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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記──Vol.1 メルセデス・ベンツ500E

掲載 更新 7
俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記──Vol.1 メルセデス・ベンツ500E

近年、1980年代前後に販売されたちょっと古いクルマ、通称“ヤングタイマー”に注目が集まっている。そこで、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両を取材する。第1回はメルセデス・ベンツの超高性能セダン「500E」。

ポルシェとメルセデスのコラボレーション

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「以前からメルセデスのミディアム・クラスは気になっていましたが、間近で見るとやっぱり魅力的ですね。台形のテールランプ・デザインなどがスタイリッシュです」

俳優・永山絢斗さんは、1992年型の500Eを見て、目を輝かせる。これまで街中やウェブではミディアム・クラスを見ていたけれども、間近で見るのは初めてとのこと。

フロントシートに乗り込むと、「いまのメルセデスとはインテリア・デザインが異なりますね。当時のメルセデスならではのクオリティの高さをはじめて感じました」

500Eのもとになるミディアムクラス(124シリーズ)は1985年に登場した。“コンパクトクラス”と呼ばれた123シリーズの後継になる。ボディ形状は4ドア・セダンを中心にステーションワゴンや2ドア・クーペ、6ドアのリムジンモデル、モデル後半に追加されたカブリオレなど多種多様だった。

外装は、すでに登場済みだったエントリーモデルの「190E」の流れを汲む。実際、多くのパーツを190Eと共用していた。Cd値は0.29で、世界トップクラスの空力性能を誇った。

上質な素材を使った内装は、快適性も向上。上級グレードにはオートエアコンや電動フロントシート、クルーズコントロールなどが採用された。

124シリーズにあって、500Eはスペシャル・モデルだ。「やっぱり“V8”を搭載しているので、エンジンルームは迫力がありますね」。

500Eは1991年に追加されたハイパフォーマンス・ヴァージョンだ。フロントには当時の「500SL」(R129)とおなじ5.0リッターV型8気筒ガソリン・エンジンを搭載する。最高出力330ps/5600rpm、最大トルク490Nm/3900rpmを発揮し、1700kgのボディを250km/hまで引っ張った。

500Eの開発にあたっては、当時、経営不振に陥っていたポルシェも参画し、製造の一部工程も、ポルシェのツッフェンハウゼン工場が担った。

「ポルシェとメルセデスのコラボレーションというわけですね。500E以外にもあるのでしょうか?」と、永山さん。あとにも先にも500Eのみだ。したがって、500Eはミディアム・クラスのなかで、とくに高い人気を保っている。

「普通のミディアム・クラスと異なる外装がワイルドですね。ワイドフェンダーなどが、走りのよさを予感させます」

500Eは、ほかのミディアム・クラスと異なり多数の専用パーツを装着する。16インチのアルミホイールや前後バンパーなどは専用デザイン。高性能化に伴いサスペンションやブレーキ、トランスミッションも強化されている。さらに、安全性も考慮され、ABSやトラクションコントロールも標準化された。

状態の良い500Eの多くが国外へ

直列4気筒と直列6気筒がメインのミディアム・クラスに、V8エンジンを搭載した500Eの弱点は?

「大きなウィークポイントはありません。V8エンジンだからといって、熱害もほぼありません。夏場でも問題なく乗れますよ」

取材した500Eを販売するグラーツ・オートモビールの副社長・平岡佐門氏はそう述べる。“1年中、フツーに乗れる”と聴いて永山さんは驚き、そして「維持していく上でのコツを教えてください」と訊く。

「年式が年式ですから、普段から“急”のつく動作を控えるなど“優しく”そして“丁寧に”扱うのが大切です。あとは定期的な整備・点検を怠らないことが重要です」

さらに平岡さんは「ガレージに眠っていたクルマのほうが、のちに整備費用が掛かるケースはよくあります。それなりに普段から走っている個体の方が、内燃機関などのコンディションは良いかもしれません」と、話す。

ちなみに取材した個体の走行距離は約15万km。年間約5500km走行の“理想的な状態”であるという。

そんな500Eの価格は? 永山さんは「900万円ぐらいでしょうか……?」と、予想する。

「現在、価格は“応談”になっていますが、実際の販売価格は550万円です」(平岡さん)

約15万km走った個体であるものの、コンディションを考えれば「非常にお買い得かもしれません」と、平岡さん。しっかり整備をすれば、20万km、いや30万kmを超えても問題なく走るという。ちなみに、低走行距離の個体であれば1000万円を超えるケースもあるようだ。

「内装の状態も15万km走った個体とは思えないほど綺麗でしたね。レザーとファブリックとのコンビネーション・シートも、今見ると新鮮なデザインですね」(永山さん)
「ほとんどの500Eがフルレザー・シートですから、コンビは珍しいです。日本人のユーザーは丁寧にクルマを乗る傾向が強いので、この個体も、内装のコンディションは上々です」(平岡さん)

日本にある500Eの多くは丁寧に乗られているという。そのため近年は、国外への流出が止まらないそうだ。新車販売当時、日本に上陸した500Eの正規輸入車は1184台で、並行輸入車もあわせると約3000台に達した。このうち、かなりの数が国外へ輸出されてしまったため、日本の中古車市場では、程度の良い500Eが激減しているそうだ。

「この500Eは走行距離こそ伸びていますが、状態と価格のバランスを考えれば貴重な1台です」(平岡さん)

相場が上昇傾向にある500Eのなかでも、この個体は、たしかにお買い得かもしれない。永山さんが“900万円ぐらい”と評価しただけあって、コンディションはかなり良いと思われる。日本の中古車市場で、500Eの流通数が激減している今、気になる1台であった。

【プロフィール】

俳優・永山絢斗(ながやまけんと)

1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。

【取材協力】
グラーツ・オートモビール株式会社
〒158-0082 東京都世田谷区等々力2-36-6
TEL:03-3702-0066/FAX:03-3702-0130

【衣装】
パンツ ¥ 7,700 (JANTIQUES/03-5704-8188)
シャツ、シューズ、ベルト、ソックス/スタイリスト私物

まとめ・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア・松本明男 メイク・中村了太 撮影協力・グラーツオートモビール

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みんなのコメント

7件
  • 前期車を後期仕様にされた個体は多かった。

    もったいないと思いつつも、当時の扱われ方はひどく、変な感性の方がたくさんいた。
  • この店、第三京浜が環八に接続する近くのとこでしょ。いつも「オ!」ってクルマが展示してあって信号待ちの間、見入ってしまう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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