この記事をまとめると
■ロールス・ロイスが世界に1台だけのワンオフモデルをお披露目
ロールス・ロイスの伝統「シルバーシリーズ」! 100年以上前の「銀ピカマシン」が始まりだった
■「ラ・ローズ・ノワール・ドロップテイル」と名付けられており薔薇がテーマとなる
■職人たちによって2年以上にも及ぶ時間をかけて作り上げられている
特注のロールス・ロイスをお披露目
ロールス・ロイスといえば、1906年に創立した非常に歴史の長いブランドかつ、世界最高峰の高級車ブランドとして、その名を轟かせている老舗中の老舗だ。
同社のクルマの特徴は、本来であればドライバー第一で考えられるユーティリティを、後席に乗る乗員に全フリしたマシンメイキングだ。いわゆる「ショーファードリブンカー」と呼ばれるもので、ロールス・ロイスのクルマの右に出るものはないとも言えるほど、このコンセプトは突き詰められている。
また、「スピリット・オブ・エクスタシー」と呼ばれるボンネットの先端に取り付けられた、芸術品のような美しい像も同社を象徴する存在だ。
そんなロールス・ロイスよりこの度、「ラ・ローズ・ノワール・ドロップテイル」と名付けられたワンオフのオープンモデルが発表された。
この美しい新型モデルの誕生の背景には以下のような物語があるという。 このモデルは、コンセプトとして「ロールス・ロイスのクルマというキャンバスに、考え抜かれ、見事に映し出された愛の物語です。国際的に活躍する名家の当主である夫と妻の深く情熱的なパートナーシップが描かれたものであり、彼らの素晴らしいストーリーの一説を担えることは、このうえなく光栄なことです。さらに、ラ・ローズ・ノワール・ドロップテイルは、芸術性とひとりのお客様のビジョンが真に調和し、完璧さの飽くなき追求を目指す当社の証でもあります。この歴史的なコミッションの細部には、魅惑と威厳を兼ね備えたそのフォルムから、非の打ちどころがないエレガントでロマンチックな仕草に至るまで、ロールス・ロイスの豊かな伝統と依頼主様の人柄が響き合っています。ラ・ローズ・ノワール・ドロップテイルは、このような力強く現代的なステートメントを思い切って打ち出した素晴らしいお客様のように、ロールス・ロイスの歴史に永遠に刻まれることでしょう」 以上のように、このクルマは「国際的に活躍する名家の当主」がロールス・ロイスにオーダーした世界に1台だけの特別なモデルとなっているとのこと。なお、一説によると同型のクルマは全部で4台作られるそうで、開発コストは40億円以上かかっているそう。その4台で今回かかったコストを分割するそうだ。
なので、依頼主が徹底的にこだわり抜いた仕様となっているのはもちろん、ロールス・ロイスが誇る最高峰の職人が、大胆で新しい技法と非常に複雑かつ創造的な作業を探求し、精巧な芸術作品として仕上げられているとのこと。
また、グラマラスな魅力が凝縮された同車がインスピレーションを得たのは、「ブラック・バッカラ・ローズ」だとのこと。
そのほか、フランスと依頼主の深い絆をさりげなく強調する素材を各所に取り入れている。まさに伝統と美が融合した唯一無二のスペシャリティカーとして仕上がっている。
この車両には、最高位の鑑識眼とラグジュアリーを実証し、世界を舞台に活躍する依頼主である一族が大切にしてきた経験、重要なモーメント、芸術品が凝縮されているのも特徴だ。
実際、本車両を手がけたコーチビルドのデザイナーたちは、一家の自宅や自動車、ファッション・アイコンなどの著名なコレクションを分析し、車両の各所に落とし込んでいるとのこと。
この車両の色もまた特別なものとなっている。この赤色のボディカラーは、依頼主の母親が愛したベルベットのような濃厚な花、フランスが原産のブラック・バッカラ・ローズの雰囲気を参考としている。それも、これはただのカラーではなく、濃いザクロ色の花弁は、日陰では黒に近い色合いに見え、直射日光を浴びると暗い表面に真珠のような光沢のある赤いきらめきが現れるという特別なカラーとなっているのも特徴だ。
ちなみにこの色は、ただ開発して塗っただけでなく、表面仕上げの専門チームがまったく新しい工程を開発し、なんと150回もの入念な繰り返しを経て塗装を完成させているという量産車ではあり得ない手法をとっている。
インテリアの完成にはなんと9カ月もの歳月を要する
ロールス・ロイスでは、オープンモデルを「ドロップヘッドクーペ」と名付けているが、同車では取り外し可能なハード・トップも備えている。このハード・トップは、ラ・ローズ・ノワールの専用ルーフとなっており、高速走行を実現する長めのレーキ角をとっているほか、エレクトロクロミック・ガラスも採用されているので、ボタンを押すだけで瞬時に半透明に近い色合いに変化。ルーフを閉じたまま空を見ることもできるのだ。
エクステリアのそのほかの箇所では、フロント・エア・インテークの下部に、デジタルで設計した後に軽量複合材を用いて3Dプリントされた装飾も装備。これは手作業の研磨とトゥルー・ラブのカラーでハンドペイントを施した202個のステンレス製インゴットを組み込んでいる。
アルミホイールも特別だ。ボディカラー同様に見る角度で色が変わる塗装を施しているほか、高精度のダイヤモンド・フライス加工によってペイント部分を取り除き、露出したベース合金素材のアクセントを研磨。色だけでなく美しいデザインも取り入れている。ちなみにサイズは22インチだ。
インテリアは、2年にも及ぶ研究開発の後に誕生したという、エクステリアの各要素に負けないほどスペシャルな仕立て。
まず特徴的なのは、1603ピースの黒いウッド・ベニヤの三角形によって、舞い落ちるバラの花びらが抽象的に描かれているインテリア。この極めて複雑な模様は、背景に1070もの完全に対称な要素を使い、非対称に配置されたの赤いピースで、車名の「ローズ」の名に相応しいバラの花びらを表現。このアシンメトリーな仕上がりは、「散り際」を表現するためにユーザーよりリクエストされたものだという。
これらの素材は、ラ・ローズ・ノワールの原産地、フランスへのさりげないオマージュとして、フランスで調達されたブラック・シカモア材を使用し、ひとつひとつ手作業で三角形にカットし、やすりをかけ、正確に配置される。この素材は自然素材のベニアであるため、色の劣化を防ぐための専用ラッカースプレーを1年かけて開発したというから驚きだ。
そのほかの車内各所もほかに類を見ないほど徹底的にこだわり、まるで美術品のような仕立てとするため、ここまで仕上げるのにひとりの職人が1時間、1日にたった5時間程度しか作業できないほど、集中力と技術力が求められていたという。
ちなみに、このインテリアの作業をするために、外部の音が入らない専用の部屋に篭って作業したと言われており、完成までに9カ月ほどの期間がかかっている。
インパネには43mmのケースサイズとなっている「ロイヤルオークコンセプトスプリットセコンドクロノグラフ GMTラージデイト」という、フライバッククロノグラフとスプリットセコンドを備えた独自の自動巻きムーブメント、キャリバー4407を搭載する。もちろんこの時計も、オーナー自ら発注したワンオフ品となる。ちなみに取り外して使うことも可能とのこと。
さらに、この時計を外すと、開口部はエレガントなチタン製の透かしが施されたブランクヘッド・ウォッチで覆われ、オーデマピゲの職人が手彫りで仕上げたバラの彫刻が現れるホワイトゴールドのコインが現れる。
説明し切れないほどさまざまなこだわりが詰め込まれた世界に1台だけの「ラ・ローズ・ノワール・ドロップテイル」。ロールス・ロイスがどれだけユーザーに親身になってクルマをプロデュースし、脅威の技術力をもってクルマを作っているのかがわかるニュースだ。
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