオツではないでしょうか。
年を取れば取るほどに、この控えめで風情がココロに響くような気がしてなりません。現行ロードスターは不滅の名車なので、これを選べば間違いナイ!
スズキアルトワークス/153万7800円~
全長3395mm×全幅1475mm×全高1500mm。FF・5速MTモデルの重量は670kgと超軽量。搭載される658ccの直3インタークーラー付きターボは64ps/10.2kgmを発生。価格は2WDが153万7800円、4WDが164万7800円。2ペダルMTの5AGSは4WDのみで168万6300円
ロードスターよりさらにサスティナブルで、「これを禁止するのってどうなのよ!」と言いたくなるハイパワー系ガソリン車、それがアルトワークスだ!
軽スポーツとしては、S660もすさまじい名車なのですが、830kg(6速MT)と車体がやや重いぶん、やっぱり加速が……。ミドシップでトラクションが良すぎることもありますけど、どうにも物足りなく感じてしまう。
その点アルトワークスのFF/5速MTモデルは、わずか670kg! なんと160kgという重量差! しかもトラクションに不利なFF! つまりじゃじゃ馬感はアルトワークスのほうがはるかに高い。ガソリンエンジンを愛でるという意味においては、アルトワークスのほうがずっと適している。
アルトワークスのFF/5速MTモデルで老後を迎え、ご近所でガソリンエンジンの悦楽をちびちびと味わうなんてのも、盆栽趣味っぽくてステキじゃないかなぁ。
あがりの純ガソリン車は走行禁止になるか心配だ
純ガソリン車は新型86&BRZや新型フェアレディZのデビューが予定される
さて、これら「あがりのガソリン車」を買った場合、最大の心配は、「いずれ、ガソリン車の走行自体が禁止されるのではないか」ということだ。
とりあえずいまのところ、ヨーロッパでも、ガソリン車"走行禁止"の議論は出ていない。欧米はもともと古いクルマを大事にする文化があるので、最終的に年間走行距離に制限が設けられるなどの可能性はあるが、走行禁止措置は「ない」のではないだろうか……。
一方日本には、古いクルマを大事にする行政文化はないので、心配は心配。東京都が「ディーゼル車NO作戦」を宣言し、独自の排ガス規制基準を満たさないディーゼル車の乗り入れを禁止した過去もある。
しかし、日本の場合は2035年以降もハイブリッド車をOKにする方針でもあり、早い段階で「ガソリン車の走行禁止」が発動される可能性は、欧米よりむしろ低いのではないか。
次なる心配はガソリンスタンドの減少・消滅だが、それについても、ハイブリッド車が存続できるので、急激に消滅に向かうことは考えられない。
もちろん、世の中何が起きるかわからない。EVのコストが劇的に下がり、ガソリン車が非常にゼイタクな存在になれば、状況はまったく変わってしまう。CDショップがほとんど消滅したように、ガソリンスタンドが意外と早期になくなる可能性もある。
でも、CDショップは絶滅寸前でも、よりレトロなレコードショップは生き残っているので、ガソリン車ファンとしては、そちらの可能性に賭けたいと思います! 今の水素ステーションより少なくなることはないだろう……。
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電池は希少金属だし、劣化するし、コスト高いし、それよりも鉛蓄電池や蓄熱式機器を各家庭に導入した方が良くないか?と思います。