11月5日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されたスーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』の決勝レースは、途中雨が降り出すなど非常に難しいコンディションとなったが、予選2番手からスタートした小暮卓史/元嶋佑弥組JLOC Lamborghini GT3が優勝を飾った。意外にも小暮にとってはGT300での初優勝、そして元嶋にとっては嬉しいスーパーGT初優勝となった。そして、古豪JLOCにとっても嬉しい勝利となった。
1994年のJGTC全日本GT選手権初年度から、一貫してランボルギーニでの参戦を続けるJLOCにとって、2023年は苦しい一年となった。第3戦鈴鹿では87号車Bamboo Airways Lamborghini GT3がクラッシュ。第4戦富士からは88号車JLOC Lamborghini GT3に待望のウラカンGT3エボ2を投入するも、なかなか成績が残らなかった。
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ウラカンGT3エボ2はヨーロッパで多くの好結果を残している車両だが、スーパーGTではなぜ苦戦を強いられるのか……。JLOCの則竹功雄代表は「DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)をはじめ、向こうでは勝っているのに、なんで日本では勝てないんだろうかと一時は『我々が弱いのかな?』と悩んだ時期もありました」という。
ただ、10月の第7戦オートポリスにはイタリアからエンジニアが駆けつけた。元嶋は「エボ2を導入してからも苦しんでいましたが、前回のレースからイタリア本国からエンジニアさんが来てくれて、今回さらにたくさんの力を入れてくれました」という。「僕たちのレースをサポートしてくれて、ようやくウラカンGT3エボ2のポテンシャルを引き出すことができた最初のレースにできたと思います」と元嶋は、今回の第8戦もてぎがついにウラカンGT3エボ2の力が引き出されたレースだったと語った。
「今週は走り始めからスピードがあることが分かっていました。決勝ペースは自信がありましたし、ファーストスティントはミスしない、ぶつからないことを意識しながらも、今日はやらなきゃいけない、攻めるべきレースだと自覚して、トップに立ってからもとにかくタイヤを大事に、クルマを大事にしながら必死にプッシュしました。ヨコハマタイヤも無理なプッシュに応えてくれました」
後半スティントを担当した小暮も、「今日は元嶋選手の走りが冴えていて、その走りがあったからこそ後半戦に繋がったと思います。僕のスティントでは『なんでこんな雨が降るんだ。参っちゃうな』と思っていましたが、なんとか防ぎきることができました。残り10周が長くて大変でしたが、優勝できて良かったです。チームのみんなにも、元嶋選手にも、もちろん則竹会長にも感謝しています」と振り返った。
常にGT300クラスでも速さをみせてきたふたりだけに、GT300での初優勝は意外にも思えるが、「スーパーGTに参戦してから8年目、JLOCに加えていただいて7年目、小暮選手と組んで6年目となりますが、これが初優勝となりました。今まで何度も優勝できるチャンスがあるなか、こぼれ落ちていくことがたくさんあり、辛い思いをしてきました。今回のもてぎでも、小暮選手が走っている後半を観ている方が辛いくらいでした」と元嶋はようやく掴んだ勝利に、喜びと感謝を露わにした。
またGT500チャンピオン経験者である小暮も、「GT300クラスに参戦してから、優勝することがこんなにも難しいのかと思っていました。GT500ももちろん難しいんですが、GT300クラスなりの難しさがあるなかで、元嶋選手と難しい時期を過ごしてきましたし、とにかく優勝したかったです」とその思いを語っている。
「GT300はレギュレーションも含めてとにかくすべてが噛み合わないと勝てないレースです。そのなかで、元嶋選手と組んで6年という年月が経ってしまいましたが、なんとか早く優勝したいという心のつかえがありました。今回優勝できたことで、正直嬉しいのに加え、解放されたような気持ちです」
苦労を重ねてきたふたりを信じ、起用し続けてきたJLOC則竹代表にとっても「本当に長かったですね。びっくりするくらい。いつも勝てそうで勝てなくて、勝てそうなときに限って問題が起きてしまったり。そんなことの繰り返しでした」と嬉しい勝利となった。
「今年はJLOCとしてスーパーGTに参戦してから30年目なんです。そのシーズンの最後のレースで優勝できたので、やってきて良かったと言いますか、ご縁があったと言いますか。とにかく良かったです。今日の88号車なら勝てますし、チャンピオンも獲れると思っています。小暮選手も元嶋選手も速いドライバーですから、ぜひ来シーズンも応援してください」
小暮卓史と元嶋佑弥という、誰もが認めるスピードを誇るふたりと、解き放たれた“猛牛”のポテンシャルがついに花開いた。GT300クラスも来季に向けて多くのストーブリーグの動きがありそうだが、このポテンシャルが2024年も続けば、ライバルたちにとっての脅威となるのは間違いないだろう。
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