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【特集「乗るなら今だ!心昂る、V8エンジン」(6)】きっとまた逢える・・・V8カマロ「FINAL EDITION」は、五感をフルに刺激する「アメ車らしさ」で魅せる

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【特集「乗るなら今だ!心昂る、V8エンジン」(6)】きっとまた逢える・・・V8カマロ「FINAL EDITION」は、五感をフルに刺激する「アメ車らしさ」で魅せる

いわゆる“アメ車”の代名詞として日本でも親しまれてきたシボレー カマロだが、現行型をもって一旦姿を消す。その最後を飾る限定車として登場したモデルが6.2L V8エンジンを搭載した「ファイナルエディション」だ。FR、大排気量、2ドアクーペという特徴を受け継ぐ旧き佳きアメリカンスポーツカーの魅力を改めて味わってきた。(MotorMagazine4月号より再構成)

プロローグ 「LT1」はおよそ10年に渡って愛されてきた
シボレーが誇るスモールブロックV8 OHVの第二世代、LT1が市販モデルに初めて搭載されたのは、2013年1月にデビューしたC7コルベットからだった。FRとしては最終形となったモデルだが、その特徴的なロングノーズの下に納められた6.2LV8 OHV自然吸気ユニットは、デビュー当初から高い評価を受けることになる。

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2015年型ではそのパワースペックは、スタンダードで最高出力339kW(460ps)/最大トルク624Nm(63.6kgm)、高性能版のZ51では343kW(466ps)/630Nm(64.2kgm)を発生していた。スタンダードモデルでも、0→100km/h加速をわずか3.8秒で駆け抜ける。

組み合わされるトランスミッションは、GMが開発したハイドラ・マチック8L90型パドルシフト付き8速ATと7速MTを設定。その圧倒的パフォーマンスもさることながら、環境性能にも配慮した高い効率を実現するための最新技術が、数多採用されていたことも、人気の秘密と言えるだろう。

たとえば、直噴システムや連続可変バルブタイミングなど、パワーと燃費を両立させた先進的燃焼システムを採用。加速中はV8エンジンとしてフルの性能を発揮し、クルージング時には、V4として燃料をセーブするアクティブ・フューエル・マネジメント(可変気筒システム)も備えていた。

カマロにこのLT1が搭載されたのは、2016年型SSからだ。従来型SS搭載のV8ユニット「LS3 」に対して、最高出力は約30hpアップの455hp(339kW)、最大トルクは48Nmプラスの617Nmを達成していた。

ダウンシフト時に最適な回転数に調整してくれる新しいアクティブ レブマチック テクノロジーを備えた6速MTと、パドルシフト付き8速ATを設定。ATは、2019年型から10速ATにスイッチしている

その後、コルベットには自然吸気のまま495hp/637NmにパワーアップしたLT2が搭載され、さらにスーパーチャージャーで過給するLT4(650hp/881Nm)がカマロのZL1にも搭載された。

ちなみにミッドシップ化されたC8コルベットZR1にはLT4に続き、さらにパワーアップして755hp/970Nmを発生するLT5を設定。その後、2023年型にはまったく新しい5.5L DOHC V8エンジン「LT6」を搭載したZ06が設定された。GMのV8はまさに今、新しい世代へと歩を進めることになったのだ。(ここまでWebモーターマガジン編集部)

試乗:50代半ばの筆者にとって「アメ車=V8」は不変
長い空白期間を経て2009年にデビューした5代目は、カマロの復活を歓迎する大勢のファンはもちろん、映画「トランスフォーマー」の主人公の愛車として登場したものだから、アメリカで一躍、大ヒットモデルとなった。

その発展型となる6代目は北米では2015年に登場し、日本には17年に導入された。ボディはよりマッシブになって、個人的にもとても気に入っていた。そんな筆者の大好物でもあるカマロの生産終了が決まり、日本向けに50台限定で「ファイナルエディション」が設定された。

いちファンとして少しでも次期型の情報があればまだ救われるのだが、具体的な話がまったくないので、期待よりも惜別の思いばかりが先だっているところだ・・・。

ともあれ、対面したファイナルエデョションは、やはりとても魅力的に映った。マイナーチェンジ後の迫力の増した顔面も好みだし、前後を貫く専用のセンターストライプもよく似合っている。

カマロにはかねてから、同世代のコルベットと共通性の高いV8が設定されてきたが、ファイナルエディションには453psに最高出力を抑えた「LT1」と呼ばれる6.2L V8が搭載される。

OHVや2バルブを踏襲する一方で、可変バルブタイミングや直噴といった現代的な機構を積極的に採用しているのも特徴だ。

なお、ミッドシップになった最新のコルベットZ06は自然吸気としては最強を謳ってフラットプレーンクランクを採用するLT6(5.5L V6 DOHC)を搭載する。一方、カマロのLT1は従来どおり、より一般的なクロスプレーンとなる。

クルマに早熟だった現在50代半ばの筆者にとって「アメ車=V8」だ。カマロだってメインはV8で6気筒は廉価版という認識をずっと持っていた。ところが、販売的には後年ほどV8の比率が下がっていったそうだ。

現行型ではついに歴代初の4気筒が用意されて、V8が特別なものになっていったことに時代の変化を感じていたが、やっぱりカマロにはV8がよく似合う。

大排気量自然吸気エンジンの「素」の魅力を再認識
エンジンを始動した瞬間から、このV8は実に美味しい。とくに派手な演出こそないが、妙に高揚感がかきたてられる。いざ走り出すとV8ならではの奥ゆかしい響きを味わわせてくれる。

クロスプレーンといっても、V8サウンドは昔ながらのドロドロとしたものではなく、重厚でありながら現代的に洗練されている。

いまや大排気量の自然吸気エンジンは世に数えるほどしかないが、自然吸気ならではの素直な出力特性となめらかな吹け上がりが本当に気持ちよい。過給器はなくても、排気量が6.2Lもあり最大トルクが600Nmを超えているのだから、その力強さたるや推して知るべしだ。

また、欧州生まれの高性能をウリとするV8モデルのような、常にはじけるような加速をするわけではなく、本気を出せばかなりの実力の持ち主なのに、ちょっとじらし気味に、もったいぶった回り方をするような印象を受けた。

低~中回転域では低く太いサウンドを楽しめて、踏み込んでいくと4000rpmあたりからレッドゾーンの6500rpmにかけてはスポーツユニットのような快音を放ちながらよく回る。とても表情豊かなエンジンなのだ。

おかげで高速道路での再加速や追い越しが楽しい。これを味わいたくて、思わずたびたびアクセルペダルを踏み込んでしまった。

ドライブモードの選択で、エンジン特性やATの変速の制御も変わる。アクセルオフ時のバブリングの音も変わるが、公道向けのツーリングモードでも状況によってはパンパンと音をたてる。また、公道では試せないが、ローンチモードがあるのも特徴だ。

一方で、普通に流すと2500rpm以下で10速ATがポンポンとシフトアップしていく。気筒休止システムにより低負荷時は4気筒の稼働となる。だから6.2Lでも思ったほど燃費が悪くないことも印象的だった。

それにしても、GMをはじめアメリカのメーカーは侮れないとあらためて思った。これほどのエンジンと、大トルクに対応する10速のATをさらりと開発するのだから、その底力には恐れ入る思いだ。

「生のエンジンサウンド」が奏でるカマロの世界観
ところで音というのは、クルマを楽しむ上で重要な要素だと思っている。しかし、近年はその締めつけがどんどんきつくなり、個人的には厳しすぎるように感じる。世の中の風潮的にはやむをえないのだろうが、もう少し寛容であってくれてもいいのにという気がしているのが正直なところだ。

また、最近のクルマがスピーカーを使って調律した音を人間の耳に入れるようになったのは、もちろん恩恵があるに違いないが、筆者はあくまで〝生〟の音が好きだということを、このV8カマロが思いこさせてくれたのである。

このスタイリングと音と加速など、男気あふれるカマロの世界観を久々に味わえたのは嬉しかったが、最後だと思うと寂しくなる。

次期カマロをどんなクルマにするのか、いかに魅力的なクルマにするか、GMの関係者たちは慎重に考えていると信じたい。(文:岡本幸一郎/写真:村西一海)

シボレー カマロ ファイナルエディション 主要諸元
●Engine
型式:6J
エンジン種類:V8 OHV
排気量:6168cc
エンジン最高出力:333kW(453ps)/5700rpm
エンジン最大トルク:617Nm(62.9kgm)/4600rpm
燃料・タンク容量:プレミアム・72L
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:4785×1900×1345mm
ホイールベース:2810mm
車両重量:1710kg
最小回転直径:11.6m
乗車定員:4人
荷室容量:257L
●Chassis
駆動方式:FR
トランスミッション:10速AT
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション形式 前・後:ストラット・マルチリンク
ブレーキ:Vディスク
タイヤサイズ 前、後:245/40ZR20、275/35R20
●Price
車両価格:9,400,000円

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