フェラーリ・クラシケ認証済みの1台
2024年1月31日、RMサザビーズがフランス・パリで開催したオークションにおいてディーノ「246GTS」が出品されました。出品されたモデルはかつて日本にあった個体で、のちにポーランドでレストアを行っています。フェラーリ・クラシケも取得した同車の詳細をお伝えします。
ディーノ「246GT」が5000万円オーバー! 元色レッドでスペアエンジン搭載という条件でも高値安定の理由は極上コンディションだから?
後期型にはタルガトップのGTSが登場
現在でもファンの多い、ディーノの206/246シリーズ。ファーストモデルの206GTは、直接のライバルともいえるポルシェ911に対してさらなるアドバンテージと生産効率をより高めるために、わずか150台を生産したのみで、1969年には早くも後継車の246GTにその市場を譲ってしまう。
「ティーポL」と呼ばれる、最も初期型の246GTは、それまでの206GTよりもややボディが大型化され、素材もアルミニウムからスチールへと変更したものの、その製作工程にはまだまだハンドメイドによる部分が多く残っていた。センターロック・タイプのホイールを引き続き装備するのもティーポLの特徴だ。
ミッドのエンジンはブロックが鋳鉄製に変わり、車名のとおり排気量も2.4Lに拡大。最高出力は195psを得た。生産台数は357台とされている。
1971年にはさらにその生産性を高めようという親会社、フィアットの強い意向もあり、ボディパネルはプレス成型されるようになった。「ティーポM」は、実質的には1年にも満たない期間にもかかわらず507台を出荷するが、この数字には十分に生産の高効率化が表れていると評価してもよいだろう。そして1971年末に、ディーノ246GTのラストモデルとなる「ティーポE」型が誕生するのである。
このティーポE型246GTで最大のニュースといえば、ポルシェの911や914が採用していたタルガ・トップを装備する「246GTS」が1972年に新たにラインアップされたことだろう。クーペの246GTとの大きな相違点は、もちろんそのルーフと、リア・クオーター・ウインドウの廃止。そのエリアには代わりに3条スリットが設けられた。ワイパーが平行作動式となったのは1972年式の途中からと思われる。
注目のタルガ・トップは樹脂製で、その着脱はじつに簡単にできる構造になっている。作業はルーフの前側2カ所に設けられた突起をボディ側に差し込んだ後、後方の2個のロックで固定するだけのもの。おもな市場はもちろんアメリカで、この246GTSはフェラーリ、そしてフィアットの思惑どおり、そのアメリカ市場を中心に大きなヒット作となった。
かつては日本にあったディーノ246GTS
1972年から1974年までの実質3年間にも満たない期間で、1274台もの台数がカスタマーのもとにわたったと書けば、その人気の大きさも改めて理解できようというものだ。
今回RMサザビーズのパリ・オークションに出品されたディーノ246GTSは、1973年式のモデル。工場出荷時のマローネ・ディーノ・メタリッツァートのボディカラー、ベージュ・ビニールのインテリア、そしてデイトナ・スタイルのシートはオリジナルのままで、もちろんシャシーとエンジン、トランスミッションがマッチングナンバーであることも、フェラーリ・クラシケによって確認されている。
RMサザビーズによれば、ファーストオーナーにデリバリーされて以降の履歴はほとんど判明していないというが、それはこのモデルが長年日本にあったことが理由であるという。
2015年、「07474」のシャシーナンバーを持つこのディーノ246GTSは日本で発見され、その時の走行距離は約3万7000kmだった。その後、現在のオーナーが購入しポーランドに輸出。2016年から有名なピョートル・ベム・レストレーションが、そのコンディションを新車同然にするための作業を開始している。シャシーとボディはイタリアへと送られ、完全に修復されたという。レストアは2023年に終了。フェラーリ・クラシケからのレッドブックは、2024年の1月に出品者のもとに届いたはずである。
はたしてこのフルレストア済み、1973年式ディーノ246GTSはどれほどの金額で落札されたのか。その結果は63万5000ユーロ(邦貨換算約1億160万円)というもの。全出品車の中で10番目にランクされる落札価格だった。
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