2021年創設の新生EVオフロード選手権、Extreme E(エクストリームE)に参戦中のヴェローチェ・レーシングは、8月28~29日にグリーンランド、カンゲルルススアークで争われる第3戦の北極圏『Arctic X Prix』に向け、女性ドライバーの変更をアナウンス。女性限定シングルシーター選手権Wシリーズで初代女王に輝いたジェイミー・チャドウィックに代わり、ニュージーランド出身のWRC世界ラリー選手権経験者、エマ・ギルモアの起用を発表している。
F1界を代表する天才デザイナーであるエイドリアン・ニューウェイや、ABBフォーミュラE選手権連覇を達成したジャン-エリック・ベルニュなどが運営に参画するチームは、同じ週末にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される2021年Wシリーズ第5戦とのバッティングに際し「ディフェンディングチャンピオンとして、2019年に獲得したタイトルの防衛に挑みたい」というチャドウィックの希望を受け入れ、女性リザーブドライバーを務めていたギルモアの起用を決めた。
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ニュージーランドの国内ラリー選手権では3年連続でランキング2位を獲得し、ミツビシ・ランサーエボリューションやスバル・インプレッサWRXなどをドライブしたギルモアは、ラリー・ジャパンやAPRCアジア・パシフィック・ラリー選手権のラリー北海道などを皮切りに、いくつかのWRCイベントにも参戦。近年は地元ニュージーランドを中心にスズキ・スイフトで戦っている。
そのギルモアとペアを組むF1、ル・マン24時間、WRC経験者のステファン・サラザンは、チャドウィックとのペアで5月の第2戦セネガルでは2位表彰台を獲得するなど、このエクストリームEでも優勝戦線に絡む実力があることを証明している。
シートタイムの不足にもかかわらず、ギルモアの豊富な経験とシリーズに関するサラザンの知識を組み合わせることで、チームはこの新たなパートナーシップでも「高い競争力を発揮できるはずだ」と期待を寄せる。
「この冒険を始めることにとても興奮している。私はこれまでリバーブドライバーとしてヴェローチェ・レーシングに参加してきたけれど、次はレースカーのステアリングを握って実戦に参加できるようになった。こんな素晴らしいことはないわ!」と、シリーズデビューへの喜びと抱負を語るギルモア。
■ギルモア「私のスキルを占う、最大のテストになるでしょう」
「重要なのは、予期しないことを予期することね。エクストリームEは、最初の2戦で『何でも起こり得る』ことを証明した。だからこそ、あらゆる不測の事態に備えようと努力しなくちゃならないわね」と続ける41歳のラリースト。
「ステファン(・サラザン)とジェイミー(・チャドウィック)は、厳しいオープニングラウンドの後、セネガルで信じられないほどのカムバックを果たした。ライバルが機械的なトラブルに苦しみ、事件に巻き込まれていく一方、混乱の嵐を乗り切り初表彰台を得た」
「そのボールをグリーンランドでも転がし続け、チームにとってより大きなポイントを確保できることを願っている。でも私は幻想を抱いていないし、世界最高のドライバーがグリッド上に並ぶタフなシリーズであることを理解している」
「これは一種、ここまでの私のキャリアで培ってきたスキルを占う、最大のテストになるでしょうね。それを、このように壮大な景観と地形で試すことは、さらに特別な経験になるはずよ」
そのギルモア起用を決めたヴェローチェ・レーシングのCEOであるダニエル・ベイリーは「エマにグリーンランドでレースをする機会を与えることができ、うれしく思っている」と期待を込めた。
「もちろん、最初から彼女の能力に感銘を受けていたからこそ、この種のシナリオに対するバックアップ・ドライバーとしてサインしていたんだ。彼女の経験はそれ自体が実力を物語っているし、彼女は世界的にも、ニュージーランドでも大成功を収めている。この新しく革新的なシリーズに慣れるのに問題はないと思っている」
「ステファンとジェイミーは前回素晴らしい仕事をしたので、その結果に基づいて今後も前進し続けたい。エマはそれを実現するのを手伝ってくれる最適な人物だ。一方のジェイミーはベルギーで戦うことになるので、チームにとっても非常に忙しい週末であり最大の試練になるだろうが、我々は挑戦する準備ができているよ!」
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