現地時間10月29日、2023年F1第20戦メキシコシティGP(メキシコGP)の決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季16勝目を飾った。2位にルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続いた。角田裕毅(アルファタウリ)は12位となった。
標高2300mの高地に位置するアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスを舞台に開催されるメキシコシティGP。今大会のドライタイヤはC3タイヤがハード(白)、C4タイヤがミディアム(黄)、C5タイヤがソフト(赤)と、最も柔らかめのコンパウンドとなる。
スタートタイヤは、ほとんどの車両がミディアムを選択。14番グリッドのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、15番グリッドのエステバン・オコン(アルピーヌ)の2台はハードをチョイス。17番グリッドから追い上げにかけるランド・ノリス(マクラーレン)はただひとりソフトを選択した。
天候は青空が広がる晴れ。気温25度、路面温度48度、湿度28パーセントというコンディションのなか、現地時間29日14時(日本時間30日5時)より71周の決勝レースはスタートを迎えた。
フロントロウを占めたフェラーリ勢だったが、抜群の蹴り出しを見せたのは3番手スタートのフェルスタッペン。2番手カルロス・サインツ(フェラーリ)をかわし、フェルスタッペンはポールスタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)のイン側に並ぶ。また、5番手スタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)も「今季一番だった」と本人がコメントするほどの見事なスタートを決め、ルクレールのアウト側に並んだ。イン側からフェルスタッペン、ルクレール、ペレスと並んだまま3ワイドで右コーナーのターン1へ進入。
しかし、ここでペレスとルクレールというアウト側の2台が接触。ペレスのマシンが跳ね上がり、エスケープゾーンへ。ペレスは自走でピットに戻ったがガレージにマシンを収める。地元の猛烈な声援の後押しを受けたペレスだったが、サイドポッドを損傷し早々にリタイアする結果に。ルクレールはフロントウイングのエンドプレートを破損したが、走行を続ける。
これでフェルスタッペン、ルクレール、サインツ、リカルド、ハミルトンというトップ5に。また、18番手スタートの角田はスタートでフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、ランド・ノリス(マクラーレン)をパスし14番手に浮上した。ルクレールのマシンから落ちたパーツを拾うため、5周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)導入となるも、6周目にはグリーンに。
8周目のターン1で角田がケビン・マグヌッセン(ハース)にアウトから仕掛けるが、そのままコースオフ。ここでフラットスポットができたか、ペースがガクッと落ちた角田は、全車で最も早い9周目にピットに入り、ハードタイヤに履き替える。角田は12周目にソフトからハードの交換したノリスに先行されることとなった。
11周目のターン1でハミルトンがリカルドを攻略し4番手に浮上。一方、トップのフェルスタッペンはフェラーリ勢を18周目時点で4.6秒引き離していたが、19周目に上位勢で真っ先にハードタイヤに交換。7番手でコースに復帰したが、そこからは22周目のターン1でラッセルを、23周目のターン1でピアストリと、ステイ組を易々とオーバーテイクする。
25周目にハミルトンがミディアムに交換すると、フェルスタッペンはサインツの3秒後方の3番手に浮上する。フェラーリ勢は1ストップを念頭にペースをコントロールするが、フェルスタッペンはファステストを更新しつつ、毎周1秒フェラーリ勢に接近すると29周目のターン1でサインツをパスする。リカルドは28周目にピットイン。ピアストリ、アルボン、ラッセルらの隊列の前6番手という好位置でコース復帰。一方、角田は30周目にランス・ストロール(アストンマーティン)をかわし11番手に浮上する。
31周目にはサインツがハードタイヤに交換するが、ハミルトンの後方で復帰。32周目にはルクレールがハードに履き替え、ハミルトンの2.7秒前でコースに戻った。これでフェルスタッペン、ルクレール、ハミルトン、サインツ、リカルドのトップ5に。なお、33周目時点でフェルスタッペンとルクレールは16秒差まで広がっていたがその直後、33周目のターン8でマグヌッセンがクラッシュ。
これでセーフティカー(SC)導入に。この好機を活かそうと、フェルスタッペンは34周目に2度目のタイヤ交換で新品のハードに交換。同じ周にはノリス、アルボンがピットにはいるが、24周ハードタイヤで走行を続ける角田はステイを選択。その直後、マグヌッセンのマシンからは火も出たこともあり、レースは赤旗となる。赤旗中はタイヤ交換が認められるため、ステイした角田の作戦は的中する方かたちに。
赤旗導入中の35周目時点でフェルスタッペン、ルクレール、ハミルトン、サインツ、リカルド、ピアストリ、ラッセル、角田、ヒュルケンベルグ、ノリスというトップ10に。
長時間の赤旗中断を経て、レースは36周目にスタンディングスタートで再開されることとなった。ここで3番手ハミルトン、6番手ピアストリ、7番手ラッセル、9番手ヒュルケンベルグ、10番手ノリスらはリスタートの蹴り出しを重視しミディアムに交換。なお、8番手の角田は新品のハードに履き替えている。
リスタートで一時は7番手に浮上した角田だったが8番手でターン1を立ち上がった。リスタート序盤はやはりミディアム勢の勢いがよく、ハードタイヤの角田はミディアムのアルボンに接近されるもポジションを死守する。一方、10番手でリスタートを迎えたノリスは大きく出遅れ14番手に後退する。
38周目にフェルスタッペンはファステストを更新。改めて後続とのギャップを広げにかかる。40周目のターン1でハミルトンがルクレールをかわし2番手に浮上。ハミルトンはミディアムの優位性もあり、フェルスタッペンと同じ1分21秒台のペースで周回するが、2台のギャップは着々と広がる。
リスタートからピアストリを追い立てた角田だったが、なかなかミディアムタイヤのピアストリを攻略できず周回が続いた。幾度とポジション争いが続いたなか、49周目のターン1でアウト側から仕掛けた角田はピアストリと接触しスピン。これで角田は16番手に後退し、ポイント圏外に後退。アルファタウリ待望のダブル入賞のチャンスが潰えることに。
56周目、ピアストリに対しマクラーレンチームからチームオーダーが飛び、ピアストリはペースの良いノリスに7番手の座を譲る。ノリスはリカルドとのギャップを1周0.5秒速いペースで間合いを詰めると、60周目のターン4でオーバーテイクし6番手に浮上する。リカルドの背後にはピアストリが接近するが、64周目に自己ベストタイムをマークする走りでピアストリを寄せ付けない。ミディアムタイヤのデグラデーション(性能劣化)があまり出てこないなか、ベテランらしい走りで入賞圏内を守り続ける。
追い上げを見せるノリスは、5番手ラッセル背後につくと67周目のターン6で攻略。ノリスが5番手に浮上する。一方、65周目のターン15ではバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)とランス・ストロール(アストンマーティン)が接触。ストロールはピットに戻り、レースを終えることに。アロンソのマシントラブルもあり、アストンマーティンは2台揃ってチェッカーを受けることができなかった。
71周目を終え、2023年F1王者フェルスタッペンが3番手スタートから今季16勝目を飾ると同時に、F1の年間最多記録を更新した。13.875秒差の2位にハミルトン、3位にポールスタートのルクレールが続いた。4位サインツ、5位ノリス、6位ラッセル、7位リカルド、8位ピアストリ、9位アルボン、10位オコンまでがポイント獲得。ハミルトンはファイナルラップに1分21秒334のファステストラップをマークし、さらにポイントを重ねた。
リカルドは今季初ポイントを手にし、アルファタウリのベストリザルトを更新。リカルドの入賞により、アルファタウリはアルファロメオと同ポイントのコンストラクターズ8位に浮上している。角田は接触後、入賞圏内に返り咲くことは叶わず、12位でメキシコシティGPを終えた。
次戦となる2023年F1第21戦サンパウロGPは、11月3~5日にブラジルのアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(インテルラゴス・サーキット)で開催される。
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