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フォーミュラE開幕戦は波乱続きで赤旗2回の大荒れ! ジャガーのエバンスが最後尾スタートからまさかの大逆転優勝

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フォーミュラE開幕戦は波乱続きで赤旗2回の大荒れ! ジャガーのエバンスが最後尾スタートからまさかの大逆転優勝

予選から波乱の連続! どうなるサンパウロePrix

電気自動車の最高峰レース「ABB FIA フォーミュラE 世界選手権」のシーズン11が、12月7日(土)にブラジルのサンパウロ市街地コースで開幕した。

レース中に後輪駆動と4WDが切り替わる新世代マシン「GEN3 Evo」がついに登場! 電気自動車の最高峰レース「フォーミュラE」シーズン11の注目ポイントはココだ

今シーズンはデュエル予選、決勝スタート時、アタックモード使用時に最大パワーを350kW(通常時は300kW)に引き上げると同時に、フロントホイールも駆動させ四輪駆動で走行する新型マシン「GEN3 Evo」を全車が使用することになり、レース中のエネルギーマネージメントと、二駆と四駆がレース中に切り替わることでのドライビングとレース展開の変化に注目が集まった。

決勝レースに先立って行われた予選では、最初のグループ予選でシーズン10のチームチャンピオンであるジャガーTCSレーシングのミッチ・エバンスがマシントラブルから戦線離脱。まさかの最後尾スタートとなった。チームメイトのニック・キャシディも精彩を欠いたことで、ジャガーは2台揃ってセカンドステージとなるデュエル予選への進出を逃す波乱の展開からスタートした。

なお、今シーズンからパワートレインの供給を開始したローラ/ヤマハは、好走を見せたものの14・19番手スタートとなった。

続くデュエル予選では日産のオリバー・ローランドが躍進を見せるも、最後はディフェンディングチャンピオンであるポルシェのパスカル・ウェーレインがコンマ1秒上まわり、シーズン11最初のポールポジションを獲得した。

決勝2周でセーフティカー出動

決勝のスタートでも波乱が起きた。ダミーグリッドから動き出した直後、ジャガーのパワートレインを積むエンビジョン・レーシングのロビン・フラインスがまさかのトラブルでストップ。マシン撤去のためにスタート進行が一時中断する騒ぎが起きた。

レースのスタートは四輪駆動・350kWのパワーによりF1を凌ぐ加速力で全車一斉にターン1になだれ込む。ここで抜群の蹴り出しを見せたのは日産のローランド。イン側から一気にポールのウェーレインを交わしてトップに立つ。

2周目にはマセラティのジェイク・ヒューズと、ポルシェのパワートレインを使用するアンドレッティのニコ・ミュラーが絡み合うようにクラッシュ。両者コースサイドにマシンを止めてしまう。これにより早くもレースはセーフティカーが導入され、全車追い越し禁止に。

なお、フォーミュラEではセーフティカーが3分30秒走行するごとに、レースのラップ数が1周ずつ追加されていく仕組みが採用されている。結局、このセーフティカーランは9分40秒ほど続き、31周のレースにアディショナルラップが数周加わることが確定した。

このセーフティカー中にも波乱は続く。日産のパワートレインを積むマクラーレンチームの2台、さらに日産チームのノーマン・ナトーに最大出力を超えて走行したことによるペナルティが発動される。これでローランドを除く日産勢は一時最後尾近くまでドロップダウンしてしまう。

6周目にレースが再開されると、中断グループで数台がコース外側に設置されたアタックゾーンを通過。最大出力が50kW増え、駆動方式も後輪駆動から四輪駆動に変わるアタックモードが起動し、追い上げ開始。

すると、アタックモード使用組のトップ、10番手を走行するジャガーのニック・キャシディは、モード使用開始からわずか2分30秒で、前を行く9台を一気にパスしトップに躍り出る。GEN Evo3マシンはストレート区間の中盤での伸びが凄まじく、その効果は絶大だ。

前シーズンまでは、ある意味で消化義務で仕方なく起動していたアタックモードだが、今シーズンは目に見えて効果を発揮し、この様子を見た各車はこのあと続々とアタックモードを起動させ、目まぐるしく順位が変わり始める。

ここでもっともジャンプアップしてきたのは、最後尾スタートのジャガーを駆るミッチ・エバンス。2周目までに7台を抜いて15番手まで順位を上げ、その後もジワリとポジションを上げてはいたものの、このアタックモードで一気に4番手まで進出してきたのだ。

15周目、自力でトップに返り咲いていたローランドが、満を持してこの日1回目のアタックモードを2分間起動。後続を引き離しにかかる。

20周目、ここまでトップ6圏内を常に走行していたアンドレッティのジェイク・デニスが、ターン1をオーバーラン。どうもリヤの緊急ブレーキが作動したような止まり方で、ターン1に集団でアプローチするなか、間一髪で前走車への追突を避けながら、ランオフエリアにエスケープし立ち往生した。この影響でレースは赤旗中断。全車ピットレーンでの待機となる。

この赤旗に泣かされたのは、日産のローランド。トップ集団でもっともアタックモードの使用時間を長く残し、トップ返り咲きを狙っていたものの、モードを起動させた直後に赤旗が掲示され3分半近くあった使用時間がピットで無残にも消化されてしまった。

一方で笑ったのはジャガーのニック・キャシディ。赤旗時点でアタックモードの使用機会を残しているマシンのなかでは最上位の6番手。4分の使用時間を残していた。1回目の起動時に9台抜きを演じただけに、レースが再開されればトップに立つことが容易に想像できた。

そのほか、11番手のミッチー・エバンスをはじめ、後方にはあえてアタックモードの使用を残して、後半のスパートに賭けるマシンが6台ほどいる状態となった。

レース再開もまさかのマシン横転で2度目の赤旗

長い中断を挟んでレースは23周目から再開。赤旗直前にポルシェチーム内のバトルを制し、トップに立ったアントニオ・フェリックス・ダ・コスタを先頭にスタンディングスタートで再開。この時点でもっともバッテリー残量を残していたのは、残量45%のマクラーレンチームのサム・バードで、ポジションは16番手。その他は軒並み38~40%といったあたりだ。

ここでも抜群の蹴りだしを見せたのは日産のローランド。再びトップに返り咲く。

24周目、アタックモードを手元に残していたマシンのトップ、キャシディがアタックモードを起動し8番手から反撃を開始。4分間のモード使用中にトップまで昇り詰めたいところだったが、トップのローランドはノーマルモードで必死の逃げを打つ。結局、キャシディは27周目に2番手まで上がるのが精一杯で、ローランドは見事にトップの座を死守して見せた。

この直後、エバンスがアタックモードを起動。4分間のうちにチームメイトのキャシディの背後まで迫る。怒涛の19台抜きを演じているその最中、なんとトップの日産・ローランドにドライブスルーペナルティが発令。序盤におきた日産勢3台へのペナルティと同様、オーバーパワーによるペナルティで順位を12番手まで落としてしまう。

これでトップに立ったキャシディだが、アタックモードをわずかに残しているエバンスに交わされトップ交代。エバンスはこの時点で最後尾スタートから全車追い抜きを果たしてしまう。

さらに、ペナルティを受けたはずの日産パワートレインを積むマクラーレンチームの2台が、アタックモードを有効に使い6・7番手に浮上。終盤にアタックモードを残したマシンが相次いで上位進出を果たす。

30周目、赤旗によるアディショナルラップが4周追加されるとアナウンスされ、レースは全35周に。残りは5周だ。

と、次の瞬間ターン5で3番手を争う3台が横並びになり、真ん中に位置していたキャシディがアウトサイドのステランティスパワーユニットを積むDSペンスキーのマキシミリアン・ギュンターを押し出す形になり、ギュンターはたまらず壁にクラッシュ。サスペンションを壊しその場でリタイアとなってしまう。

これで失速したキャシディに対し、続く反対方向に曲がるターン6でアウトからポルシェのウェーレインが仕掛ける。しかし、キャシディーの左フロントタイヤとウェーレインの右側面が接触。ウェーレインのマシンは跳ね上がりながら壁と接触し、その影響でマシンが横転する大クラッシュになってしまった。

幸いにもウェーレインに大きな怪我はなく、マシンを降りることができたものの、ディフェンディングチャンピオンがまさかの開幕戦リタイアとなってしまった。結果的に瞬時に2台を撃墜する形となったキャシディも大きくポジションダウン。最終的にポイント圏外でフィニッシュとなった。

このクラッシュにより、この日2度目の赤旗が掲示され、レースは4周を残して中断。

この混乱に乗じてポジションアップに成功したのは、マクラーレンの2台。もっともバッテリー残量を残した状態で表彰台圏内に入ってきた。

2度の赤旗もなんのその ふたつの新記録が誕生

レースはジャガーのエバンスを先頭に、以下ポルシェのダ・コスタ、マクラーレンの新鋭バーナード、同チームのバードの順で再開。エバンスに対し、若干バッテリー残量で優位に立つダ・コスタがコーナーへの飛び込む隙をうかがうが、エバンスが巧みにブロック。3番手のバーナードのバッテリー残量は余裕だが、スピードが足りず前2台に挑めないでいる。しかし、背後の僚友バードは後方をがっちりとガードしポジションを堅守。

結局、エバンスが後方からのアタックをしのぎ切りトップチェッカー。レース後には「正直、今回のレースは自分にとっても驚きの展開でした。予選では、不運に見舞われ、1周もできずに最後尾からのスタートとなったので、このような結果になるとはまったく予想していませんでした」と本人も驚きの結果となったようだが、これによりエバンスは、フォーミュラE史上初の最後尾スタートからの優勝を記録したドライバーになった。

2位にはポルシェチームのダ・コスタ、3位にはマクラーレンチームのテーラー・バーナードが入り、表彰台をジャガー、ポルシェ、日産のパワートレインが分け合った。

なお、17位スタートから一時ペナルティとタイヤ交換で最後尾近くまで下がりながらも3位に入ったバーナードは、20歳と189日という若さでの表彰台獲得となり、フォーミュラEの最年少表彰台記録を更新した。

開幕戦から2度の赤旗に、111回のオーバーテイク、トップに立ったドライバーが5人と乱戦模様の展開となったフォーミュラEシーズン11開幕戦。「GEN3 Evo」導入によるアタックモードの変化は、もはや某人気カートゲームでスターを獲得した無敵状態ともいえる走りで、レース内容を劇的に変化させた。あまりにインパクトが強烈なので、一層のこと東京ePrixではアタックモードに入ったら会場に無敵状態を表すあのゲームサウンドを流してほしいぐらいだ。

次戦は年明け1月11日、舞台はF1でも使用されるメキシコシティのコースをフォーミュラE用にアレンジして開催される第2戦だ。お楽しみに。

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