現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【翼を持ったサルーンが輝いた時代】テールフィンはアメ車だけじゃない! 特徴的なテールフィンを持つ2台のイタフラ車をピックアップ!

ここから本文です

【翼を持ったサルーンが輝いた時代】テールフィンはアメ車だけじゃない! 特徴的なテールフィンを持つ2台のイタフラ車をピックアップ!

掲載 7
【翼を持ったサルーンが輝いた時代】テールフィンはアメ車だけじゃない! 特徴的なテールフィンを持つ2台のイタフラ車をピックアップ!

1950年代終盤から60年代初頭に、アメリカ車で爆発的に流行したテールフィン。ヨーロッパにも流行は波及し、とりわけサルーンで採用されることが多かった。この時代に登場した一見よく似た2台を、詳しく見てみよう。

デザインは似ていても中身は全然違う!?

【魅惑の英国車ワールド】階層社会が生み出した小型高級車、ミニベースの3ボックスサルーン『ライレー・エルフMK-III』

1950年代後半から60年代前半にかけてのカーデザインの流行と言えば、テールフィンを思い出す人が多いだろう。

もちろんこのテールフィンはアメリカが火付け役だけれど、ヨーロッパにも影響を受けたクルマは多い。メルセデス・ベンツやBMCなど、多くのブランドが同様のスタイルを取り入れ、独自の価値観を貫く傾向が強いイタフラ勢も洗礼を浴びていた。

【写真31枚】翼を持ったサルーンが輝いた時代、テールフィンを持つ特徴的なイタフラ車2台をギャラリーで見る

写真の2台を見れば説明するまでもないだろう。アルファ・ロメオ2000ベルリーナとプジョー404ベルリーヌ。どちらもファミリーセダンで、スタイリングはもちろん、色もライトグレーとシルバーで近い。そのためアルファに置いてあった自分のバッグを取り出そうとプジョーのドアを開けに行ってしまったほどだ。

興味深いのは、どちらもクーペやオープンカーのバリエーションを持っていたのに、それらはここまで明確なテールフィンを生やさなかったこと。パーソナルカーは自己主張が大事なのに対し、セダンは不特定多数のユーザーに振り向いてもらうべく、トレンドに乗ったのかもしれない。

でも結果から言えば、似ていたのはエクステリアぐらい。似たようなサイズとスタイルのセダンがここまで違うのか! と感心するほどだった。

1960 ALFA ROMEO 2000 BERLINA

ところでアルファの2000というとまず思い出すのは、旧型ジュリアをベースにホイールベースを伸ばし、軽合金製ツインカムの排気量を拡大したモデルではないだろうか。でもこのとおり、その前にもアルファの2000はあった。1950年に初の量産車として登場した1900の進化版で、57年にデビューしていた。

よって直列4気筒DOHCはスティールブロック。2リッター版は1900の途中から、スーパーのグレードとともに用意されており、ディスコボランテの愛称で有名なスポーツカー1900C52の心臓も、ボアの数値が微妙に違うけれど2リッターだった。トランスミッションはこの時代では珍しく全車5速MT。さすがアルファだ。

ベルリーナのほかクーペのスプリントとオープンのスパイダーがあったボディバリエーションは、初代ジュリエッタやジュリアと同じ。この時代のアルファのしきたりだったのだろう。

ただし1900の時代はさまざまなカロッツェリアが手掛けていたスプリントとスパイダーは、前者はベルトーネ、後者はツーリングが基本になった。その後のジュリアクーペがこのスプリントに似たスタイリングで登場したことを知っている人もいるだろう。

生産台数は約7000台と、高級車だったこともあり少なめ。ボディ別でもっとも多かったのはスパイダーで、セダンはイマイチだった。そこでアルファは1961年、2.6リッター直列6気筒エンジンを新開発して、フロントマスクをモダナイズしたボディに載せた。これが2600だ。

1966 PEUGEOT 404 BERLINE

404がデビューしたのはアルファ2000から3年遅れの1960年。こちらは4年前に登場していた403の発展型だが、403はその後1966年まで廉価版として生産が続いていたから、車格で言えば上となる。

プジョーがピニンファリーナとの関係を公式に発表したのはこの404から。ボディはベルリーヌのほか、ファミリアール・ブレーク・コマーシャルからなるワゴン/バン、製造もピニンファリーナが行ったカブリオレとクーペ、主として新興国向けのピックアップがあった。

直列4気筒OHVのエンジンは主力が403の1.5リッターから1.6リッターになったうえに、スマートなボディに合わせてブロックがスラントしていた。試乗車もそうだったがインジェクション仕様もあった。403から採用していたディーゼルエンジンもある。4速MTが基本だが、ガソリン車には3速ATも設定された。

生産台数は約288万台で、かなりの成功作と言えるが、これには注釈が必要だ。1968年には後継車の504が登場したのに、その後7年間フランスで作り続けられ、ケニアでは1991年まで生産されていたのだから。ちなみにボディ別でもっとも多かったのはセダンで、次がピックアップだったというのも興味深い。

このように生きた時代はほぼ同じ。スタイリングも似ている。でもディテールを観察していくと、けっこう違う。全体的にアルファのほうが凝っているのだ。盾の周囲とか、サイドモールの付け方や太さとか、ジェット噴射を思わせるバンパーの穴とか。でも最後は演出ではなく、左の穴はちゃんと排気の出口になっていた。

それに比べるとプジョーは端正。でもプロポーションはバランスが取れているし、無駄な線や面がないからこそ、リアウインドーからテールフィンにかけての流れなど、魅せるところがしっかり伝わってくる。さすがピニンファリーナだ。

ボディサイズはアルファのほうがひとまわり大きく、全長は300mm近くも違うのに、ホイールベースの差は70mmにすぎないところも、お国柄を感じる。フランス車のホイールベースが長めというのは、この時代の後輪駆動セダンにも当てはまるのだ。

インテリアもディテールから受けた印象と同じで、インパネの小さなレバーまで素材と造型にこだわったアルファは華麗、プジョーはタクシー運転手の仕事場を連想してしまうほど実直。後席は全長を反映してアルファのほうが少し広いけれど、プジョーも身長170cmの僕が楽に座れる。

両車に共通することでは明るさがある。フロアもシートも高めなのに対してウエストラインは低く、ピラーは総じて細いから、セダンらしからぬ開放感が得られる。安全基準がさほど厳しくなかったヒストリックカーならではの良さのひとつだろう。

車両重量は小柄なプジョーのほうが軽いけれど、加速は排気量で400cc上回るツインカムでギアが5段となるアルファのほうが力強い。さすがアルファのツインカムで、回すほど元気がみなぎってくる性格でありながら、インジェクション装備のプジョーに劣らぬ扱いやすさも備える。逆にプジョーは静かさと滑らかさに感心したけれど、アルファのちょっと荒っぽさを残した回りかたと音は、彼らなりの演出なのかもしれない。

テールフィンとともにアメリカ車の影響を受けたディテールにコラムシフトがある。でも2台のタッチは大違い。繊細なタッチでスッスッと入るプジョーに対して、アルファはかなり手応えがある。こんなところでもブランドをアピールしてくるのだ。

乗り心地はプジョーのしっとりした足の動きと優しいシートに感心したけれど、アルファが荒っぽいわけじゃない。路面の感触は伝えつつ衝撃はいなすという、イタリアの上級セダンにふさわしいマナーだったからだ。

ステアリングはずっしり重く、身のこなしは車格を反映しておっとりしているけれど、立ち上がりでアクセルを踏むと旋回を強めながら力強く脱出していくというハンドリングもまた、やっぱりアルファ。

いち早くラック・アンド・ピニオン式ステアリングを採用したプジョーのほうが反応は正確で、後輪駆動らしいマナーも堪能できるのだが、運転している実感という点ではミラノのベルリーナに軍配を上げてしまう。

テールフィンとコラムシフトを備え、アルファに至ってはベンチシート。でも走り出せば良き時代のアルファとプジョーそのものだった。はやりのジーンズに身を包んでも、ハートはまぎれもないイタリアンでありフレンチ。この時代のヒストリックセダンならではの世界がむしろ新鮮だった。

【SPECIFICATION】1960 ALFA ROMEO 2000 BERLINA
■全長×全幅×全高:4715×1700×1505mm
■ホイールベース:2720mm
■車両重量:1340kg
■エンジン:水冷直列4気筒DOHC
■総排気量:1975cc
■最高出力:105ps/5300r.p.m.
■最大トルク:15 .0kg-m/3600r.p.m.
■サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/トレーリングリンク
■ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
■タイヤ(F&R):165×400

【SPECIFICATION】1966 PEUGEOT 404 BERLINE
■全長×全幅×全高:4420×1620×1450mm
■ホイールベース:2650mm
■車両重量:990kg
■エンジン:水冷直列4気筒OHV
■総排気量:1618cc
■最高出力:76ps/5600r.p.m.
■最大トルク:13.6 kg-m/2500r.p.m.
■サスペンション(F/R):ストラット/トルクチューブ+ラジアスアーム
■ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
■タイヤ(F&R):165×380

こんな記事も読まれています

【欧州でプロトタイプ目撃】レクサスが市販めざし開発中か 「GR GT3コンセプト」はどんなクルマ?
【欧州でプロトタイプ目撃】レクサスが市販めざし開発中か 「GR GT3コンセプト」はどんなクルマ?
AUTOCAR JAPAN
5速MT搭載! スズキが「大きなワゴンR」実車展示!「軽自動車」超えたビッグサイズに「最新技術」採用したニューモデルに反響あり!
5速MT搭載! スズキが「大きなワゴンR」実車展示!「軽自動車」超えたビッグサイズに「最新技術」採用したニューモデルに反響あり!
くるまのニュース
1800馬力の電動ハイパーカー、ブガッティ『トゥールビヨン』発表…ヴェイロン 後継車は2026年発売
1800馬力の電動ハイパーカー、ブガッティ『トゥールビヨン』発表…ヴェイロン 後継車は2026年発売
レスポンス
BMW「当面の間」はエンジン車の販売継続 新型EVと同じ外観で生産か
BMW「当面の間」はエンジン車の販売継続 新型EVと同じ外観で生産か
AUTOCAR JAPAN
学生時代の愛車だったホンダ「CR-Xデルソル」を再び購入! バブル期の車だけあって、外装パーツが専用品で入手困難です
学生時代の愛車だったホンダ「CR-Xデルソル」を再び購入! バブル期の車だけあって、外装パーツが専用品で入手困難です
Auto Messe Web
7/25申込締切 モビリティ・ロードマップ2024(自動運転法制を中心に)とモビリティDX戦略
7/25申込締切 モビリティ・ロードマップ2024(自動運転法制を中心に)とモビリティDX戦略
レスポンス
自動車保険料3年連続の引き上げ、2026年以降平均5.7%上げへ[新聞ウォッチ]
自動車保険料3年連続の引き上げ、2026年以降平均5.7%上げへ[新聞ウォッチ]
レスポンス
「クルマの空調」使い方間違えると「燃費悪化」も!? 「謎の“A/Cボタン”」何のため? カーエアコンの「正しい使い方」とは
「クルマの空調」使い方間違えると「燃費悪化」も!? 「謎の“A/Cボタン”」何のため? カーエアコンの「正しい使い方」とは
くるまのニュース
ドライブレコーダーを付けたからと言って安心はできない!? 事故にあった際の正しい操作方法とは
ドライブレコーダーを付けたからと言って安心はできない!? 事故にあった際の正しい操作方法とは
バイクのニュース
一年中快適に楽しめるオープンモデル!メルセデス・ベンツ、高い走行性と安全性を併せ持つ「CLEカブリオレ」を発売
一年中快適に楽しめるオープンモデル!メルセデス・ベンツ、高い走行性と安全性を併せ持つ「CLEカブリオレ」を発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
伝統と革新が融合したスポーツモデル!ダイナミックな外観や新世代ISGを引っ提げ、「メルセデスAMG CLE 53クーペ」発売!
伝統と革新が融合したスポーツモデル!ダイナミックな外観や新世代ISGを引っ提げ、「メルセデスAMG CLE 53クーペ」発売!
LE VOLANT CARSMEET WEB
今季10戦目にしてなんと5回目の11位……ヒュルケンベルグ抜群の安定感も”入賞圏外”に落胆「新しいポイントシステムが必要だ」
今季10戦目にしてなんと5回目の11位……ヒュルケンベルグ抜群の安定感も”入賞圏外”に落胆「新しいポイントシステムが必要だ」
motorsport.com 日本版
オートバックスセブン、林野庁と協定締結 店舗での国産木材使用を拡大
オートバックスセブン、林野庁と協定締結 店舗での国産木材使用を拡大
日刊自動車新聞
そういえば滑りづらくなった!? 首都高の二輪車安全対策「フィンガージョイントすべり止め」「カーブ部のカラー舗装延伸」とは?
そういえば滑りづらくなった!? 首都高の二輪車安全対策「フィンガージョイントすべり止め」「カーブ部のカラー舗装延伸」とは?
バイクのニュース
日産が新型「軽“ワゴン”」発表! ホンダ「N-BOX」対抗の「超背高モデル」! 超スゴイ“ピンク”も追加の「新ルークス」に販売店でも反響あり
日産が新型「軽“ワゴン”」発表! ホンダ「N-BOX」対抗の「超背高モデル」! 超スゴイ“ピンク”も追加の「新ルークス」に販売店でも反響あり
くるまのニュース
「ChatGPT」車載化、VWがゴルフやティグアンにオプション設定…欧州仕様
「ChatGPT」車載化、VWがゴルフやティグアンにオプション設定…欧州仕様
レスポンス
アクセルを戻せば減速する……のはわかる! でも説明しろと言われると悩むエンジンブレーキの「仕組み」とは
アクセルを戻せば減速する……のはわかる! でも説明しろと言われると悩むエンジンブレーキの「仕組み」とは
WEB CARTOP
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
AutoBild Japan

みんなのコメント

7件
  • 肝心のバックショットの画像が無いね。
  • テールフィンまでいかないけど、初代の三菱ミニカかなぁ。アメリカンテイストですね。すごく
    ウチの親父のはピックアップだったから全然トラックだったけどね
    コルトもカッコ良かった。その頃はトヨペットでもダットサンでも無く三菱強かったね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1312.51359.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

778.0778.0万円

中古車を検索
スパイダーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1312.51359.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

778.0778.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村